研究課題/領域番号 |
23K24993
|
補助金の研究課題番号 |
22H03739 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
菅原 広史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (60531788)
|
研究分担者 |
亀崎 和輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (00910142)
前田 高尚 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (10357981)
今須 良一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40334255)
石戸谷 重之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (70374907)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 二酸化炭素 / インバージョン / 都市緑地 / 酸素 / 緩和策 |
研究開始時の研究の概要 |
CO2排出削減について様々な取組みがなされており、その効果を大気中の濃度データに基づき確認する手法が必要である。本課題では地域ごとの排出削減効果を評価する解析システムを開発する。本課題では開発に関する以下の課題解決を行う。①市街地のCO2濃度は、都市緑地での吸収に強く影響されため、緑地におけるCO2発生・吸収パラメータを、実測をもとに同定する。②解析システムの初期値となる発生・吸収量分布データを、人間活動の日変化を反映させて作成する。そのために都内の住宅地において起源別CO2排出量をCO2・O2比を用いて実測する。③解析システムが人間活動の変化(平日休日等)を適切に再現できるかを検証する。
|
研究実績の概要 |
研究目的に則して以下の3つの課題を行った。 (1)都市緑地におけるCO2発生・吸収パラメータを同定するため、東京都内の緑地においてCO2輸送量の実測を行った。本年の計測データに加えてこれまでに計測した延べ13年分のデータを用いて当該都市緑地サイトでの年間CO2総吸収量を評価した。欠測データについては、気温と日射量を用いた回帰式により補完し、完全な時系列データセットを作成した。当該都市緑地のCO2吸収量は、既往研究による富士山麓森林におけるそれと同程度であることが分かった。この総吸収量の内訳である光合成量(吸収)と呼吸量(放出)について評価したところ、いずれも富士山麓森林での値よりも大きかった。 (2)CO2輸送モデルと前年度に作成したCO2発生量分布データを用いて、関東地方におけるCO2濃度分布の時間変化の試計算を行い、濃度実測データ(埼玉北部山地、埼玉北部平地、つくば、都内)との比較を行った。植物によるCO2吸収・放出量については、複数の植生モデル(AIST-MMおよびBEAMS)を用いて、それらの性能比較を行った。どちらの植生モデルについても、CO2濃度の過小評価の傾向が見られた。さらにこの傾向は検討した4地点いずれにおいても見られた。この過小評価の原因を解明するため、特に風向について注目した解析を行った。また、CO2濃度に加えてOR(酸素・二酸化炭素比)についてもモデルと実測との比較を行い、火力発電所等の大規模発生源の影響について解析した。 (3)CO2輸送モデルが人間活動の変化を正しく再現できるかどうかを検証するための、CO2濃度実測データの取得を行った。既存の郊外(つくば)および住宅地(渋谷区)での計測を継続し、さらに新たな観測サイト(千代田区)を立ち上げた。モデルの検証に耐えうる高品質のデータが取得できるよう機材のメンテナンスを月1回のペースで行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したとおりの進度で研究を推進できた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目的に則して以下の3つの課題を並行して行う。 (1)都市緑地観測サイト(目黒区白金)における植生量(葉面積および樹木本数)の詳細な調査を行う。これは、当該サイトでのCO2吸収量が富士山麓森林のものと同程度であったという前年度の解析結果の理由を明らかにするためである。都市内の緑地では、周辺の市街地で発生したCO2が光合成の肥料として作用している施肥効果が考えられる。施肥効果について定量的に明らかにするためには植生量の高精度な把握が必要である。 (2)CO2輸送モデルの改良を行う。輸送モデルの計算結果と実測濃度データとの比較を行い、その差が大きくなる気象条件(風向、大気安定度等)に注目した解析を行う。また、輸送モデルの初期値である植生によるCO2吸収・排出量を改善するため、土地被覆データの検討を行う。また、OR(酸素・二酸化炭素比)を用いて火力発電所等の大規模発生源の影響についても引き続き検討を行う。 (3)解析モデルが人間活動の変化を正しく再現できるかどうかを検討するため、CO2濃度の実測を継続する。既存の郊外サイト(つくば)および住宅地サイト(代々木)に加えて、前年度にスタートさせた市街地(千代田区)における観測も継続させる。いずれの観測サイトについても、高精度での計測を維持するため、月に1回の器材メンテナンスを行う。さらに、これらの観測サイトに加えて、都内で新たに観測が可能なサイトの検討を進める。
|