研究課題/領域番号 |
23K25012
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補助金の研究課題番号 |
22H03758 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 和良 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), 主任研究員 (90344308)
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研究分担者 |
朴 昊澤 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), グループリーダー代理 (10647663)
檜山 哲哉 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (30283451)
田代 悠人 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (10991143)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 物質循環 / 山岳永久凍土 / 北方大河川 / 活動層 / 極端現象 / 気候メモリ / 水文 / データ同化 |
研究開始時の研究の概要 |
山岳永久凍土は有機炭素と窒素を大量に蓄積し、降水量が多い集水域に位置していることから、海洋への淡水と河川を通した炭素・窒素輸送の供給源である。本研究では、山岳永久凍土流域での気象水文観測と陸域生態系モデルを融合して、過去75年間の時空間的に均質な永久凍土環境と水文フラックスデータセットを構築する。そのデータセットを用いて有機炭素・窒素動態の変容を明らかする。これにより陸域から海洋への炭素・窒素動態に及ぼす温暖化の影響を評価する。さらに大気-植生ー凍土系における植生気候システムを確立し、永久凍土融解による植生へのインパクトを定量化する。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、永久凍土流域における詳細な凍土水文気象観測と陸域生態モデルを活用して、研究目標を達成するため、本年度以下の研究を行った。 (1)生態水文モデルの高度化について、朴が中心となって、同位体トレーサーをモデルに組み込むことで、河川水を融雪水、暖候期降水(降雨)、地下氷融解水(または地下水)に成分分離し、河川流量に対するそれらの寄与率を定量評価可能な河川流出モデルを開発した。そして開発したモデルを北極域の大河川の一つであるレナ川流域に適用し、蒸発散量と河川流量に対する各起源水の寄与を定量評価した。その結果、暖候期降水(降雨)が蒸発散、融雪水が河川水に対する主要な起源水であること、そして、地下水は秋に、不連続的永久凍土帯において河川水に対する寄与が大きくなることが明らかになった。 (2)気象水文観測と水のサンプリング・分析については、研究協力者のMakarieva博士が中心となって、降水、河川水、アウフアイス等のサンプリングを行い、安定同位体の分析を行っている。これらの成果は、ISAR-7で口頭発表を4件行った。 (3)Maximum likelihood ensembel filter(MLEF)と領域気候モデル(Polar WRF)を用いたデータ同化システムを鈴木が中心となって開発し、データ同化実験を2021年12月に発生した北極域の異常降水の領域再解析を15日間行った。その結果をERA5やその他の研究プロダクトや衛星データと比較することで、領域再解析の妥当性を検証した。この成果は、データ同化ワークショップでポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地政学的な状況によって、現地観測データの入手・分析ならびに有機炭素や有機窒素のサンプリングが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)気象水文観測と水のサンプリング・分析:研究協力者のMakarieva博士が中心となって、降水、河川水ならびに土壌水または積雪のサンプリングを通年で10日に1回程度行う。その他に、永久凍土の地温プロファイル、気象要素、ならびに積雪などの観測を行う。 (2)永久凍土水文気象データセットとラグ機構解析:鈴木と研究協力者のZupanski博士が中心となってデータ同化手法の開発を行い、さらに鈴木が再解析データと衛星データを用いて流域内の水・エネルギー・物質収支を解析する。 (3)生態水文モデルの高度化と炭素・窒素輸送量評価:朴が中心となって、CHANGEに炭素・窒素流出推定アルゴリズムを取り込み始める。 (4)積雪過程モデルの高度化のため、鈴木と研究協力者のFassnacht教授が積雪粗度長に関する実験等を行いモデル化する。 (5)檜山と研究協力者の田代博士が中心となってコリマ川流域における河川を介した物質輸送と永久凍土動態に関する水文気候学的研究を行う。
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