配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
研究実績の概要 |
近年, マイクロプラスチック(MP)による環境汚染とその負荷削減に注目が集まっている。MPの環境負荷を削減するには, その発生源(劣化前のプラスチック製品)を知ることが重要で、それによりピンポイントかつ効果的な対策を取ることが可能になる。そこで本研究は, プラ製品に添加された有機系化学物質を同定するとともに、環境試料中のMPを分析してプラ製品のそれと比較し、 MPの発生源を高精度に解析するシステム開発を試みた。 153検体の市販プラ製品を分析した結果、材質はポリエチレンが最も多く、次いでPMMA、PVCの順であった。GC-MSで同定された有機系添加剤は169種で, 可塑剤のBis(2-ethylhexyl) phthalateや酸化防止剤のButylated hydroxytolueneの検出頻度が高かった。次に道路塵埃中のMPを分析したところ, PMMAやPVC製のものが多く多様な添加剤が検出された。そこで, PMMA製プラ製品およびMPの有機系添加剤組成を基に主成分分析を行ったところ, 反射板や路面塗装など使用用途に応じて5つにグループ化され, MPはそのいずれかに含まれることが分かった。これは, 道路塵埃中 MPの元の製品が反射板や路面塗装, 点字ブロックであり, 製品中の有機系添加剤の情報が由来不明のMPの起源解析に有用であることを示している。 さらに、熊本市内の小河川とその周辺の道路塵埃・路面排水・底質を分析したところ, 各試料から赤色のPMMA製MPが複数検出された。これらの試料には複数のフタル酸エステル系可塑剤が含まれており, これらの組成は路面塗料に特異的であった。以上の結果は, MPの発生源が路面塗料であり, 比較的比重の大きいPMMA製MPが雨天時の路面排水によって公共水域へ流出し, 河川底質に蓄積していることを示している。
|