研究課題/領域番号 |
23K25021
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補助金の研究課題番号 |
22H03767 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
大久保 佑亮 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (80596247)
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研究分担者 |
福田 淳二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80431675)
中島 芳浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (10291080)
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター, センター長 (30291115)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 催奇形性 / 化学物質 / シグナルかく乱 / 多色リアルタイム発光測定 / in vitro試験法 / リアルタイムルシフェレースアッセイ / 動物実験代替法 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児に不可逆的な影響を与える化学物質による催奇形性は、適切に評価されなければならない。しかしながら、現行の動物を用いた催奇形性試験は、種差による検出感度の低さゆえに人的・時間的・金銭的コストがかかる。そのため、長年使用されてきた化学物質や低生産量の化学物質は、十分に催奇形性が評価されないまま使用されているのが現状である。この本研究では、胎児が少数のシグナル伝達の相互作用により精巧に形作られることに着目し、動物を用いた催奇形性試験とは体系的に異なる、ヒトiPS細胞を用いた高精度かつ網羅的な独自のin vitro催奇形性検出機構を見出す。
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研究実績の概要 |
現行の動物を用いた催奇形性試験は、種差による検出感度の低さゆえに人的・時間的・金銭的コストがかかる。そのために、ヒトの発生毒性を高精度かつハイスループットで評価可能なin vitro試験法の開発が期待されている。これまでに我々は胎児が少数のシグナル伝達の相互作用により精巧に形作られることに着目し、化学物質によるFGFシグナルのかく乱作用の動的変化に基づいた、ヒトiPS細胞を用いた新規のin vitro催奇形性検出法を開発してきた。本法はリアルタイムルシフェレースアッセイを用いて、FGFシグナルのかく乱作用を評価することで、高い正確度とスループット性を実現している。本研究では、試験法の検出感度の向上及び分子機構の解明を目的としている。 本年度は、昨年樹立したWntシグナルのかく乱作用を基にした発生毒性試験法を開発した。まず、FGF-SRFシグナルと比較しWnt-TCF/LEFシグナルのレポーターはリガンド刺激による発光強度が低いことが明らかになった。次に、既知の発生毒性物質を用いてWnt-TCF/LEFシグナルのかく乱作用を計測したところ、 FGF-SRFシグナルを大きく増強する化学物質ではシグナルかく乱作用を検出可能であるが、弱い増強作用もしくは抑制作用を持つ化学物質ではシグナルかく乱作用は検出できなかった。また、複数の化学物質適用による、時系列のRNA-Seqデータを取得した。さらに、リアルタイム発光測定による化学物質のシグナルかく乱作用の検出プロトコルを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年樹立したシグナルレポーター細胞株のうち、Wntシグナルを先行して、試験法を開発した。また、時系列のRNA-Seqデータの取得も進めている。重要なこととして、リアルタイム発光測定装置を用いた試験系のプロトコルを決定し、従来法と比較し高い再現性を示す試験法の開発に成功した。当初の計画通りの成果を得ていることから、「(2)順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、リアルタイム発光測定装置を用いた試験系のプロトコルを用い、FGF-SRFシグナルのかく乱作用を中心に、発生毒性試験法の確立を目指し、ECVAM(欧州代替法バリデーションセンター) validation study on in vitro embryotoxicity tests (Genschow et al., 2002)に記載されている化学物質18種類+陰性物質5種類を、連続したリアルタイムルシフェレースアッセイにて評価する。また、引き続き複数の化学物質適用による、時系列のRNA-Seqデータを取得する。 膨大なデータからシグナルネットワークを抽出する解析は困難を極めているが、様々な研究者と協力しながら進めて行く。さらに、試験系の拡張を試みる。即ち、現在は未分化ヒトiPS細胞を用いているが、STEMCELL TechnologiesのSTEMdiffを用い、外胚葉、中胚葉、内胚葉における各シグナルのかく乱作用の検出を試みる。
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