研究課題/領域番号 |
23K25027
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補助金の研究課題番号 |
22H03773 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
根岸 信彰 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (90270694)
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研究分担者 |
王 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (10356610)
堀江 祐範 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30514591)
楊 英男 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50561007)
黒崎 直子 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (60337706)
根本 直樹 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (60633386)
灘 浩樹 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90357682)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 水資源・水システム / 環境配慮設計 / 遺伝毒性・生態毒性 / ナノ構造作製 / 結晶成長 / メカノ殺菌 / 光触媒 / アラゴナイト / ナノニードル / 浄水 / 光触媒酸化チタン / 水浄化 |
研究開始時の研究の概要 |
アラゴナイト針状晶癖による水中細菌に対するメカノ殺菌効果、光触媒との組み合わせによる水中細菌処理の相乗効果の発現、長期使用で劣化した針状晶癖を自己修復する可能性を元に、①ナノニードルによる水中メカノ殺菌の機構解明、②水中細菌処理に最適化されたナノニードルモデル構造体の合成、③メカノ殺菌効果による途上国向けの光触媒水処理技術に向けた研究を実施する。
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研究実績の概要 |
アラゴナイトナノニードルの安定した固定化技術の開発、並びにアラゴナイトナノニードルの最適化を図るためのモデルニードル構造体の合成を水熱合成法により行った。アラゴナイトナノニードルのTiO2セラミック上における合成技術に関しては、重炭酸マグネシウムと硫酸カルシウムの混合溶液にギ酸カルシウムを添加することで、24時間以内に光触媒反応でTiO2表面を完全被覆するナノニードル成長に成功した。また、結晶成長のためにはニードル先端への原料供給のために流水が必ず必要であることが分かった。この系では、重炭酸イオン濃度がアラゴナイトナノニードル成長に大きな影響を与えることを見いだし、出発養液中の重炭酸イオン濃度がカルシウムイオン濃度に近いとアラゴナイトではなくカルサイトになることが分かった。一方、アラゴナイトとして成長したナノニードルも以前に硬水を原料として合成したナノニードルより短いものとなることが分かった。このナノニードルの系にモデル細菌を通すと、確かに水中細菌数は激減するが、メカノ殺菌能よりむしろ細菌キャプチャー能がより高く発揮されていることを共焦点顕微鏡、SEM観察、並びにPCRを用いた分析から発見した。すなわち、通水環境において水中細菌はアラゴナイトナノニードルに容易に絡め取られるが、細胞壁の破砕はあまり起きておらず、そのために原形質の水中への溶出があまり起きていないことがPCRの分析結果から明らかとなった。ナノニードルの長さや集積密度とメカノ殺菌能との相関性を調べるため、モデルニードルとしてTiO2ルチルナノニードルを水熱合成法によりTiO2被覆シリカゲル表面などに固定化する方法を検討した。その結果、水熱合成時の塩酸濃度の制御によりニードル密度のコントロールが可能なことを見いだした。また、メカノ殺菌能は基材に使用したTiO2光触媒による殺菌能より1.5倍高くなることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ提案書に記載したとおりの成果が初年度に得られたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでほぼ計画通りに研究が進捗していることから、当初予定通り今後は細菌種をモデル細菌からより具体的な細菌株に変更し、同様の細菌除去能が発現するか検討を行う。また、昨年度までに完成したナノニードル形態をより先鋭化(太さを数十nm以内に抑え、長さを2-3ミクロン以上に)させることで、細菌のキャプチャー効果だけでなく明確なメカノ殺菌能の発現をもたらすことを実施する。また、そのためのアラゴナイトナノニードル先鋭化技術の最適条件の探索を行う。メカノ殺菌の証拠となるPCRによる水中溶出した原形質の検出を達成する。一方で、細菌がナノニードルにキャプチャーされることでストレスを受けると思われるため、このストレスを測定するために生物発光を有する細菌などを利用し、イメージング観察技術の導入も検討する。また、モデル細菌以外の水中常在菌の処理もメカノ殺菌で可能か検討する。昨年度は水熱合成によるTiO2ナノニードルの針集積密度と殺菌能との関係が明らかになったことから、このモデルに類似したアラゴナイトナノニードルの合成を図る。また、アラゴナイトナノニードルの自己再生機能のために必要な水マトリクス組成の検討を行う。
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