研究課題/領域番号 |
23K25037
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補助金の研究課題番号 |
22H03783 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
所 千晴 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90386615)
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研究分担者 |
小板 丈敏 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (00750192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 資源循環 / 物理的分離 / 接着解体 / 電気パルス / 易解体設計 / 物理選別 / リサイクリング / 可視化 / プラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
資源循環型社会における分離技術に対する技術的ボトルネックを解消するためには、固体を高精度に固体のまま分離する技術の確立が急務である。そのためには、従来の機械的な外力のみでは困難であり、選択的な化学的反応を物理的分離力と組み合わせ、異相境界面を低エネルギー・低コストで選択的に分離する革新的技術が求められる。その1つとして、マイクロ秒で数十kV程度の電気パルスを印加し、放電経路上物質を選択的にプラズマ化させ、発生する衝撃波によって音響インピーダンスの異なる固体同士の界面を選択的に剥離させる分離技術を開発する。
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研究実績の概要 |
SUSやアルミニウム、CFRPの組み合わせでJIS実験法に沿った接着試験片を作成し、水中および気中での電気パルス分離試験を遂行した。その結果、電気パルス条件の調整によって水中では安定した分離に至るものの、気中では沿面放電が発生し、安定した分離には至らないことが確認された。そこで、接着強度を下げるために、浸漬前処理などを実施したところ、条件によっては電気パルス分離が促進したが、さらに安定した分離を達成するためには、接着内部への安定した放電が必要であることが確認された。 接着内部への安定した放電を達成するために、試験片にノッチ構造を導入したところ、ノッチ部分が安定した内部放電をもたらし、電気パルスによる安定した分離を達成した。電圧シミュレーションによって、安定した内部通電をもたらすためのノッチ構造を定量的に把握することも可能であった。また,接着内部に鉄球を導入することによっても、安定した分離が達成された。これは、鉄球と試験片との界面に生じる抵抗によって周辺がプラズマ化することによる膨張が分離力となっていることが確認された。 さらに、電気パルス法によるCFRPの分離も試みた。CFRPの分離ではやはり沿面放電が生じるが、カーボンファイバーの配向方向によっては一部、内部放電も生じ、その内部放電がカーボンファイバーの分離やCFRPシート間の分離を達成することが確認された。X線CTスキャン分析などによって、放電経路や分離機構を空間的に把握することが可能であった。しかし、その分離は限定的であったため、CFRPの安定した分離のためには、さらなる機構解明と電気パルス条件等の精査が必要であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SUS材やアルミニウム材、CFRPといった、軽量化のためのマルチマテリアルに多用される材料へ対象を広げ、電気パルスによる分離の特徴と課題を整理できたため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの検討によって、電気パルスによる安定した分離に対して課題が認められたCFRPを主たる対象として、電極形状、電圧、抵抗等の電気パルス条件の探索や、電気パルス放電時の昇温、プラズマ化物質などのさらなる定量的把握によって、分離機構の詳細な解明と安定した分離のためのプロセス開発を実施する。CFRPはカーボンファイバーの配向や本数が異なるシートが多層に積層された複雑な構造を有するため、機構解明のための基礎検討には、カーボンファイバーの本数や配向が揃った試験片を別途用意することも検討する。また、分析手法としても、前年度までに確立した高速カメラによる可視化手法のみならず、高速サーモグラフィーやプラズマ分光分析などを導入して、さらなる定量的な分析を試みる。
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