研究課題/領域番号 |
23K25039
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補助金の研究課題番号 |
22H03785 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
粕谷 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50509734)
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研究分担者 |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494)
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
堀 久男 神奈川大学, 理学部, 教授 (50357951)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | リサイクル / 結着剤 / バインダー / フッ素ポリマー / ポリフッ化ビニリデン / レアメタル / LIB / 正極材 |
研究開始時の研究の概要 |
欧州において、リチウムイオン二次電池(LIB)等の蓄電池から各種金属の水平リサイクルを義務づけることが決定した。製錬を基盤とする回収技術では、特にリチウムの回収が困難という問題がある一方、我々が提案している、炭素等の還元剤を用いる手法(炭素還元法)ではリチウム等金属の回収が可能となる。最近、結着剤(ポリフッ化ビニリデン等)や集電体(アルミニウム箔)が共存していると、炭素還元法においても回収が阻害されることがわかってきた。本研究では、この結着剤を溶媒を用いて除去し、集電体から正極活物質を剥離した上で各種金属を回収する。
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研究実績の概要 |
前年度の研究の結果、リチウムイオン二次電池(LIB)用正極シートから正極活物質を剥離可能な有機溶媒を複数見つけ出すことができた。そこで今年度は、剥離・回収した正極活物質を炭素ないし水素により還元処理した後の水浸出液からリチウムを回収、精製する想定で、浸出液モデル(フッ化リチウム水溶液)からのフッ素除去について検討した。フッ素固定化剤として水酸化カルシウムを浸出液モデルに添加、撹拌することにより、液中のフッ化物イオンがフッ化カルシウムとして沈殿し、減圧濾過により除去できる。カルシウム塩の添加量や撹拌時間といった条件を最適化することにより、約96%ものフッ素を除去することに成功した。また、フッ素除去後のリチウム含有液にCO2を通気しながら蒸発乾固させることでリチウムイオンは炭酸リチウムに変換され、その純度は最高で98%超にも達したことなどがわかった。炭酸リチウムの高純度化には浸出液のリチウム濃度が高い方が適している。そのため、浸出に用いる溶媒量を最小限にするか、または浸出後に濃縮操作を行うことが望ましいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度、正極材シートから活物質を剥離可能な有機溶媒を見出すことができたことから、今年度は正極活物質の浸出液モデルを用いてリチウム塩の回収について検討した。その結果、フッ化物イオンを一定濃度含む溶液からであっても、カルシウム塩の添加により高純度のリチウム塩を回収できることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は実廃材を用いた試験を行う予定であり、既にノートPCから回収した正極材(コバルト系正極活物質を含む)を準備済である。また、回収されるリチウム塩の純度をさらに高めるべく、フッ化物イオンを吸着可能な材料についても探索を進める。
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