研究課題/領域番号 |
23K25040
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補助金の研究課題番号 |
22H03786 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
磯部 紀之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (10802986)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | セルロース / リサイクル / 環境材料 / 透明 / 代替プラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
地球最大のバイオマスであるセルロースは、強度だけでなく環境にやさしい素材として有用性が高い。セルロース素材の最たるものは紙であるが、セロハンやレーヨンといった再生セルロースもフィルムや繊維といった形状で利用されている。この再生セルロースは、セルロースの溶解・凝固により得られるため、紙やコットンを含むすべてのセルロース素材を出発原料とすることができ、原理的にはセルロース素材の閉鎖型マテリアルリサイクルシステムの構築が可能である。本研究では、研究代表者が近年開発した新規再生セルロースである透明板紙を最終生産物とし、環境に配慮したプロセスで透明板紙を製造・リサイクルする手法を開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
地球最大のバイオマスであるセルロースを単一素材とする紙は、環境に配慮した汎用資材である。同様のセルロース単一素材のひとつに、セルロースの溶解・凝固により得られる再生セルロースがある。この溶解・凝固は分子レベルで行われるため、原理的には再生セルロースの製造プロセスは、紙やコットンを含むすべてのセルロース単一素材のマテリアルリサイクルを一手に引き受けることができる。しかし、再生セルロースが紙に匹敵する社会への浸透・プラスチックの代替 を果たせないのは、製造工程の閉鎖化・使用済み再生セルロースの再利用が達成されないためである。そこで本研究では、研究代表者が近年開発した新規再生セルロースである透明板紙を最終生産物とし、環境に配慮したプロセスで透明板紙を製造・リサイクルする手法を開発することを目指す。2023年度は以下の2点に取り組んだ。 1. リサイクル溶剤に含まれる不純物の悪影響・好影響: これまで、リサイクル溶剤によって得られる透明板紙は白濁することがほとんどであったが、場合によっては新品の溶剤で調製したものよりも透明になることが明らかとなった。これは、リサイクル溶剤に含まれる不純物が溶解再生に好影響を与えているためと考えられる。この知見はセルロース溶剤の溶解力向上に役立つと考えられる。 2. 繰り返しマテリアルリサイクルした透明板紙の物性評価 繰り返しマテリアルリサイクルした透明板紙に対して、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定と圧縮試験による力学特性の評価を行うことで、繰り返しマテリアルリサイクルした透明板紙の分子量の低下や透明性の低下などを定量的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
透明板紙のリサイクル過程で生じた不純物が、セルロースの溶解再生に対して好影響を与えることが判明した。この当初はまったく予想していなかった好結果を得たため、温度や濃度などさまざまなパラメーターを変調させながら不純物を生成させて分析を行う必要性が生じ、全体としての実験作業量が増加しているため。
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今後の研究の推進方策 |
透明板紙のリサイクル性を吟味する。2023年度までの進捗を踏まえて、2024年度に検討すべき課題について以下に記述する。 1. 白濁・透明化因子の特定:2023年度の検討の結果、リサイクル溶剤によって得られる透明板紙が白濁したり、新品の溶剤で調製したものよ り透明になったりした。この白濁・透明化因子を特定するため、誘導結合プラズマ質量分析やガスクロマトグラフィー質量分析法、液体クロマ トグラフィー法といった化学分析を行う。 2. 分子量低下メカニズムの解明:2022年度、2023年度の結果より、マテリアルリサイクル時の分子量の減少を抑制する必要がある。そこで、 液体クロマトグラフィー法を用いて、分子量の低下メカニズムを明らかにすることを試みる。
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