研究課題/領域番号 |
23K25056
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補助金の研究課題番号 |
22H03802 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00283648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 環境技術 / 応用微生物 / バイオテクノロジー / 発現制御 / 生体機能利用 / メタン酸化 / メタノール誘導 / メタノール酵母 |
研究開始時の研究の概要 |
2050年脱炭素社会に向けて、炭素資源を循環的に利用する持続可能な社会経済システムの構築が喫緊の課題となっている。本研究では、メタンやメタノールなどのC1化合物や、これらを利用するC1微生物を炭素循環型メタノールバイオエコノミーで最大限活用するために、「メタンからメタノールへの変換プロセス」と「メタン・メタノールからの有用物質生産」に関する新技術開発を行い、その開発の基盤となるC1微生物の代謝生理機能の分子基盤を解明する。
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研究実績の概要 |
1.メタンからメタノールへの直接変換技術の開発 我々がこれまでに独自に開発したメタノールセンサー酵母を用いて、新奇メタン酸化生体触媒の開発を行うとともに、我々が見出した新奇メタン酸化菌におけるメタン酸化酵素遺伝子の同定に向けた研究を行った。これまでに開発したメタン酸化生体触媒へのランダム変異や部位特異的変異の導入を進めた。新奇メタン酸化菌における遺伝子破壊や遺伝子高発現を行うために、栄養要求性変異株の取得と分子育種系の構築を進めるとともに、メタン酸化酵素候補遺伝子を破壊するための遺伝子断片を作成した。 2.酵母メタノール誘導制御機構の分子基盤解明 メタノール酵母による異種タンパク質高生産の根幹を担う「強力なメタノール誘導性遺伝子発現」という本酵母の重要形質を制御する、各種転写因子の作用機構、メタノール濃度に応答したシグナル伝達経路に関する研究を進めた。Komagataella pfaffiiにおいて、メタノール濃度情報がプロテインキナーゼPkc1を経て転写活性化因子Mxr1に伝達され、Mxr1のリン酸化レベルがメタノール濃度に応じて変化することを明らかにした。さらにプロテインキナーゼSnf1複合体のメタノール誘導における役割について、複合体を構成するサブユニットの遺伝子破壊株構築と表現型解析を進めた。 3.植物生長促進効果をもつ葉面C1微生物の生理機能解析 葉面C1微生物の植物上での生存戦略と植物生長促進に関わる代謝生理機能を解析し、メタノールから生産するC1微生物菌体を新規微生物製剤として植物バイオマス増産に活用するための植物-微生物間相互作用の分子基盤解明に向けた研究を行った。メタノール細菌が生産するシデロフォアの役割を報告するとともに、様々な植物試料から葉面酵母の単離と生育特性の解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタンからメタノールへの直接変換技術の開発については、概ね計画通りに進展しており、各種変異体や遺伝子破壊用ベクターの構築を進めている。酵母メタノール誘導制御機構の分子基盤解明については、メタノール濃度情報のシグナル伝達と転写因子Mxr1のリン酸化制御について明らかにし、原著論文として報告した。葉面C1微生物の生理機能解析についても、当初の計画通りに進展しており、葉面から複数の酵母株を単離した。
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今後の研究の推進方策 |
メタンからメタノールへの直接変換技術の開発については、新規メタン酸化生体触媒の開発とその高発現系の構築を継続するとともに、新奇メタン酸化菌における遺伝子破壊や遺伝子発現のための宿主・ベクター系を整備する。酵母メタノール誘導制御機構の分子基盤解明については、転写因子のリン酸化制御やDNA結合に関する解析を進める。葉面C1微生物の生理機能解析については、葉面酵母の分離をさらに進めるとともに、単離した葉面酵母についての特性解析を行う。
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