研究課題/領域番号 |
23K25060
|
補助金の研究課題番号 |
22H03806 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20357148)
|
研究分担者 |
白井 誠之 岩手大学, 理工学部, 教授 (70250850)
日吉 範人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50415733)
山口 有朋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究部門長 (90339119)
谷口 賢吉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (41001259)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
キーワード | 物質循環システム / プラスチックリサイクル / 水熱処理 / 超臨界二酸化炭素利用 / 層剥離 / 低環境負荷技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①超臨界二酸化炭素処理による低温条件下での各ポリマー層分離、②超臨界二酸化炭素/水処理による無機素材剥離、③マテリアルリサイクルに向けた分離処理済の基盤プラスチックの物性評価、④ケミカルリサイクルに向けた基盤プラスチック(PET、ナイロン)の加水分解を行い、分離および剥離効果の検証を行う。更に、⑤得られた知見を基に、プロセスシミュレーターによる各モデル工程のエネルギー収支計算を行い、環境調和型の複合プラスチックフィルムリサイクルシステムとしての提案を行う。
|
研究実績の概要 |
使用済みの容器包装用の樹脂製品は、一般家庭から排出されるプラスチックごみの約2/3(PETボトルを含めると9割)を占めている。近年は、高機能性を付与するため、異種ポリマーフィルムを貼り合わせラミネート(多層)フィルムやペースプラスチックフィルムにアルミ・アルミナ・シリカ等の無機素材を蒸着させた複合フィルムの使用量が急増しており、これらを効率的にリサイクルするプロセスが求められている。本研究では、①超臨界二酸化炭素処理による低温条件下での各ポリマー層分離、②超臨界二酸化炭素/水処理による無機素材剥離、③マテリアルリサイクルに向けた分離処理済の基盤プラスチックの物性評価、④ケミカルリサイクルに向けた基盤プラスチック(PET、ナイロン)の加水分解を行い、分離および剥離効果の検証を行う。更に、⑤得られた知見を基に、プロセスシミュレーターによる各モデル工程のエネルギー収支計算を行い、環境調和型の複合プラスチックフィルムリサイクルシステムとしての提案を行うものである。 研究2年目の令和5年度は、現有設備を活用し、昨年度に引き続き、課題④の基盤プラスチック(PET、ナイロン)の加水分解実験を行い、PET加水分解時の生成物テレフタル酸を一部反応系内に戻すことによりPET樹脂の加水分解が促進されることを確認した。更にテレフタル酸の、ナイロン樹脂加水分解反応用の固体触媒利用の可能性を見出した。 課題①に関連して、複合フィルムの水熱処理により縮重合樹脂をモノマーに分解し、付加重合樹脂との分離を検証したが、付加重合樹脂への生成モノマー(テレフタル酸)の混入が確認され、低温条件での分離操作が不可欠であることを再認識した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
価格上昇等の問題があったが、他予算の併用により昨年度末に導入できた顕微FT-IRの活用により、複合フィルムの単純な水熱処理だけでは、付加重合ポリマーへの夾雑物の混入が避けられず、やはり新たな剥離・分離技術の必要性を再認識した。一方、水熱処理後の、付加重合ポリマーのGPC測定結果から、処理温度を一定以下の範囲にすることで、分子量低下を抑えることを確認できた。昨年度同様、研究実績概要に示したように、課題④の検討は当初の計画以上進展しており、課題全体としても研究は概ね順調に進んでいると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究3年目の令和6年度は、課題④の基盤プラスチックの加水分解実験について、昨年度に見出したPETの加水分解で生成するテレフタル酸の触媒効果について、PET樹脂はもちろんナイロン樹脂についても詳細な検討を進める。特にナイロン系では、テレフタル酸の添加による微量副生成物の発生の有無も、HPLC等を活用し、分析・同定を行う。昨年まで、研究協力者であった谷口研究員に、改めて研究分担者として参加していただき、この課題に取り組んでもらう。 課題①②については、超臨界二酸化炭素処理用の半流通式実験装置の試作を進め、年度後半には、各ポリマー層分離実験の検証を行う予定である。 ①②④の実験データを基に、環境調和型の複合プラスチックフィルムリサイクルシステムの基本モデル設計も適宜進め、プロセスフローや使用エネルギー計算などのプロセスシミュレーションの準備を、岩手大学の協力のもと行っていく予定である。
|