研究課題/領域番号 |
23K25063
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補助金の研究課題番号 |
22H03809 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
川邉 みどり 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80312817)
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研究分担者 |
婁 小波 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50247970)
中原 尚知 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90399098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 共同のしくみ / 沿岸地域社会 / 持続可能性 / 社会経済的メカニズム / 持続的発展 |
研究開始時の研究の概要 |
不利な地理的条件下にありながら、漁業を基幹産業として、好調な経済的パフォーマンスや後継者が多く存在するなどの、高い持続可能性をみせている漁村が散見されます。それらの地域に共通するのは、地域経済を担う主体が個別零細な漁家経営体であるにもかかわらず、共同で地域の抱える諸課題に対処してきていることです。現代社会において共同的な取組が却って高いパフォーマンスを生み出し、地域社会の持続性をもたらしているのはなぜなのか。本研究では、高い持続可能性を示している沿岸地域を事例研究対象として選定し、現地の関係者の協力を得ながら、社会学・経済学・経営学の多面的な視角から目的解明に挑みます。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、沿岸地域の持続的発展を支える「共同のしくみ」の社会経済的メカニズムを解明することです。本研究は、高い持続可能性を示している沿岸地域を事例研究対象として選定し、現地の関係者の協力を得ながら、社会学・経済学・経営学の多面的な視角から目的解明に挑むものです。本年度は、次の2点に注力しました。 1.「共同」のしくみの理論構築:昨年度から続けて、文献調査および勉強会開催によって理論的枠組みの構築に努めました。今年度のテーマとしては、昨年度同様の「社会ネットワーク分析」「新しい経済社会学」の「埋め込み理論」に加えてOstrom (2009)による 「社会生態系(SES)フレームワーク」に着目して文献調査を行いました。 2.事例対象地域において、それぞれ[]内に着目して、データを収集し、①技術的イノベーションにおける各過程(技術開発・実用化・社会実装各段階など)、②経営的イノベーションにおける各過程(事業化、財務、経営、流通販売チャネルなど)、③上記①・②の社会経済的文脈や文化・歴史等背景の把握に努めました。事例対象地域としては、A. 北海道・根室市歯舞地区[漁業生産にかかわるしくみ(意思決定過程、操業、資源管理、利益分配の制度やルールなど);漁協民主化に伴うコンフリクトマネジメント(合意形成過程、制度設計など)]、 沖縄県竹富島[地域共同体による生態系文化サービスの維持に係る制度設計)、和歌山県太地町[鯨類地域資源の活用技術と管理、鯨類資源を活用した海洋観光業・研究拠点構築の展開]、 福島県浜通り地方(水産業復興におけるリスクマネジメント]について、調査を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、COVID19の影響をほとんど感じることなく、「共同のしくみ」の理論構築、事例調査双方において、おおむね順調に進めることができました。文献調査をおこなった「社会ネットワーク分析」に関しては、具体的な事例とその分析手順を知ることができ、今後の研究への適用を考えています。 事例調査に関しては、COVD19の蔓延を理由に断られることがほぼなく、予定していた地域の現地調査をきわめて順調に進めることができました。また、共的水産物フードシステムの起点である生産現場に関しては、新たにたいへんユニークな取り組みをおこなっている漁業共同体(1か所)と、資源枯渇のために新たな事業展開を模索している漁業共同体(1か所)から調査協力の承諾をいただくことができたことから、次年度に、対面での調査を行いたいと考えています。 さらに、国際共同研究者を招いて、現地で漁業関係者たちを交えての対面ワークショップを久しぶりに開催することができただけでなく、そこで斬新なワークショップ手法を教示いただいたことから、今後の現地調査において活用することを考えています。
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今後の研究の推進方策 |
共同のしくみの理論構築においては、「新しい経済社会学」の「埋め込み理論」(Granovetter,1990)、に加えて、「社会ネットワーク分析」を具体的に事例について実施しながら、さらに文献調査の領域を社会システム分析へと拡張したいと考えています。また、共同のしくみにかかわる実際のデータ収集に関しては、北海道道東、福島県浜通り地方の他、また、サステイナブルな水産物フードシステム「緑のさかな」の維持機構に関する知見を増強するために、昨年度に知己を得た新たな漁業共同体1か所についても現地調査を行い、事例を増やしていきたいと考えています。 一方成果発表に関しては、いままでの知見について積極的に学会発表を行いたいと考えています。同時に、研究の広報活動については、SNS的媒体をとおして自ら情報を発信するプラットフォームを形成する必要性を強く感じています。
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