研究課題
基盤研究(B)
本研究では、気候変動に伴う生物多様性の損失が農林水産業の生産性への影響を通じてグローバル経済に及ぼす影響を解明する。そのため、まず気候変動と生物多様性損失の関係を生物多様性モデルにより、生物多様性損失と農林水産業における生産性の関係を計量経済モデルにより、全世界を対象に明らかにする。そして、明らかになった関係をグローバル経済モデルに導入し、将来の気候変動によるグローバル経済への影響を解明する。
本研究課題全体の目的は、気候変動に伴う生物多様性の損失が農林水産業の生産性への影響を通じてグローバル経済に及ぼす影響を解明することである。具体的には、まず「気候変動と生物多様性損失の関係」を生物多様性モデルにより、「生物多様性損失と農林水産業における生産性の関係」を計量経済(統計)モデルにより、それぞれ全世界を対象に明らかにする。そして、明らかになった関係をグローバル経済モデルに導入し、将来の気候変動によるグローバル経済への影響を多角的に解明する。2022年度は、3つのサブテーマ(①「気候変動と生物多様性損失の関係」、②「生物多様性損失と農林水産業における生産性の関係」、③「グローバル経済モデルによる生物多様性損失の経済的評価」)のうち主にサブテーマ①・②に取り組む予定であったが、「8.現在までの進捗状況」で述べる理由によりサブテーマ①についてはあまり進められなかった(サブテーマ③の国際多地域間産業連関モデルについても同様)。サブテーマ②については、まず地域ごとの農林水産業におよび経済変数に関するデータ収集に着手した。また、データ収集の完了したインドネシアを対象に、生態系の喪失と漁業の関係を計量経済分析により明らかにした。サブテーマ③については、応用一般均衡モデルの整備や分析に必要なデータの検討・収集に着手した。また、ブリティッシュコロンビア大学・ノルウェー経済高等学院・岩手大学の研究者の協力を得て、気候変動と水産資源の関係を応用一般均衡モデルに導入した分析を開始した。
3: やや遅れている
研究分担者3名のうち2名が育児休業を取得したことにより、計画していた研究の一部を実施できなかったため。
2023年度は、まず2022年度に実施できなかった実施予定課題を進める。そのうえで、生物多様性モデルの分析と計量経済分析を発展させ、結果を得られた(関係性が明らかになった)項目から順次グローバル経済モデルによる経済影響の分析を実施する。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Environmental Economics and Management
巻: 118 ページ: 102788-102788
10.1016/j.jeem.2023.102788
Sustainability
巻: 14 号: 14 ページ: 8498-8498
10.3390/su14148498
Sustainable Cities and Society
巻: 87 ページ: 104236-104236
10.1016/j.scs.2022.104236
https://www.matsumoto-lab.net/