研究課題/領域番号 |
23K25086
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補助金の研究課題番号 |
22H03832 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
林田 秀樹 同志社大学, 人文科学研究所, 教授 (70268118)
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研究分担者 |
岩佐 和幸 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (40314976)
祖田 亮次 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
小泉 佑介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (50866712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | パーム油 / アブラヤシ / アブラヤシ農園 / 小農 / 農園企業 |
研究開始時の研究の概要 |
今世紀に入ってから、アブラヤシを原料とするパーム油に関連した産業部門は、東南アジアにおける熱帯林破壊の元凶のようにみられてきた。しかし近年、そのパーム油関連産業が転換期に差掛かっている。世界的なパーム油需要の停滞、マレーシアにおける農園労働者の慢性的不足、アブラヤシ農園開発が当地に広く分布する泥炭湿地にまで及び大規模な火災・煙害の発生要因となっていることなどに対する批判といった制約が、主要な要因である。本研究では、それら諸制約を、アブラヤシ農園の際限ない拡大に歯止めをかける契機となりうるものととらえ、実際にそのような契機とするための諸政策の立案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、2022年度、研究代表者が所属部局・同志社大学人文科学研究所で主宰する共同研究会(同研究所第21期第8部門研究、研究課題:「東南アジアの小規模生産者に関する部門横断的研究―地域経済・社会の内発的発展への貢献を考える―」)をプラットフォームとして研究活動を行ってきた。研究代表者はもちろん、3名の研究分担者も全員この研究会のメンバーとなり、様々な研究領域をもつ他の12名のメンバーたちと学際的共同研究を展開してきている。今年度、林田、祖田亮次及び小泉佑介が、この研究会主催のセミナーで本研究の研究課題に関する研究発表を行い、各自の調査の実施計画や実施状況、分担課題の遂行状況等に関して情報共有するとともに、本研究の今後の計画遂行に関する相談を行ってきている。 このほかの口頭発表としては、林田が学会発表蘭に記したシンポジウムで講演したほか、所属部局が主催する同志社大学人文科学研究所2022年度連続講座で3回にわたって招待講演を行った。当該講座の主題は「パーム油の用途/産業のあり方を考える―食用から燃料への転用は是か非か―」であり、各回の副題は、学会発表欄に記した通りである。岩佐も、所属する学会の大会で催されたシンポジウムで招待講演を行っている。 論文としては、岩佐が上記のシンポジウムでの講演内容に基づいてまとめた1本の論稿を、祖田が2本の共著論稿を発表している。なお、祖田の2本の論稿の共著者は、長年の研究上のカウンターパートである加藤裕美(福井県立大学学術教養センター・准教授)である。今後、加藤との調査研究上の連携も検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように、メンバー各自が自身の分担課題に関する調査を実施するとともに、着実に成果を上げてきていることが、本研究は「おおむね順調に進展している」とする理由である。岩佐和幸は、2022年度より所属部局の学部長の職にあることに加え、健康上の理由で海外調査を実施できていないが、それ以外のメンバーは、新型コロナウィルス感染症関連の規制の緩和に対応して、インドネシア西カリマンタン州及びリアウ州、マレーシア・サラワク州の調査対象地において積極的にフィールド調査を実施してきている。また、岩佐も、本研究の課題を含むより包括的なテーマの論稿を発表するなど、着実に成果を上げている。 ただ、フィールド調査に関しては、最近まで新型コロナ関連の規制で約3年間にわたり十分な調査ができていなかった期間の直後であるため、当該期間にオンライン上で細々とつないできた研究協力者や調査対象者らとの関係を元通りの状態に戻し、調査協力を改めて要請することから始めざるをえなかったため、決して「計画以上に進展している」わけではない。一方で、そうした事情は当初から織り込み済みであったため、現地研究協力者らとの関係回復を滞りなく終え、今後の調査研究計画についても理解と同意を得て調査開始の緒に就くことができた。今後は、研究協力者らとの連携をより強固なものとしながら、どのように当初の研究計画に沿って調査の進捗を図っていくかが問われることになる。
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今後の研究の推進方策 |
着実な調査の実施と併せて、その調査で得られた知見をどのように研究成果として公表していくかについて積極的で実行可能な計画を立てることが今後の研究の進捗を図るうえで重要である。「研究実績の概要」欄でも述べた通り、本研究は、研究代表者が所属部局で主宰している部門研究会をプラットフォームとして活動を展開している。この研究会では、本研究のメンバーを含む16名の全メンバーに、年1回の研究報告を義務として課している。諸事情によりその義務が果たされない場合もあるが、義務を課すこと自体は、調査の結果をまとめ、それを既存研究に照らしつつ検討し、学術的成果に結びつけていく機会としては有効である。加えて、そうした場は、本研究のメンバー間で互いの調査研究の経過・成果を共有する重要な機会になるとともに、本研究のメンバー以外からのリビューを受ける貴重な機会にもなっている。研究期間中は、こうした活動を基本スタイルとして維持していく。 以上の過程を経て、本研究のメンバー各自がそれぞれの所属学会で研究発表を行い、その内容を学術論文に結実させていく過程を今後重視する。各自の学会発表・論稿投稿計画を互いに明確化し、その経過についても随時情報共有を行う。その傍らで、それぞれの論稿をどのように本研究の最終目標である共同著作にまとめ上げていくかについて、プラットフォームの研究会の場で議論を重ねていく。 もちろん、必要に応じてプラットフォーム外でのメンバー間の情報共有、意見交換の場も設ける。また今後は、本研究のメンバーでセッションを組み、成果の社会還元を兼ねてグループとしての研究発表を行うことも検討したい。具体的には、代表者の所属部局が年に4回程度開催している「同志社大学人文科学研究所公開講演会」の場などを想定している。
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