研究課題/領域番号 |
23K25087
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補助金の研究課題番号 |
22H03833 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
白石 壮一郎 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (80512243)
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研究分担者 |
椎野 若菜 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20431968)
萩原 卓也 東洋大学, 健康スポーツ科学部, 助教 (80803220)
岡本 圭史 九州大学, 人間環境学研究院, 学術協力研究員 (90802231)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 可視化される都市社会階層 / 社会移動 / プレカリティ / 農村・都市関係 / 生活世界/想像界 / 機会主義 / 噂・ゴシップ / 友人関係 / 盗み・賄賂 / SNS / 富の不均衡 / 社会保障 / 公共空間 |
研究開始時の研究の概要 |
今世紀に入って四半世紀経過したアフリカ各国では、高学歴化とともに都市部に居住する20歳-40歳の若年層のうち新興中間層の出現が注目される。だが、多くは中間層のボトムに位置し、社会階層の移動機会を夢見ながら毎日の稼ぎ口を探しあくせく過ごしている。そのようななかでかれらが描く都市的状況のなかでの自己像や社会関係はいかなるものだろうか。
本研究は、中間層の最下層の位置する若年層の視点に立ち、かれらの社会階層意識や生活文化、農村家族との関係、そして自国の公的な政治経済およびグローバルな世界へのコミット、あるいはそれらからの疎外感についてのかれらの実践と態度を明らかにするエスノグラフィを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、共同研究メンバー4名が従来の現地調査で得た知見のうち、現地・調査対象の状況と本研究課題との関わりについて確認していくべく、4月-7月の期間にオンラインで2-3時間の研究打ち合わせを計5回もった。これをふまえ、8月から9月(ウガンダ共和国)、および3月(ケニア共和国)に各自が現地調査をおこなった。
3月には年度末の調査中間報告会を開き、今後各自が扱うトピック案をしめし、全体研究課題を部分的に修正した。たとえば、当初は中高等教育大衆化によって増大した中間層予備層(中間層ボトム)は公用語である英語による文書コミュニケーションに親和的で、公的セクターから社会政策による再配分の顕在的・潜在的要求をもつだろうと想定した。しかし、常勤職にある者など一部を除いては公的セクターや海外援助機関などからの再配分システムへのアクセスを試みる事例はほぼみられなかった。それよりも、親族間のパトロン-クライエント関係、妖術など伝統的な部類の再配分や盗み・賄賂などインフォーマルな経路での再配分などに依然として関心が示されていることがわかった。むしろこれらの枠組みのなかで親族間のパトロン-クライエント関係の管理、都市における妖術的なものの語り、盗みや賄賂などへの両義的評価など従来の理解枠組みとみえるもののなかでどのように新規の状況にともなうトピックを扱っているかに着目していくことが本研究課題のために有益である。そのほか、セカンダリ・大学卒の中間層ボトムの結婚戦略や(相対的上層である中間層ふくむ)交友関係、アラブ諸国への若年女子「出稼ぎ」に関する言説なども、注目すべきトピックとして挙げられた。これらのトピックは、近年のアフリカ研究で議論がさかんな婚活アプリ・SNSによるコミュニケーションへの評価や、(南アを中心に研究がおこなわれている)black taxと中間層の脆弱性という問題系に接続しうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19パンデミックおよび政治経済不安による治安悪化などがないかぎり、各メンバーとも設定したトピックに関する現地調査をおこなう。現地調査が困難な場合は、関連する近年の研究文献の検討をおこなう研究会をもつ。
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今後の研究の推進方策 |
本共同研究は全体で4年間の計画であり、2年目にあたる2023年度までは、現地調査によるデータの収集と整理とに全力傾注する。つまり、2022年度と同じくウガンダ共和国(椎野・白石)、ケニア共和国(岡本・萩原・椎野・白石)にて現地調査をおこない、前後して調査計画打合せや調査データ整理の中間報告会を複数回もつ。2024年度、2025年度は、前半2年間の調査データを利用した成果を、国際学会等で口頭発表し、論文として公刊する予定である。
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