研究課題/領域番号 |
23K25092
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補助金の研究課題番号 |
22H03838 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (80183804)
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研究分担者 |
川崎 訓昭 摂南大学, 農学部, 准教授 (10633737)
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (20452287)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
伊庭 治彦 就実大学, 経営学部, 教授 (70303873)
LOPEZ Mario 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70527639)
佐藤 孝宏 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80444488)
KALAPONG JESSADAKORN 同志社女子大学, 学芸学部, 助教 (91002153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 経済-社会-環境連関 / 農村長期動態 / シナジーとトレードオフ / 東南アジア農村 / タイ国東北部 |
研究開始時の研究の概要 |
現代社会が直面する課題には、経済、社会、環境という人類の生存を支える三つの基盤のいずれとも関わる複合的なものが多い。したがって、課題解決に向けた取組みに内在する連関を見極める必要がある。本研究の目的は、タイ国東北部の一農村を対象として、1980年代の高度経済成長期以降、今日に至る40年間の経済、社会、環境の諸側面の変化を世帯単位で定量的に評価し、経済成長の過程でどのような経済-社会-環境の連関が生み出されたのかを時系列分析と世帯間比較により検証することである。総合的な地域研究とサステナビリティ研究の潮流を踏まえ、地球規模課題の克服に資する地域研究を展開しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、タイ国東北部の農村を対象として、1980年代の高度経済成長期以降、今日に至る40年間の経済、社会、環境の諸側面の変化を世帯単位で定量的に評価し、経済成長の過程でどのような経済-社会-環境の連関が生み出されたのかを時系列分析と世帯間比較により検証することである。令和4年度の主たる成果は以下の通りである。 1.研究メンバーの役割分担、研究スケジュール、悉皆質問票調査と個別トピックの調査の方法論、最終的に到達すべき成果を研究協力者等も含めて共有するために、京都と現地でキックオフの会合を開催した。 2.対象農村の統合データセットの構築に着手した。1980年代と2000年代の質問票調査を出発点として、今日の社会経済環境の変化を踏まえて改訂すべき点を検討するために、対象農村において予備調査を実施した。 3.時系列分析と世帯間比較によるシナジーとトレードオフの検証に向けて、さまざまな事例研究の成果を共有するために、コンケン大学農学部において現地の研究者とともに以下のセミナーを開催した。 “Seminar on agrarian transformation in Isaan”(2022年8月) International seminar on “Sustainable development path of rural Northeast Thailand”(2023年1月)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.現地の研究協力者との協力体制の構築が順調に進んでいる。 2.対象農村の統合データセットの構築のための質問票調査に向けて、質問票改訂のための予備調査に着手することができた。 3.時系列分析と世帯間比較によるシナジーとトレードオフの検証に向けて、現地の研究者とのセミナーを2回開催することができた。これらのセミナーを通じて、政府の農業・農村政策と民間セクターや農民の志向の乖離、化学肥料や農薬の普及と安全対策、Young Smart Farmerの出現とその展望、農業の6次産業化、農村におけるケアのあり方等、過去には論点とされてこなかった課題を考慮する必要があることが認識された。 4.質問票改訂の予備調査においても、家計を世帯単位で検討することや親密圏をモノのやり取りで測ること、親密圏と都市化の関係性、公的な制度の整備・充実が親密圏に与える影響等、本研究課題の核心をなす問いを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、以下の方策により推進する。 1) 統合データセット構築による40 年間の変容分析 調査研究対象とする項目は以下の通りである。 世帯概要:構成員、出身地、結婚・出産歴、移住歴/経済:生業と所得、支出、借金、土地所有・売買・貸借、住居形態、家財・農機具所有/社会:教育、親族ネットワーク、コミュニティ、宗教活動、リーダーシップ/環境:農業生産・技術、エネルギー消費、GHG 排出(CO2、窒素等)。全世帯を対象とした質問票調査と個別調査や参与観察、現場での測定、ドローンを用いたモニタリング等によりこれらのデータを収集する。出産、結婚、死亡、移住等による各世帯の構成員の出入りを同定し、1980 年代と2000 年代の調査結果を結合したデータセットを構築し、2020年代の調査結果を含む40年間のデータセット構築を進める。 2) 時系列分析と世帯間比較によるシナジーとトレードオフの検証 経済発展過程において、大部分の世帯が経済的に豊かになるとともに、村内での社会的な活動への参加機会が減少し、環境負荷の大きい生業・生活へと変化していると考えられるが、この変化には世帯間でばらつきがあると予想される。そこで、まずは1980 年代と2000 年代の調査結果を結合したデータセット用いて、データセットの主要な項目について、対象村落全体としての動向を分析するとともに、経済発展によりアクセスが容易になった就業、消費、教育、技術をどのように活用し、生業・生活をどのように変化させてきたのか、すなわち、どのような経済-社会-環境連関を選択し、また回避したのかに関する世帯単位での検証に引き続き取り組む。そのうえで、各世帯による経済-社会-環境連関の選択を世帯間で比較することにより、選択あるいは回避の背景となった条件、すなわち経済-社会-環境連関の制約条件を検討する。
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