研究課題/領域番号 |
23K25107
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補助金の研究課題番号 |
22H03853 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
原 直行 香川大学, 経済学部, 教授 (40304571)
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研究分担者 |
矢部 拓也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (20363129)
石筒 覚 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (50314977)
西村 勝志 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (70198498)
松本 卓也 徳島大学, 人と地域共創センター, 特任助教 (80927575)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | ワーケーション / 地域活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
ワーケーションはコロナ流行以降、急速に注目されるようになったが、現在、各地で実践的に取り組まれている段階で、研究蓄積がほとんどない。本研究では、ワーケーションを行う企業・従業員と受入地域との双方向のラーニングが、新たな地域課題の解決手法、ローカルビジネスの創出等を通じて地域活性化に極めて大きな意義があることを実証し、同時にその手法を明らかにする。その際、①従来の企業・従業員中心から受入地域中心への新たな研究へのシフト、②研究フィールドで社会実装を伴うアクションリサーチ、③四国での共同研究による実証研究の蓄積を行うことが本研究の特色である。
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研究実績の概要 |
四国4県における各研究フィールドでの研究実績の概要は以下の通りである。 <香川>香川では、ワーケーション実証実験の協力企業として、東京の株式会社リコーの社員に、小豆島や高松市、松山市でワーケーションをしながら、地元企業等と双方向のラーニングにつながる形でビジネスマッチングを行ってきた。リコーの得意とするデジタル化に特化して、「中小企業DX」をテーマにどのような企業等がマッチング対象として適切かアクションリサーチを行っている。 <愛媛>愛媛では、松山市の島嶼部である中島をワーケーションの舞台にして、多様な地元企業と自治体が参加することでプラットフォームを構築し、仲間意識を高めることで対等の関係性を築き、互いに自社課題や社会課題の解決を図り、地域活性化を目指すべく、双方向ラーニング・ワーケ-ションの実証的研究を行った。そうした中、ワーケーションの新たな在り方究明に基づく働き方改革の推進に関する研究実績を上げた。 <徳島>徳島では、研究者自身が地域に継続的に滞在し、活動に主体的に関わる実証的研究として、事業や地域コミュニティの変化について調査を実施している。現在までに吉野川市におけるワーケーション実践研究では、リノベーションによる活動拠点を設立する経緯を研究論文としてまとめた。上勝町インバウンドワーケーション事業への参与観察についても同様に、事業の立ち上げから現在までの経緯を論文とした。 <高知>高知では、親子(ファミリー)をターゲットとし、自然体験をベースとしたワーケーションプログラムの開発・試行を行い、親のワーケーション環境の条件を検討した。これまでの結果から、ワーケーションのニーズは全般的にはありながらも、テレワークが進んでいない中小企業における普及などが課題となっていること判明した。その一方で、テレワークが可能な仕事をしている親からは、高いニーズがあることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四国4県における各研究フィールドでの現在までの進捗状況は以下の通りである。 <香川>令和4年度は小豆島でのワーケーション実証実験を2回行った。令和5年度は研究対象地域を小豆島に限定せず香川県全体に広げたがうまくマッチングができず、結果的に中小企業のデジタル化に通暁している企業や団体が存在する愛媛県松山市にて実証実験を2回行った。また、マッチングのテーマが中小企業のデジタル化に絞られてきたので、その研究も進めた。 <愛媛>参加地元企業や自治体が、双方向ラーニング・ワーケーションを体験・体感した上で講演・ワークショップ等を行い、ワーケーションの共通理解を深め、リフレッシュにとどまらず、各社の働き方改革につながるワーケーションの新たな在り方を実証的に究明した。また既に、社会課題であるカーボンニュートラル推進にまで視野を広げ、そこでの課題(太陽光発電設備の廃パネルの利活用とSCMの在り方)を掘り起こしている。 <徳島>吉野川ワーケーション実践研究は、対象団体が新たにクラウドファンディングを使い新たなアート施設のリノベーション活動などを開始しており、継続して調査を行っている。上勝町インバウンドワーケーション事業への参与観察についても、これまでの事業者視点から調査と合わせて、新たに地域住民視点からの変化について追加調査を実施中である。その他比較研究として、国内外のワーケーション事例調査も実施した。 <高知>2023年度は、高知県土佐町(自然体験型)、高知市土佐山(ファミリーフィットネス型)、群馬県上野村(移住体験型)で親子ワーケーションの試行を行った。受け入れ組織側では、テレワーク環境の整備が進んでいる一方、参加者のテレワークの経験の有無で、ワーケーションに対する意識に大きな差があり、プログラムの設計に課題がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
四国4県における各研究フィールドでの今後の研究の推進方策は以下の通りである。 <香川>高松市で実証実験を1回行う。マッチングテーマが中小企業のデジタル化に絞られ、今後もワーケーションによる中小企業DXという地域課題の解決による地域活性化を継続して進めていくことが重要であるため、協力企業である東京のリコーと連携しているリコージャパン香川支社とのマッチングを高松で行う。また、3年間の研究を総括するシンポジウムを高松で開催し、本研究のまとめを行う。 <愛媛>カーボンニュートラルの推進については、多様な再生可能エネルギーをバランスよく活用することが重要であるが、とりわけ、太陽光発電設備の導入・普及は、企業のみならず個人でも可能であり、持続可能な社会づくりに不可欠とされるので、今後大量に廃棄されるパネル材のアップサイクル商品化展開と、そのために組織を超えたサプライチェーンマネジメント(SCM)の在り方が問われよう。この2点を研究の推進方策とする予定である。 <徳島>これまでの事例研究は継続しつつ、ポストコロナ禍の今日におけるワーケーション政策の評価を行いたい。徳島県では、「ワーケーション」を「徳島=阿波(あわ)」とかけて、「アワーケーション」という政策を進めている。当初はコロナ対策としての旅行会社救済の意味合いが大きかった本政策が、インバウンド観光も含めて正常化された今日の地域活性化策としての意義を議論したい。 <高知>新型コロナ禍の収束以降、とくに中小企業では通常の勤務に戻るケースが多く、テレワークをベースにしたワーケーションを行えない環境が存在している。そのため、中小企業におけるテレワークとワーケーションの実施条件を改めて検討するとともに、テレワークが可能な親に対しては、自然体験型ワーケーションの内容についてのニーズ明らかにする。
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