研究課題/領域番号 |
23K25120
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補助金の研究課題番号 |
22H03866 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松山 智至 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10423196)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | X線顕微鏡 / X線ミラー / 大視野 / 放射光 |
研究開始時の研究の概要 |
1年目は,ミラーを含めた光学系の設計を実施する.光線追跡や波動光学計算を駆使して,最適設計を目指す.2年目はミラー設計を引き続き進め,完了し次第,ミラー作製に移行する.加えて,ミラーマニピュレータに要求される許容精度の計算やその設計・開発を進める.3年目は顕微鏡システムの構築と,その性能評価を実施する.さらにXAFSイメージングやCTを実施する.
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研究実績の概要 |
実用的なX線顕微分光を実施するためには,大視野,高空間分解能,高効率,色収差のない顕微鏡システムが必要不可欠である.しかし,FZPなどの回折レンズを用いた顕微鏡では効率と色収差の点で課題があった.一方で,反射レンズ(結像ミラー)では視野が狭いという課題があった.本研究では,これまでコマ収差と像面湾曲収差によって大視野化が難しかった結像ミラー光学系において,コマ収差と像面湾曲収差を補正することができる新規結像光学系を実現することを目指している. 本年度は,①シミュレーション,②ミラーマニピュレータの開発,③顕微鏡システムの開発,を中心に実施した. ①では,これまでに設計した光学系の挙動を正確にシミュレートするために,新しいシミュレータを開発した.よく用いられる3次元波動伝搬計算よりも計算コストを軽くするために,幾何光学と波動光学を組み合わせたコードを開発した.これによって,ミラーアライメント誤差に対する波面収差の様子や点広がり関数を短時間で計算することができた. ②では,ミラー光学系を調整できるミラーマニピュレータの開発を行った.また,これをアクリル製真空チャンバで覆うことで,ミラー上のコンタミを防ぎつつ高強度X線を照射できるようにした. ③では,SPring-8にて顕微鏡システムを構築した.これを用いてX線顕微鏡実験を実施した.50nm構造まで明瞭に観察できた.また,視野は100umを超えており,期待した挙動が見られたが,ミラーアライメントにわずかに誤差があったためか,一部分解能が低下している領域が見られた.アライメント方法については今後の検討課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに順調に進んでいる.新しい提案の光学系をうまく設計でき,その挙動を予想できるシミュレータを開発した.実際にミラーマニピュレータや顕微鏡システムを構築し,その性能をSPring-8にて評価することができた.アライメント誤差のせいでまだ完全な性能の達成には至っていないが,50nm分解能の達成と視野拡大が達成されたことから,当初計画を達成できたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として,SPring-8にて開発したX線顕微鏡の性能評価や顕微分光,位相イメージング,CTなどを実施することを目指す.また,2023年度のSPring-8実験にて得られた課題である,視野を最大化しつつ空間分解能を視野全体でほぼ回折限界となるような実用的なミラーアライメント方法,を検討する.FZPにて試料面に点光源を形成する方法や,in-situ波面計測法などを組み合わせて,これを解決する.加えて,実用的な課題として,ミラー上のコンタミネーションがあるが,これについてはSPring-8にて実施した実験から,コンタミネーションが起こりにくい実験条件が見出されつつある.この点をさらに調査し,実用的な顕微鏡システムの構築を進めていく.
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