研究課題/領域番号 |
23K25130
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補助金の研究課題番号 |
22H03876 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大内 徳人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, シニアフェロー (50194080)
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研究分担者 |
菊池 章弘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, グループリーダー (50343877)
有本 靖 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (90379280)
王 旭東 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (20550346)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | Nb3Al超伝導ケーブル / 超細線ストランド / リアクトアンドワインド / A15超細線ストランド超伝導ケーブル / Nb3Al超伝導線 / 加速器用超伝導電磁石 / Nb3Al超細線ストランド超伝導ケーブル / 化合物系超伝導ケーブル / 素粒子加速器用超伝導電磁石 / 小型冷凍機冷却 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで加速器用超伝導電磁石に主に使用されてきた合金系材料(NbTi)よりも超伝導特性が優れているA15材料(Nb3Al)をNbTiケーブルと同様の手法で磁石材料として使用出る手法の確立を目指している。Nb3Alは機械的な脆さを持つため、コイル形状に成型後熱処理を行う必要があった。直径50μのストランドで構成されたケーブルでは熱処理後のケーブルでもコイル製作上の機械的な曲げが可能となる。Nb3Alケーブルの機械的な曲げに対する超伝導特性を研究することにより、熱処理後のケーブルで超伝導コイルを製作するための電磁石・ケーブル設計パラメータの適応範囲の特定を行う。
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研究実績の概要 |
Nb3Al化合物超伝導材料により外径φ50μmストランド線49本撚りケーブルを作成し、その超伝導特性を測定した。測定は、超伝導ケーブルが直線状で行われた。サンプルケーブルに印加された磁場は0~5Tで、またケーブル温度を4.2 K~15 K間で変化させ、超伝導状態から常伝導状態へ転移する分流開始臨界電流値の測定を行った。得られた結果は、横軸温度、縦軸ケーブル電流値としたプロットに纏められ国内、海外の学会で発表した。 得られた結果は印加磁場毎に纏められ、本ケーブルが直線状態で現在検討を進めている超伝導補正6極電磁石に必要とされる電流密度、分流開始温度を持つことが確認された。今後進めていくケーブル曲げ試験、超伝導補正磁石設計の基本データとなるものとなった。上記ケーブル試験は、試験区間80mm程度の短尺サンプルによる性能評価試験であるが、熱処理後のケーブルの最小曲げ半径を確認後、ケーブル長5m程度のソレノイドを作成し、長尺ケーブルの超伝導特性を測定する。
以上の研究成果は、第19回日本加速器学会年会(2022年10月18日~21日)、2022年度秋季低温工学・超伝導学会(2022年12月7日~9日)、Applied Superconducting Conference(ASC2022)で発表した。日本加速器学会の発表は口頭発表で、他の2件はポスター発表である。また、ASC2022で発表した論文は、IEEE Transactions on Applied SuperconductivityにDOI: 10.1109/TASC.2023.3253073として受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、小型冷凍機冷却超伝導6極電磁石に組み込まれる超伝導補正電磁石用ケーブルとしてNb3Al超細線ストランド超伝導ケーブルの開発を進めている。2022年度の研究成果から、本ケーブルは補正電磁石に必要な超伝導特性を直線状態で十分持ち合わせていることが確認できた。また、直線状態で測定されたケーブル(ストランド外径50μm、49本撚り)は、製作上の工程も見直され、現在では長さ80 mのケーブルを製作することが可能となっている。 測定試験を行う上でマイクロボルトを安定に測定することができるDCアンプが必要となった。電子部品を使用した精密機器の入手が非常に難しくなっているが、これまで高エネルギー加速器研究機構が保持してきた測定器を整備することにより、精度の高い測定を続けることが可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究では、直線状態での超細線ストランドケーブルの超伝導特性の測定を行い、その性能を確認した。2023年度の研究において、熱処理された直線ケーブルに機械的な曲げ処理を行い、超伝導特性への曲げ効果の影響を測定する。 また、2022年度研究費でφ50μmストランド49本、撚り方式が7x7撚り(70m)、全数撚り(80m)のNb3Alケーブルを製作した。このケーブルを用いて長尺での超伝導特性の試験を行う。2022年度の測定では長さ80mmの長さのケーブルサンプルにより超伝導特性を測定したが、数メータレベルの超細線ストランドケーブルをコイル状にし、その長さにわたって超伝導劣化のないことを確認することは、実際のコイル製作では極めて重要な測定となる。 この測定で問題点が見つかれば、ケーブル製作上の改善を研究することになる。 長尺ケーブル試験で行うケーブルのコイル形状への加工においては、その半径も異なるものを作成し、試験を行う予定である。
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