研究課題/領域番号 |
23K25132
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補助金の研究課題番号 |
22H03878 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
園田 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 技師 (60525583)
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研究分担者 |
富田 英生 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432239)
羽場 宏光 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 室長 (60360624)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
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キーワード | 医療用RI / レーザー共鳴イオン化 / ガスセル / RIビーム / アスタチン211 / 放射性薬剤製造 / 同位体分離 / アスタチン211 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、核医学治療の応用へ期待されるアルファ線核種211Atは、加速器を利用して生成されその分離・精製過程において現状、化学的な手法を利用して製造されている。本研究は化学的な手法を利用しない代わりにRIビームとして211Atを生成しビーム生成に関わる物理的な分離・精製過程において製造する。本研究手法は、化学的な手法では到底実現不可能な同位体間同士の分離を質量数の違いからビーム光学的に分離可能あるが、さらにレーザー共鳴イオン化法を用いることで同位体シフトの違いより分離できる。本研究手法の実用可能性が示されれば211アスタチンに限らず225アクチニウムなど他の医療用RIへも応用していく。
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研究実績の概要 |
本年は、はじめにレーザーイオン化の予備テストとして真空中におけるアスタチンのレーザーイオン化実験を行った。これは加速器ビームによって照射されたアスタチン分離精製前のビスマス標的を真空中におき、抵抗加熱法によりアスタチン原子を生成することで行われた。生成されたアスタチン原子にレーザーを照射してアスタチン原子のイオン化を試みた結果、過去に調査されていたアスタチンレーザーイオン化の共鳴波長と一致した。この実験では真空中に生成されたアスタチン原子をレーザーイオン化領域へ収集する手段をもたないので検出効率は低い。そのためイオン化波長を確認することのみを目的として行った。 本手法の根幹であるガスセルおよび質量分離システムの製作を進めた。これは高純度なガスを供給するガス精製装置や差動排気システムを含んでいる。差動排気ポンプから回収されるガスに放射性アスタチンが含まれる場合、アスタチンが大気中へ拡散することを防ぐため完全密閉型のガス循環装置の製作を当初計画していた。しかし回収ポンプの納期が長期化することに鑑み、新たなガス純化排出装置を導入することで上記の汚染対策に関して解決することができた。本装置はドラフト内で構築された非常にコンパクトなものであり、過去に開発した新しい差動排気方法により大型な真空ポンプを使用しなくても10^7の圧力差を実現している。アスタチン-211は医療用RIの供給目的により所内で定期的に生成されているので当実験用に使用するアスタチンも高い頻度で生成することができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本手法はガスセルと高真空装置を結合するための差動排気システムが不可欠であり、当初ガス循環型の差動排気システムを導入する計画であった。これはアスタチンが大気中に汚染することを防ぐためである。そのため循環に必要な真空ポンプの納期待ちによる遅れが生じたが、新たな汚染対策を導入することで循環ポンプを使用しなくても実験できる体制が整った。現在すべての必要部品は概ね揃っており計画通りの実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで本研究に必要な実験装置は概ね完成したので以下の要領で実験を進めていくことを計画している。(1)加速器ビームで照射されたアスタチン分離精製前のビスマス標的(アスタチンの強度で数100キロベクレル)をガスセル内に設置してアスタチン原子のレーザーイオン化・質量分離を行いアスタチン-211を収集する。(2)収集したアスタチン-211の強度を測定して装置の性能を評価する。ガス中でレーザーイオン化を行う場合、アスタチンイオンが分子化していることも想定されるので広範囲に質量スキャンを行い質量分布を確認する。これはアスタチンの分子化に関する新しい情報になる(3)システムの最適化を行い本手法の実用性を評価する。(4)加速器のビームラインに直結した装置の構築を目指す。
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