研究課題/領域番号 |
23K25137
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補助金の研究課題番号 |
22H03883 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
田尻 寛男 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主幹研究員 (70360831)
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研究分担者 |
山口 明 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (10302639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 超低温 / ヘリウム原子層 / 放射光 / X線散乱 / 表面・界面 / ヘリウム / 原子層 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、表面科学と放射光科学が融合した放射光表面構造科学の未到分野である超低温構造物性を開拓するために、放射光X線散乱を用いて1 K程度の超低温表面を原子レベルで観察できる手法の開発を目的とする。特に、超低温物理のプロトタイプであるヘリウム吸着グラファ イト系が形成する固相の原子配列構造を解明し、超低温物理における構造計測のブレイクスルーを起こす。
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研究実績の概要 |
本研究では、表面科学と放射光科学が融合した放射光表面構造科学の未到分野である超低温構造物性を開拓するために、放射光X線散乱を用いて1 K程度の超低温表面を原子レベルで観察できる手法の開発を目的としている。1 K近傍かそれより低い超低温環境におけるヘリウム原子吸着系は、二次元超流動をはじめとした低次元量子液体・固体研究の主要舞台であり、さまざまな量子現象が発見・提唱されている。 一方で、主に熱流入の問題から、超低温ヘリウム原子吸着系の構造情報を抽出できるプローブは中性子散乱などごく一部に限られていた。我々はX線と物質の相互作用が他のプローブに比して1桁以上小さいことを逆手にとり、観察対象への熱流入を抑制した原子レベル観察手法として超低温表面における放射光X線散乱法を開発している。0.1 Wのギフォード・マクマホン型冷凍機とヘリウムの減圧排気を組み合わせた試料冷却機構で最低温度1.37 Kまでの試料冷却が可能となっている。 本研究で取り組む低温物理のプロトタイプであるヘリウム吸着グラファイト系はヘリウム単原子層(固相)の他、多層構造、整合・不整合相転移など多様な表面相をなすが、今回は、ヘリウム1原子層整合相に的を絞り、その放射光表面X線散乱の観測を試みた。グラファイト(001)基板上に成長した4.4 Kにおける低吸着量のヘリウム1原子層整合相を作製し放射光X線実験を行ったところ、ヘリウム吸着による表面X線散乱の強度変調を確認できた。ヘリウム吸着の有無による散乱強度の差分は数10%程度で、そのプロファイルはシミュレーションとよく一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超低温物理のプロトタイプであるヘリウム吸着グラファイトを対象として研究を進めており、グラファイト(001)基板上に成長した4.4 Kにおける低吸着量のヘリウム1原子層整合相からのcrystal truncation rod(CTR)散乱では、ヘリウム吸着によるCTR散乱の強度変調を確認できた。ヘリウム吸着の有無によるCTR散乱強度の差分は数10%程度で、そのプロファイルはシミュレーションとよく一致した。
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今後の研究の推進方策 |
4.4 Kよりさらに低温での放射光表面散乱によるヘリウム原子層観察を行う。さらにヘリウム吸着量を制御することにより、1原子層整合相および不整合層、およびヘリウム原子層の固相-液相転移点(2.91K)の観察を試みる。
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