研究課題/領域番号 |
23K25141
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補助金の研究課題番号 |
22H03887 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊原 久裕 九州大学, 芸術工学研究院, 名誉教授 (20193633)
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研究分担者 |
工藤 真生 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | ピクトグラム / 知的障害 / ルドルフ・モドレイ / 多様性のためのデザイン / デザイン史 / 多様性 / JIS案内用図記号 / 知的障害者 / 理解度 |
研究開始時の研究の概要 |
包摂型社会を目指す現代では,ピクトグラムには標準の範囲を超えた繊細な対応が求められる.本研究は,標準化が排除したと想定される要素として,特に身体・動作・感情・コミュニケーション表現に着目し,多様性に応えるピクトグラムを提案することを目的とする.そのために本研究では,標準化以前の時代を遡り,多様なピクトグラムが産出された1930年代から40年代の米国に注目し,同時期のピクトグラムの分析を通して標準化とは異なるピクトグラムを試作する.さらにそのデザインについて,知的障がい及び自閉スペクトラム症を有する人,また障害を有さない人を対象に実験を行い検証する.
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研究実績の概要 |
本研究は,ピクトグラムの標準化が取りこぼしたと想定される要素として,特に身体・動作・感情・コミュニケーション表現に着目し,多様性に応えるピクトグラムを提案することを目的とする.そのために,1930年代から40年代にかけての米国のピクトグラムに着目して調査を行っている. 2022年度は1)歴史資料の収集・分析と,2)JIS案内用図記号,ならびにコミュニケーション支援用図記号を対象とした課題の抽出を主に実施する計画であった. 1)は,伊原が担当し1942年に出版された『1000ピクトリアル・シンボル』に掲載されたピクトグラムを主な対象として,そのデザインに関する調査を行った.具体的な方法として,掲載されたピクトグラムが使用されたチャートやダイアグラム,イラストレーションなどの特定とピクトグラムのデザインの制作者を調査した.ピクトグラムの使用対象については,同時代の雑誌や書籍,新聞などを対象として調査を進めた.調査は2023年度も継続する予定としているが,22年度の調査では特にピクトグラムのカートゥーンへの展開と英語教本への利用の事例に着目した.これらの事例では,ピクトグラムのヴァリエーション展開に独自の傾向が見られることが分かり,引き続き分析を行っている.またピクトグラムのデザインの担当者については,多様な表現に統一性を与える造形的特徴の重要な要因でもあることから,複数の関連デザイン組織を渡り歩いてデザインを手がけていたKarl Koehlerに注目し,調査を継続している. 2)については工藤が担当し,知的障害者の理解度に影響するピクトグラムのデザイン要素の抽出を目的とした実験を行った.その結果、場所を象徴するピクトグラムへの人物の付与,構成要素の具体的位置関係.効果線の付与,場所を表す要素,方向を表す矢の軸の長さの5つの要素を抽出した.この成果については、国際誌で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年は、歴史資料の調査,ならびに標準図記号に内在している問題点の検討を主に行った.国内での歴史資料の調査であることから限界があったが、この調査で得られた知見をもとに、2023年度に現地調査を計画している.JIS標準図記号の問題の抽出についても,実験を遂行し,ある程度の見通しを立てることができた. また2022年10月にシンボル(ピクトグラム)を専門とする研究者たちが集まる国際シンポジウムが開催され,同シンポジウムに伊原,工藤が参加し,講演を行った.このシンポジウム開催は当初の計画段階では予想していなかったが,参加によって世界各国の研究者との交流ネットワークができあったことから,2023年度以降の研究推進において,予期していなかったことが起こった場合に,議論や協働を求めるなど研究の推進の手立てとする予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は1)ニューヨーク市の関連アーカイブ,図書館を訪問し,現地調査を実施し,引き続き資料の収集にあたる.またCooper-Hewitt, National Design Museumで開催されるシンボルに関する展覧会を観覧し,合わせて研究者と交流を行い,国外で行われているピクトグラムに関する研究動向の調査を行う。 2)次に収集した資料を対象として,ピクトグラムのヴァリエーションの展開について分析を行う.分析の目標は典型の形態を保持しつつ,どのように運動や感情などの表現を行っているか,その表現方法について解明することである.そのため,ピクトグラムのカートゥーンへの展開の事例に特に着目し,引き続き分析を進めることとする. 3)この分析結果を踏まえて,工藤が担当している問題の抽出の結果をふまえ,その改良に質すると想定されるイメージコンテンツを選定し,実験のためのデザインの試作を開始する. 4)デザイン学会等を中心に,学会での報告を行う.
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