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予測学習を用いた深層学習認知モデルによる錯覚への構成論的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 23K25163
補助金の研究課題番号 22H03909 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分90030:認知科学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

飯塚 博幸  北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 准教授 (30396832)

研究分担者 山本 雅人  北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (40292057)
鈴木 啓介  北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任講師 (60516029)
野口 渉  北海道大学, 数理・データサイエンス教育研究センター, 特任助教 (60868082)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
キーワード認知モデル / 深層学習 / 錯覚 / 構成論的アプローチ / ラバーハンド錯覚 / 予測学習
研究開始時の研究の概要

本研究では,触覚,視覚,運動(深部感覚)の感覚統合を行う認知モデルを構築し,深層学習を用いた構成論的アプローチを行うことで,従来のアプローチでは迫ることのできなかった,環境との相互作用によって生じる学習経験から,錯覚が創発する原理を構成的に解明することを目的とする.人が環境と相互作用したときに生じる視覚,触覚,体性感覚等の高次元データを収集し,それを使って深層学習モデルに人が行っていると考えらえる感覚の予測学習をさせる.この時の学習条件を様々に変えることによって,錯覚の生起条件を明らかにして,学習経験による錯覚の機序を明らかにする.

研究実績の概要

令和5年度は、初年度に開発したボトムアップ処理を中心とする深層学習モデルを拡張し、重ね合わせ原理を用いた感覚統合を行うニューラルネットワークモデルを用いて、感覚入力のトップダウン的解釈を与える認知モデルを開発した。このモデルは、予測符号化理論に基づいており、感覚入力に対する予測と予測誤差の最小化を通じて、感覚情報の統合と解釈を行う。また、ラバーハンド錯覚のシミュレーションモデルを利用し、自分の身体領域を道具の先までに拡張するシミュレーションモデルを構築した。トップダウン的解釈を可能とする認知モデルにより、道具使用時の触感覚を道具不使用時の自分の身体の触感覚へと同等に重ね合わせることに成功した。
近接領域での手を用いた作業や振る舞いの経験が錯覚に与える影響を調べるため、実環境での、視覚、触覚、運動データの計測準備を進めた。協力者の頭部にカメラを固定し、作業時の画像を視覚データとして取得し、手にはデータグローブを装着し、触覚データと運動データを収集するこれらのデータは、初年度と2年目に行ったシミュレーションと同等の実環境データとして活用される。トップダウン的解釈を可能とする認知モデルとシミュレーション・物理環境において収集したデータを用いて、深層学習で実装した認知モデルを学習させた。ラバーハンド錯覚のシミュレーションにおいて、錯覚を再現することに部分的に成功しており、今後の更なる改善が期待される。
本研究の成果は、国際学会で発表し、高い評価を得ている。トップダウン的解釈を可能とする認知モデルの開発と、シミュレーションデータを用いた学習手法について、論文を執筆しており、国際学術誌に投稿する準備を行った。令和5年度の研究により、トップダウン的解釈を可能とするモデルの開発とそれらを用いた認知モデルの学習が進展した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書の研究計画に基づき、2年目の研究を進めた。初年度に開発したボトムアップ処理を中心とする深層学習モデルを拡張し、重ね合わせ原理を用いた感覚統合を行うニューラルネットワークモデルを提案した。このモデルは、感覚入力のトップダウン的解釈を与える認知モデルとして機能する。また、シミュレーション環境においては、ラバーハンド錯覚から道具使用を行うシミュレーションへと拡張した。さらに、実環境でのデータ収集の準備も進めている。以上より、研究はおおむね計画通りに進展していると言える。

今後の研究の推進方策

2年目の実施に引き続き、シミュレーション環境と実環境の両方において、人間とロボットの感覚運動データの収集を継続する。特に重点を置くのは、ラバーハンド錯覚および道具使用時の運動感覚データである。ラバーハンド錯覚は、ゴムの手に視線を注ぐことで起こる身体所有感の錯覚であり、この現象のデータ収集を精力的に行う。身体所有感の神経メカニズムを解明する上で、ラバーハンド錯覚は重要な手がかりとなるためである。
また、道具使用時には身体が道具によって拡張され、身体イメージが可塑的に変化すると考えられている。そのため、このような道具使用状況下における運動感覚データも収集対象である。さらに、腕を交差させた際に生じる時間順序の知覚反転現象も、身体イメージと時空間認識の関係性を示す貴重な事例であり、データ収集を行う。
収集したデータは、構築中の感覚統合深層学習モデルに入力される。このモデルは予測学習により、人間の認知処理と同様の感覚統合を実現することを目指している。学習完了後、ラバーハンド錯覚や腕交差実験における錯覚現象が生じる条件を設定し、モデル内に錯覚が再現されるかを明らかにする。そして、モデル内部の状態を詳細に解析することで、これらの錯覚がどのような条件の下で生じるのかを明らかにしていく。ラバーハンド錯覚は自己身体所有感に、腕交差実験は時空間的な知覚順序に関わる錯覚である。両錯覚の根底にあるのは視覚、触覚、身体性などさまざまな感覚モダリティーの統合メカニズムである。
本研究では、モデル内のボトムアップ的な感覚入力処理とトップダウン的な予測処理がどのように相互作用し、錯覚現象を引き起こしているのかについても考察を行う。そうした分析を通じて、人間の身体性と感覚統合のメカニズムの解明を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Multimodal Plastic Body and Peripersonal Space Representation Developed Through Learning of Visuo-Tactile-Proprioceptive Sensations2023

    • 著者名/発表者名
      Noguchi Wataru、Iizuka Hiroyuki、Yamamoto Masahito
    • 雑誌名

      ALIFE 2023: Ghost in the Machine: Proceedings of the 2023 Artificial Life Conference

      巻: -

    • DOI

      10.1162/isal_a_00687

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Proprioceptive Drift Can Be Caused by Simple Sensory Prediction2023

    • 著者名/発表者名
      Harada Kohei、Noguchi Wataru、Iizuka Hiroyuki、Yamamoto Masahito
    • 雑誌名

      ALIFE 2023: Ghost in the Machine: Proceedings of the 2023 Artificial Life Conference

      巻: -

    • DOI

      10.1162/isal_a_00642

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Acquiring Viewpoint Transformation to Reuse Self Body Image for Other on Self-Organized Internal Spatial Coordinate System2023

    • 著者名/発表者名
      Noguchi Wataru、Iizuka Hiroyuki、Yamamoto Masahito
    • 雑誌名

      2023 IEEE International Conference on Development and Learning (ICDL)

      巻: - ページ: 274-281

    • DOI

      10.1109/icdl55364.2023.10364525

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hybrid Life: Integrating biological, artificial, and cognitive systems2023

    • 著者名/発表者名
      Baltieri Manuel、Iizuka Hiroyuki、Witkowski Olaf、Sinapayen Lana、Suzuki Keisuke
    • 雑誌名

      WIREs Cognitive Science

      巻: 14 号: 6

    • DOI

      10.1002/wcs.1662

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 多感覚予測モデルを用いたゴム手錯覚シミュレーションにおける固有感覚ドリフト2023

    • 著者名/発表者名
      原田 航平,野口 渉,飯塚 博幸,山本 雅人
    • 学会等名
      第22回複雑系マイクロシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 共有モジュールを用いた自己他者重ね合わせによる姿勢模倣2023

    • 著者名/発表者名
      髙橋 光,野口 渉,飯塚 博幸,山本 雅人
    • 学会等名
      第22回複雑系マイクロシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 共有モジュールを用いた予測ネットワークによる対面する他者の視点獲得2023

    • 著者名/発表者名
      岩崎 智也,野口 渉,飯塚 博幸,山本 雅人
    • 学会等名
      第22回複雑系マイクロシンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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