研究課題/領域番号 |
23K25164
|
補助金の研究課題番号 |
22H03910 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
高橋 純一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10723538)
|
研究分担者 |
安永 大地 金沢大学, 人文学系, 准教授 (00707979)
杉村 伸一郎 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40235891)
行場 次朗 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (50142899)
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60332524)
堀川 友慈 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 特別研究員 (60721876)
齋藤 五大 東北大学, 電気通信研究所, 特任助教 (70823772)
大村 一史 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (90431634)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | アファンタジア / 心的イメージ / 多感覚イメージ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究が対象とする「アファンタジア(aphantasia)」は,実際の知覚は機能しているにもかかわらず心的イメージが機能しない特質のことであり,新たな事例として提唱された。心的イメージとは刺激対象が実際に目の前に存在していなくとも,それを疑似体験できる機能である。私たちは想像(創造)や思考など日常生活で意識せずにイメージを多用しているが,アファンタジア当事者はイメージを思い浮かべることが少ないことから,結果的にイメージ以外の情報処理機構を用いていると推測できる。本研究は,アファンタジアという新たな事例の認知・神経科学的理解を通して,社会におけるアファンタジア理解を促進しようとするものである。
|
研究実績の概要 |
2023年度は,3つの研究班に分かれて,①大規模調査・エピソード分析班:アファンタジアの出現率に関する大規模調査および参加者(当事者)プールの作成,②知覚・認知実験班:視覚実験,聴覚実験,言語実験の実施,③生理実験班:fMRI実験の実施をそれぞれ行った。 ①大規模調査・エピソード分析班では,2022年度より開始していた調査結果を論文としてまとめ,海外雑誌に投稿し,査読を経てアクセプトされた。アファンタジアの出現率はおよそ4%であること,感覚モダリティに応じたアファンタジアの存在(たとえば,視覚イメージが思い浮かべにくい視覚アファンタジア,その他にも聴覚アファンタジアや多感覚アファンタジアなど)が明らかとなった。この内容については,福島大学のプレスリリースとしても報告した。また,次の知覚・認知実験班に提供する参加者の確保に関して,スクリーニング調査を行った。上記の論文で報告したように,アファンタジアの出現率は4%であり,結果が再現されたと言える。当事者のエピソードについては収集を始めたところで,2024度に分析を行う予定としている。 ②知覚・認知実験班では,アファンタジアの認知特性を解明すべく,言語課題と視覚課題の観点から東北大学において行動実験を行った。実験の際には,研究代表者も参加した。①大規模調査・エピソード分析班から提供した参加者および統制群(イメージが浮かぶ参加者)を対象者として実験を行った。結果については,現在,まとめているところであり,2024年度の各種学会において発表する予定である。 ③生理実験班では,2022年度に引き続き,fMRIを用いてアファンタジア当事者の脳機能測定を行った。現在はデータ収集がメインであるが,結果の解析についても進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①大規模調査・エピソード分析班の調査は完了し,成果として査読付き論文を出版することができた。また予定通り,②知覚・認知実験班に提供する参加者確保のためのスクリーニング調査を実施することができた。 ②知覚・認知実験班では,実験準備と予備実験の実施が完了し,2023年度より行動実験を開始することができた。 ③生理実験班も同様に,アファンタジア当事者の脳機能測定について順調に進んでいる。 以上のように,全ての研究班で当初の予定通り,それぞれの研究を展開できている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は,①大規模調査・エピソード分析班では,当事者エピソードの質的分析および参加者プールの運営を行う予定である(研究代表者の髙橋および研究分担者の杉村と大村)。②知覚・認知実験班では,言語課題と視覚課題に関する行動実験の継続および成果発表を行う予定である(研究分担者の齋藤,坂本,安永,行場,および研究代表者の髙橋)。③生理実験班では,脳機能測定の継続と成果発表を行う予定である(研究分担者の堀川)。 最終年度を迎えるにあたって,これまでアファンタジアの出現率の推計が完了しており,さらに行動実験と脳機能測定についても一定の結果を得ることで,アファンタジア研究の認知・神経学的観点における研究の初期段階での成果発表を目指す。
|