研究課題/領域番号 |
23K25167
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補助金の研究課題番号 |
22H03913 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 (2024) 京都大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
水原 啓暁 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30392137)
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研究分担者 |
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70312668)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 脳波 / 運動主体感 / 電気刺激 / 身体意識 / 位相シンクロ / コミュニケーション / シンクロ / 自己主体感 / 遠心性コピー / fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
自己身体意識のひとつである運動主体感の神経メカニズムの解明を目標とする.運動主体感とは「自己の運動の行為主は自身である」という意識である.運動指令信号のコピーと視覚フィードバックが一致したときに,運動主体感が発生すると考えられているが,どのように脳内で実現されているかの実装レベルでの神経メカニズムは未解明である.申請課題では脳波シンクロに着目して,脳の交流電気刺激によりシンクロを操作したときの運動主体感の変容を検証する.また、我々が独自に開発した心理物理実験課題を用いて運動主体感の変容を定量的に評価するとともに,脳波計測により電気刺激する脳部位を決定する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では自己身体意識のひとつである運動主体感の神経メカニズムの解明を目標とする.運動主体感とは,自分の運動結果を自己が行ったと認識する感覚である.この感覚は,自己の運動指令信号のコピーと,運動結果(例えば,手の動き)の視覚フィードバックの情報統合により生成される.従来の研究では,運動指令信号の精度が運動主体感に重要であるとの観点から,視覚フィードバックを遅延させるなどして運動指令信号を操作することで,運動主体感が変容するかが検証されている. 本研究課題では,運動指令信号の操作に加えて,視覚フィードバックの影響を検証している.運動指令信号の精度と,視覚フィードバックを個別に操作した際の運動主体感の変容を評価した結果,これらの要因が運動主体感に及ぼす影響は同程度であることを示した.このことは,運動指令の運動指令信号のコピーと,視覚情報が統合されたときに運動主体感が生成する仮説と一致している.一方で,運動主体感を生成する情報統合が脳内で,どのように実装されているのかは未解明の問題である. この問題を検証することを目的として,神経振動による情報統合に着目して研究を進めている.脳内では異なる皮質部位で分散して情報表現する.この情報を統合する神経基盤の有力候補が,脳波などで観察可能な神経振動の脳部位間のシンクロである.神経振動は,複数のニューロンのシナプス後電位の揺らぎが,局所集団で同期することにより生成される.神経振動の特定の位相において神経スパイク活動が発生することが知られており,同位相でのシンクロにより神経スパイク活動の発生タイミングが一致することで情報統合する.これまでに,自己身体意識のための情報統合が,脳波などの神経の振動的な活動のシンクロにより実現されるのかを脳波計測により検証するため,運動主体感を操作可能な心理物理実験課題の構築を完了している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの年度においては,運動主体感に関連する脳波位相シンクロを特定することを目的とした脳波計測実験を実施するとともに,その脳波を直接的に操作するための経頭蓋電気刺激の詳細な使用についての検討を完了している. 脳波位相シンクロを特定するための心理物理実験課題として,運動主体感の変容を定量的に評価可能な課題を実施中の脳波計測を実施した.この実験課題では,運動指令と視覚フィードバックとの時間ずれに統計的な揺らぎを加えるとともに,視覚フィードバックを一時的に遮蔽することで,運動主体感を操作する課題となっている. まずディスプレイ上に正弦波状の経路モデルとカーソルが表示される.実験参加者は,ディスプレイ上に表示されたカーソルを,タッチパッドを用いて操作する.このとき,タッチパッド上の操作とカーソルの動きとの間に,正規確率分布の3種類の分散により決定するランダムな時間遅延が挿入される.このことにより,運動指令信号と視覚フィードバック信号の統合を妨害することで,運動主体感の変容を検証可能としている(時間的操作).この遅延時間変化にともなって変化する脳波位相シンクロを特定することで,運動主体感に関連する脳波位相シンクロの候補を決定する目的で,令和5年度までに脳波計測を実施した. これに加えて,脳波位相シンクロを操作するための経頭蓋電気刺激の詳細仕様を検討した.一般的な経頭蓋電気刺激は空間分解能が極めて低く,頭皮上からの電気刺激により広範な脳部位を刺激することとなる.そのため,本研究で目的とする脳部位間の位相シンクロを操作することは困難である.そこで,この問題を解決する方法として,HD(high definition)経頭蓋交流電気刺激の使用可能性について,シミュレーション実験にもとづいて検討した.
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今後の研究の推進方策 |
運動主体感を変容可能な心理物理実験課題中に計測した脳波データに基づいて,運動主体感に関連する脳波位相シンクロを特定する.また,運動主体感に関連する脳波位相シンクロが特定されたのちに,この脳波位相シンクロを経頭蓋電気刺激により操作することで,運動主体感が変容するかを検証する計画である. 次年度においては,脳波計測実験データを用いて運動主体感に関連する脳波位相シンクロを特定する.この脳波実験では,カーソル操作課題において,タッチパッド上の操作と実際のカーソルの動作との間に,正規確率分布の3種類の分散に従った遅延時間を挿入する.これまでに同様の心理実験課題を用いたときの運動主体感の変容を検証したところ,生起確率分布の分散を変化させて遅延時間を挿入することで運動主体感が変容することが明らかになっている.そこで,この遅延時間変化にともなって変化する脳波位相シンクロを特定することで,運動主体感に関連する脳波位相シンクロとする計画である. さらに,脳波位相シンクロを操作するための経頭蓋電気刺激実験を実施する.これまでに,HD(high definition)経頭蓋交流電気刺激の使用可能性について,シミュレーション実験にもとづいて検討している.このシミュレーション結果に基づいて,脳波位相シンクロを経頭蓋電気交流刺激により操作した際の運動主体感の変容を,すでに構築済みの心理物理実験課題を用いて検証する計画である.
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