研究課題/領域番号 |
23K25171
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補助金の研究課題番号 |
22H03917 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小野寺 智洋 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70547174)
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研究分担者 |
長濱 宏治 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (00551847)
照川 アラー 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00723074)
花松 久寿 名古屋大学, 糖鎖生命コア研究所, 特任講師 (70734185)
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 組織再生 / 軟骨再生 / 糖鎖 / バイオマテリアル / 変形性関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性関節症は労働人口に対して関節痛を起因とした運動機能低下を引き起こすことが社会的に大きな問題となるが、その病態は明らかにされていない。これまで申請者らはガングリオシド欠損が変形性関節症を増悪させ、その発症に重要な役割を担うことを明らかにしてきた。しかし、その作用機序に関しては未だ不明な点が多い。そこで申請者らは、糖脂質糖鎖の中には変形性関節症に深く関わる分子が存在し、新たな治療ターゲットとなり得るという仮説を立てた。本研究の目的は、変形性関節症と強い関連を持つ生理活性分子を網羅的手法により特定し、バイオマテリアルに組み込むことによって、変形性関節症に対する新たな治療法を確立することである。
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研究実績の概要 |
変形性関節症は労働人口に対して関節痛を起因とした運動機能低下を引き起こすことが社会的に大きな問題となるが、その病態は明らかにされていない。申請者らは、ポストゲノム研究に位置づけられる糖鎖構造機能の解明が、これまで説明困難であった疾患メカニズムを解き明かす有効な手段になると考えた。これまでに4種類の糖脂質糖鎖合成酵素ならびに糖転移酵素のノックアウトマウスを用いることで、ガングリオシド欠損が変形性関節症を増悪させ、その発症に重要な役割を担うことを明らかにしてきた。しかし、その作用機序に関しては未だ不明な点が多い。そこで申請者らは、糖脂質上糖鎖の中には変形性関節症に深く関わる分子が存在し、新たな治療ターゲットとなり得るという仮説を立てた。 研究代表者らはR4年度において、ウサギ変形性関節症の動物モデルにおいて、3種類の糖脂質糖鎖(ガングリオシドo-、a-、b-seriesに結合している糖鎖構造)を関節内投与することによって変形性関節症が抑制されることを見出した。本結果は、これまで研究代表者らによってこれまで行われてきた、遺伝子欠損マウスによるOA増悪効果を裏付けする結果である。また、遺伝子欠損モデルのみならず、一般的な変形性関節症においても本治療法が有効である可能性を示している。今後は糖脂質上糖鎖の治療効果に着目し、さらなくメカニズムの解析を目指し、最終的な臨床応用へと結び付けていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者らはR4年度において、変形性関節症の動物モデル(ACL切離モデル)を作成して、3種類の糖脂質上糖鎖を関節内投与することによる効果を検証した。糖脂質上糖鎖として、これまで遺伝子改変マウスを用いて機能解析を実施していた、ガングリオシドo-、a-、b-seriesの表面上にある糖鎖構造を用いた。0.1, 0.3, 0.9 mg/mlの3つの濃度に分けて関節内投与を行ったところ、0.3, 0.9 mg/mlの投与濃度において、変形性関節症の進行が抑制されることを見出した。これは、研究代表者らによってこれまで行われてきた、遺伝子欠損マウスによるOA増悪効果を裏付けする結果であり、遺伝子欠損モデルのみならず、一般的な変形性関節症においても本治療法が有効である可能性を示している。一方で、in vitro今後はモデルによるメカニズム解析試験は、実施者となる予定の研究者のビザが下りず、予定の時期からの研究が実施できなかった。今後は糖脂質上糖鎖の治療効果に着目し、さらなくメカニズムの解析を目指し、最終的な臨床応用へと結び付けていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度には、同糖脂質上糖鎖の作用メカニズムを解明すべく、in vitroモデルに対してRNAシークエンス・トランスクリプトーム解析を行い、糖脂質分子のシグナル機構解析を行う。具体的には、ヒト軟骨細胞に対してIL-1刺激を加えたin vitro OAモデル①と、LPS刺激を加えたin vitro OAモデル②を作成する。各々に対して3種類の糖脂質糖鎖を添加して、IL-6、MMP-13の発現変化を確認する。十分な抗炎症効果が得られる条件を決定した後に、RNAシークエンス・トランスクリプトーム解析を行う。得られた知見を元に、糖脂質上糖鎖投与による変形性関節症進行抑制の作用メカニズムの解析を試みる。上記の解析によってOAを抑制可能な候補分子が同定できた場合には、候補分子をアルギン酸ゲルに組み込んだ機能性バイオマテリアルを作成し、動物モデルを用いてOA抑制効果を検証する予定である。
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