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ヒト乳がんの光診断を目指した短波赤外蛍光分子イメージング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K25184
補助金の研究課題番号 22H03930 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分90110:生体医工学関連
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

神 隆  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (80206367)

研究分担者 M.M Mahadeva・Swamy  北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (60830031)
精山 明敏  国際教養大学, デザイン創造・データサイエンスセンター, 特任教授 (70206605)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
キーワード短波赤外 / 蛍光イメージング / 生体イメージング / 分子イメージング / 乳がん / ヒト乳がん / 光診断 / 生体蛍光イメージング / 非侵襲イメージング / 生体の第2光学窓 / 蛍光 / 短波赤外蛍光
研究開始時の研究の概要

乳がんは15才から60才代女性のがんの罹患率第1位で、その死亡者数は近年増加傾向にあります。大きさ1cm以下の早期乳がん(リンパ節転移なし)は切除手術により、ほぼ確実に治癒できます。そのため乳がんを早期に検出する技術は、乳がん治療において非常に重要です。現在、乳がんの検査法として、マンモグラフィーや超音波診断が用いられていますが、これらの方法では早期乳がんを検出し確定診断することは困難です。本研究の目的は、ヒト早期乳がん(大きさ1cm以下)を高感度に検出・確定診断するための短波赤外蛍光イメージングシステムを開発することです。

研究実績の概要

生体での分子イメージングを短波長赤外線(SWIR、900~1400 nm)領域に拡張することで、組織の自家蛍光や散乱が少ないため、生体内の生体分子を組織深部まで可視化することができる。食品医薬品局(FDA)が承認し、臨床試験が行われている近赤外(NIR)プローブを見ると、インドシアニングリーン(ICG)とその類似体のみが生物医学的応用として承認されている。励起波長が800nm未満であるため、これらのプローブは組織深部への浸透や非侵襲的な蛍光イメージングが制限されている。本研究では、ICGをベースとしたπ共役拡張シアニン色素ICG-C9およびICG-C11を合成し、それぞれ水中での発光波長が922 nmおよび1010 nmである生体適合性および水溶性の近赤外発光プローブとして開発した。また、ICG-、ICG-C9-およびICG-C11をベースとした蛍光標識剤を合成し、SWIR分子イメージングプローブの開発を行った。ICG、ICG-C9、ICG-C11の蛍光を利用して、生きたマウスで表面受容体(EGFRとHER2)と腫瘍血管系を可視化することにより、乳がんの3色SWIR蛍光イメージングを実証した。さらに、ICGを結合させた抗癌剤KadcylaとICG-C9またはICG-C11を結合させたアネキシンVを用いて、乳がんアポトーシスの2色SWIR蛍光イメージングに成功した。この研究成果は、多重蛍光分子イメージングにおける一般的な戦略を提供するものである。SWIR蛍光分子イメージングを示すことで、ICGおよびICGベースのπ共役拡張シアニン色素が、バイオメディカル用途の標準的なSWIR蛍光色素となることを実証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時の研究計画では、理化学研究所生命機能科学研究センター所属のチームリーダー(研究室主催者)として研究を遂行する予定であったが、2023年3月31日をもって研究チームが解散となり、職制もチームリーダー(管理職)から上級研究員(一般職)となり、本研究への参加人員(研究員、技術職員等)の大幅な変更が生じたため。

今後の研究の推進方策

乳がん腫瘍の3次元蛍光イメージング(蛍光トモグラフィー)技術の開発のためには、励起波長および短波赤外蛍光波長における乳がん及び正常組織での光学特性(散乱係数、吸収係数、異方性パラメータ、屈折率)を知る必要があります。これまでモンテカルロシミュレーションを用いて短波赤外領域の乳房組織での光学特性の評価法を開発してきました。本研究では、生体深部への到達距離、生体深部からの蛍光強度およびレーザーパワー依存性など光学特性のパラメータを詳細に検討します。様々な大きさ・深さに設定した乳がんモデルを含む組織ファントムモデルを実測して光学系の最適化をはかり、3次元画像化のための励起、検出系を構築します。
早期乳がんの検出には細胞レベルの空間分解能をもつイメージング装置が必要であり、生体組織における短波赤外蛍光の吸収・散乱特性に最適化した励起、検出系および高輝度な短波赤外蛍光プローブの設計が求められます。短波赤外蛍光イメージング装置に関しては、申請者がこれまでに開発してきたプロトタイプの小動物用の短波赤外蛍光実体顕微鏡装置で約15ミクロンの空間分解能(最大観測視野2cm)を実現しています(RSC Adv. 4, 41164, 2014)。本研究では、イメージング用カメラメーカーとの共同研究により、ヒトを対象とし、た、マクロからミクロまで撮影可能な生体多色蛍光イメージング装置を開発します。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Biocompatible and Water-Soluble Shortwave-Infrared (SWIR)-Emitting Cyanine-Based Fluorescent Probes for In Vivo Multiplexed Molecular Imaging2024

    • 著者名/発表者名
      Mahadeva M. M. Swamy, Yuta Murai, Kenji Monde, Setsuko Tsuboi, Aravind K. Swamy, Takashi Jin
    • 雑誌名

      ACS Applied Materials & Interfaces

      巻: 16 号: 14 ページ: 17253-17266

    • DOI

      10.1021/acsami.4c01000

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Shortwave-infrared (SWIR) emitting annexin V for high-contrast fluorescence molecular imaging of tumor apoptosis in living mice2022

    • 著者名/発表者名
      Swamy Mahadeva M. M.、Tsuboi Setsuko、Murai Yuta、Monde Kenji、Jin Takashi
    • 雑誌名

      RSC Advances

      巻: 12 号: 30 ページ: 19632-19639

    • DOI

      10.1039/d2ra03315a

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A near-infrared fluorescent long-chain fatty acid toward optical imaging of cardiac metabolism in living mice2022

    • 著者名/発表者名
      Swamy Mahadeva M. M.、Zubir Mohamad Zarif Mohd、Mutmainah、Tsuboi Setsuko、Murai Yuta、Monde Kenji、Hirano Ken-ichi、Jin Takashi
    • 雑誌名

      The Analyst

      巻: 147 号: 19 ページ: 4206-4212

    • DOI

      10.1039/d2an00999d

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [図書] Short-Wavelength Infrared Windows for Biomedical Applications (Chap 7)2022

    • 著者名/発表者名
      T. Iida, S. Kiya, K. Kubota, A. Seiyama, T. Jin, and Y. Nomura
    • 総ページ数
      23
    • 出版者
      SPIE
    • ISBN
      9781510646230
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [図書] Bioluminescence, 4th ed. 2022 (PART I-5)2022

    • 著者名/発表者名
      Setsuko Tsuboi and Takashi Jin
    • 総ページ数
      14
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      9781071624722
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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