研究課題/領域番号 |
23K25185
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補助金の研究課題番号 |
22H03931 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
齋藤 淳史 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (30714539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 強変動磁界 / 神経回路網 / 発火パターン / 機能的成熟 / 神経伝達物質 / ヒト3次元培養神経回路網 / シナプス調節効果 / カルシウムイメージング / 誘導電界 / 神経回路網網 / 多点光学計測システム / 光ファイバー / リアルタイム計測 |
研究開始時の研究の概要 |
時間変動する高強度の磁界は生体内への誘導電界の生成と細胞膜の興奮現象を介して神経系に刺激作用を与える。しかし,刺激作用の閾値以下で発生する磁界によるシナプス調節効果に関しては,その発生閾値や機能的成熟への効果が十分に明らかとなっていない。本研究では,光ファイバーセンサを内蔵する細胞培養容器の開発を通じてヒト3次元培養神経回路網におけるシナプス調節効果を強変動磁界環境下でリアルタイム計測し,その発生閾値を調べる。また,発達過程にあるヒト3次元培養神経回路網に対して強変動磁界をばく露することで,シナプス調節効果を利用して神経回路網の機能的成熟を促進させる技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
計画2年目となる2023年度は,前年度に構築した多点光学計測システムを用いて強変動磁界ばく露環境下におけるヒト3次元培養神経回路網の活動変化をカルシウムイメージングにより評価した。実験の結果,50 Hz,300 mT(実効値)の強変動磁界をばく露した条件では,磁界ばく露前後で神経活動が一時的に変化することを確認した。これにより,本研究で使用した強変動磁界ばく露装置によりヒト3次元培養神経回路網のシナプス調節効果を人為的に誘導できることがわかった。次に,磁界ばく露中にヒト3次元培養神経回路網の内部に誘導される電界強度を数値シミュレーションにより推定した。細胞レベルの分解能のボクセルによりヒト3次元培養神経回路網をモデル化し,有限差分法に基づく解析法の1つであるスカラーポテンシャル有限差分(SPTD)法による数値計算を実施した結果,ヒト3次元培養神経回路網内部の電界強度のピーク値は空間平均で約1 V/m,最大で約4 V/mとなることが推定された。同結果より,本実験条件では培養神経回路網によるシナプス調節効果の発生に必要な電界強度の理論値(50 Hzのピーク値で0.188 V/m)を上回る電界がヒト3次元培養神経回路網に印加されていることが示唆された。一方,本実験で確認された神経活動の変化は一時的であったため,今後はシナプス調節効果をより長時間持続できる磁界ばく露方法を検討する。加えて,磁界ばく露に伴う神経活動の変化と培養溶液中における神経伝達物質の濃度変化の関係を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り多点光学計測システムを用いてヒト3次元培養神経回路網に対する磁界ばく露実験を実施し,強変動磁界へのばく露による神経活動の変化を検出することができたため。また,本実験システムの有効性を示す研究成果を学術論文誌に投稿できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に続き,ヒト3次元培養神経回路網を用いた強変動磁界ばく露実験を実施し,長時間の磁界ばく露と刺激効果の持続性の関係について調べる。また,神経回路網の機能的成熟に対する刺激効果を調べるため,磁界ばく露後の神経活動の経時的変化や培養溶液中の神経伝達物質の濃度変化を調べる。
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