研究課題/領域番号 |
23K25192
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補助金の研究課題番号 |
22H03938 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
湯川 博 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (30634646)
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研究分担者 |
須賀 英隆 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20569818)
亀山 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40646759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 量子ドット / 細胞温度 / 温度計測 / iPS細胞 / 脳オルガノイド / 温度センサー / 幹細胞 / オルガノイド / 生体深部 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、最近、研究代表者が新たに発見した、量子ドット(QDs)のバンド端発光と欠陥発光の比率が周囲の環境温度により線形変化する現象(特許出願済)を活用して、類を見ない概念で実現される生体内の細胞温度計測(精度:0.1K)に応用可能な世界初のQDs温度イメージングセンサーを開発する。そして、生体透過性が高い近赤外(NIR)領域におけるQDs温度イメージングセンサーの開発に挑戦することで、生体外の細胞温度計測に加え、これまでほとんど実現されていない、オルガノイド(3次元的に試験管内で作られるミニ臓器)や生体内組織・臓器の深部に存在する細胞温度計測を実現する。
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研究実績の概要 |
細胞内に導入されたQTISに対して、高速多光子共焦点レーザー顕微鏡(A1RPM Nikon社製、設置済み)の蛍光分光機能を応用することで、バンド端発光と欠陥発光の蛍光強度比較(スペクトル面積比較)から細胞内温度を計測した。細胞種としては、がん細胞(HepG2、A549細胞など)、幹細胞(iPS細胞、脂肪由来幹細胞(ASCs)など)を用い、細胞周期や炎症反応など細胞状態変化に伴う温度変化を計測した。また、他の細胞用温度プローブ(有機蛍光温度プローブ、蛍光ナノダイヤモンドなど)の計測結果とも比較することで、その精度や有用性を比較検証した。更に、オルガノイド内部の細胞温度計測に対しても取り組み、iPS細胞から視床下部-下垂体ホルモン産生脳オルガノイドを分化誘導し、それらのオルガノイド内部(視床下部)と表層部(ホルモン産生細胞)に位置する各細胞群へのQTIS導入を検討した。そして、オルガノイド内部及び表層部の細胞温度の違いを明らかにした。また、90日間の分化成熟過程の温度の違いに加え、ホルモン産生時の温度変化についても検証することで、オルガノイド機能発現と細胞温度の関係を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞内への量子ドット導入が確実に進捗し、温度計測についても実現できている。また、計測対象も細胞だけに留まらず、オルガノイドにも展開できてきている。更に、これから更に加速するが、生体内での計測にも着手しつつあり、当初の計画に対して概ね順調に進展していると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては、生体への計測を実施する。具体的には開発したQTISを直腸内に投与して温度計測を実施し、直腸温度計の結果と比較することで、生体内深部での計測信頼性を担保する。その後、QTISを主要な組織・臓器(脳、肺、肝臓、腎臓、脾臓など)に投与し、未だ実現されていない主要組織・臓器の温度計測に取り組む。なお、開腹すると体温変化が生じるため、最先端のIn vivo蛍光イメージングシステムであるIVIS Spectrum CT (PerkinElmer社製、設置済み)を用いて、開腹せずに生体深部からのNIR領域の蛍光強度を高感度に計測することで実現する。次に、炎症マウス生体内臓器の温度計測に取り組む。生体は炎症により体温が上昇することが知られているが、各組織・臓器の炎症による正確な温度変化はほとんど明らかにされていない。そのため本研究では、既に研究代表者が実施経験のある肺、肝臓、脳における炎症モデルマウスを用いて、各組織・臓器の温度計測を実施する。そして、正常モデルマウスと比較することで、炎症状態と組織・臓器温度の相関関係について検証する。更に、マウス生体内深部の細胞温度計測にチャレンジする。肺、肝臓、脳炎症モデルマウスに対するASCs移植治療の有用性を検証してきた経験を活かし、各炎症モデルマウスに投与され、生体内深部の炎症部位に集積したASCs温度計測を実現する。また、非炎症部位に集積したASCs温度と比較することで、未だ明らかになっていない炎症部位における幹細胞の細胞温度変化と機能発現への影響を検証する。
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