研究課題/領域番号 |
23K25204
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補助金の研究課題番号 |
22H03950 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 東洋大学 (2024) 東京医科歯科大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
木村 剛 東洋大学, 生命科学部, 教授 (10393216)
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研究分担者 |
野村 渉 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (80463909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | マクロファージ / 生体材料 / 免疫反応 / ゲノム編集 / ゲンム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
生体材料研究においてマクロファージの極性(炎症性・抗炎症性)や集合が重要と考えられている。本研究課題の目的は、生きたマクロファージの極性評価系を確立し、生体材料特性との相関を解明することである。ゲノム編集技術を用いた相同組換えにより極性マーカーに発光タグを挿入したマクロファージを作製し、生きたマクロファージの極性を経時的に計測する評価系を確立する。マイクロからメソの種々のスケールのマクロファージの生体材料に対する応答を調査し、材料特性との関係を明らかにする。 本研究は、新たな評価系の開発によりマクロファージの極性・集合に関する知見と生体材料の設計指針を提供できる可能性を有する。
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研究実績の概要 |
免疫調節のキープロセスの一つは炎症と抗炎症の調節であり、その制御が重要となる。近年、炎症・抗炎症調節にマクロファージの性質や動態が強く関連していることが明らかとなり注目されている。本研究課題では、生きたマクロファージの極性評価系を確立し、生体材料特性との相関を解明することを目的としている。これを実現するため、(A)遺伝子改変マクロファージの作製、(B)マクロファージ集合体の作製と分極評価、(C)マクロファージ極性を指標とした生体材料評価の研究項目について研究を計画している。(A)について、炎症性(M1)、抗炎症性(M2)極性マーカー遺伝子を選択し、それら遺伝子の下流に発光タグを挿入した遺伝子改変マクロファージの作製を検討した。マクロファージ(THP-1, J774A.1)のM1マーカー遺伝子(IL-1b, TNFa)への発光タグの挿入に成功した。また、マクロファージ(THP-1)のM2マーカー遺伝子(IL-10)への発光タグの挿入に成功した。M1分極誘導による発光強度の増加が示され、発光強度がM1分極の指標となることが明らかとなった。(B)について、マクロファージの集合体、微粒子にマクロファージを担持させた集合体の作製についてマイクロからメソスケールの異なるスケールでの作製を検討し、サイズの制御が可能となった。(C)について、脱細胞化生体組織および種々の合成高分子材料に遺伝子改変マクロファージを播種し、M1分極を発光測定により評価した。脱細胞化組織では低発光強度であり、一方の合成高分子材料では比較的高い発光強度が示され、また、各材料における経時的変化に差異が示された。遺伝子改変マクロファージを用いて材料のM1分極性を評価することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、生きたマクロファージの極性評価系を確立し、生体材料特性との相関を解明することを目指している。これを実現するため、(A)遺伝子改変マクロファージの作製、(B)マクロファージ集合体の作製と分極評価、(C)マクロファージ極性を指標とした生体材料評価の研究項目について研究を実施する。当該年度は、(A)THP-1、J774A.1細胞を用いた遺伝子改変マクロファージの作製、(B)マクロファージ集合体のサイズ制御、(3)各種材料上でのマクロファージM1分極測定を計画した。(A)については、マクロファージのM1,M2マーカー遺伝子への発光タグの挿入に成功した。特に、M1分極誘導剤の濃度に応じた発光強度の増加を示し、発光タグ挿入マクロファージの発光強度がマクロファージのM1分極の指標となると考えられた。(B)については、サイズの異なるマクロファージ集合体を調製し、サイズによる分極性の違いが明らかとなった。(C)については、材料(脱細胞化組織、合成高分子材料)によりマクロファージのM1,M2分極性およびその極性持続性が異なることが明らかとなった。このことから、遺伝子改変マクロファージを用いて生体材料の初期免疫反応を評価可能と考えられた。上記の研究の成果について、学会等にて発表し、また、論文5報を発表した。以上より、本年度の目的は概ね達成されたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降の研究の推進方策として、(A)遺伝子改変マクロファージの作製、(B)マクロファージ集合体の作製と分極評価、(C)マクロファージ極性を指標とした生体材料評価の研究項目について研究を引き続き実施する。詳細は以下に記す。 (A)遺伝子改変マクロファージに関して、マクロファージ分極のマーカー遺伝子へ発光タグの挿入を昨年度に引続き行う。マクロファージの種類や分泌物質の影響を考察するため、マクロファージとして、THP-1細胞に加え、J774A.1細胞を用いて遺伝子改変マクロファージの作製を継続する。また、マーカー遺伝子として、M1マーカー遺伝子であるTNFa、M2分極マーカー遺伝子であるTGFbを標的として発光性のHiBiTタグを挿入する。これまでの挿入法に加え他の挿入法を探索し、挿入率を向上させる。さらに、細胞周期マーカーであるFucci遺伝子の挿入を試みる。(B)マクロファージの集合状態と分極性について遺伝子網羅解析にて詳細に検討する。(C)マクロファージ極性を指標とした生体材料評価として、表面自由エネルギー、表面電荷、表面粗さなどの異なる高分子材料、種々に加工した脱細胞化組織を用いて、マクロファージの分極性および極性持続性を検討する。また、金属材料、無機材料のマクロファージの分極性および極性持続性も検討する。
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