研究課題/領域番号 |
23K25217
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補助金の研究課題番号 |
22H03963 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 副センター長 (10452393)
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研究分担者 |
飯島 道弘 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40331988)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | サイトカインストーム / 免疫寛容 / 抗炎症 / 生体模倣 / スマートポリマー / アポトーシス / MPS |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルス感染に伴う致死的な急性呼吸促迫症候群(ARDS)の主な原因はサイトカインの過剰な産生状態(サイトカインストーム)によるものと考えられている。そのため大量のステロイド投与による抗炎症治療などが行われているが、重度くな副作用に疑問が持たれている。そこで本申請では、生体内で日々繰り返されているアポトーシス細胞の抗炎症メカニズムに着目し、アポトーシス細胞模倣型高分子の設計と、その抗炎症誘導によるサイトカインストームの抑制効果の検証、およびARDSの早期治療法の開発を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によってサイトカインストームという言葉が様々なメディア等で取り沙汰されるようになったが、サイトカインストームはCOVID-19のみならずリウマチ性疾患や多発性硬化症など様々な自己免疫疾患にも関連するため、つまり、サイトカインストームをいち早く抑制しARDSの症状を抑えることができればCOVID-19 の重症化リスクを大幅に改善することが期待できる。こうした背景のもと、殺傷された死細胞(アポトーシス細胞)の断片が免疫調節機能(抗炎症作用)を有する点に注目し、サイトカインストームの抑制に利用できないかと考えた。本研究では、合目的に設計されたアポトーシス模倣膜高分子を用いて免疫細胞との相互作用を詳細に検討することで、サイトカインストームの発症機構への死細胞の役割を学術的に理解することでARDSの新たな治療法の創製を目的とする。本年度は、アポトーシス模倣高分子(2-Methacryloyloxyethyl phosphorylserineポリマー ; 以下、MPSポリマー)の設計を行う。その際、ポリマーの分子量、形態(粒子、ミセル、疎水度など)の最適化を行った。特にMPSポリマーの構造(グリセロール基)の違いによって、マクロファージの認識が変わることを明らかにした。さらに、MPSポリマーを粒子化することで、より効率的にマクロファージに取り込まれることが明らかとなった。これらのMPSシリーズを用いて、肺胞マクロファージの炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-αなど)の産生抑制効果および抗炎症性サイトカイン(IL-10、TGF-βなど)の産生促進効果が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、アポトーシス模倣高分子(2-Methacryloyloxyethyl phosphorylserineポリマー ; 以下、MPSポリマー)の合成およびポリマーの分子量、形態(粒子、ミセル、疎水度など)の制御を行った。特にMPSポリマーの構造(グリセロール基)の違いによるマクロファージの認識の違いを明らかにすることができた。さらに、MPSポリマーを粒子化することで、より効率的にマクロファージに取り込まれることを明らかとした。また、これらのMPSシリーズを用いて、肺胞マクロファージの炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-αなど)の産生抑制効果および抗炎症性サイトカイン(IL-10、TGF-βなど)の産生促進効果を検証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、MPSポリマーのIL-6アンプ制御における役割を詳細に検討するためには、効率的な細胞取り込み、相互作用、投与方法や最適な滞留時間などを制御する必要がある。同時に、Signal Transducer and Activator of Transcription 3(STAT3)経路の活性化に及ぼす影響を調べる。さらに、非免疫細胞である気管支・肺胞上皮細胞、血管内皮細胞などを用いた炎症・抗炎症効果を評価する。さらに、DNAアレイ法を用いることで、MPSポリマーがIL-6アンプの活性化においてどの遺伝子機能を阻害・促進しているかを網羅的に解析する。さらに、新たな材料設計として、炎症部位の低pH環境のみでPS基が露出する分子設計を行う。また、抗体とMPSポリマーとの複合体Antibody-Polymer Conjugates (APCs)の作製を行い、抗炎症効果を検証する。
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