研究課題/領域番号 |
23K25219
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補助金の研究課題番号 |
22H03965 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山添 泰宗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00402793)
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研究分担者 |
寺村 裕治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (10365421)
新崎 信一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60546860)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | マイクロマシン / 人工組織 / 炎症性腸疾患 / 幹細胞治療 / 細胞パターニング |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の新たな治療法として幹細胞を用いた再生医療が注目されている。本研究では、体内など閉ざされた空間内に自在に細胞を配置できる独自開発したマイクロマシンを用いて、腸の病変部に自在に細胞を配置する技術を確立し、腸炎モデルマウスの腸内での多種類の細胞の配置や、配置した細胞による組織修復治療を行う。本研究を通じて、確実かつ正確に正常組織を再生できる革新的な炎症性腸疾患治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患の新たな治療法として幹細胞を用いた再生医療が注目されている。本研究では、体内など閉ざされた空間内に自在に細胞を配置できる独自開発したマイクロマシンを用いて、腸の病変部に自在に細胞を配置する技術を確立し、腸炎モデルマウスの腸内での多種類の細胞の配置や、配置した細胞による組織修復治療を行い、確実かつ正確に正常組織を再生できる新たな治療法の確立を目的としている。 治療のための細胞配置操作は、病変部への細胞配置と、病変部に配置した細胞の上にさらに別の細胞を配置する細胞の積層の2通りがある。本研究では、短時間で配置操作を行うために、病変部が正電荷分子の蓄積のために正電荷を有していることや、細胞表面がもともと負電荷であることに着目し、静電気力を利用した物理吸着により細胞を配置することを考えている。本年度は、この物理吸着を利用した細胞配置技術の基盤構築を行った。 まず、タンパク質製ゲルと正電荷ポリマーを用いて、腸の病変部を模倣した正電荷表面を有するゲルを作製し、ゲル表面にマイクロマシンを用いて細胞を輸送し配置する実験を行った。マシンに含有させる磁性ナノ粒子の種類や含有量を最適化し、磁力を利用してマシンが運んだ細胞をゲル表面に密に接触させることで、30分以内の短時間でゲル表面に良好に細胞を配置することができた。また、線維芽細胞の上に、マシンで輸送した同じ種類の細胞を30分以内に積層することにも成功した。この際、無処理の細胞と、正電荷に富むオリゴペプチド+PEG鎖(スペーサー)+脂肪酸(細胞膜挿入部位)から成る細胞膜挿入剤を細胞表面に導入して正電荷量を増加させた細胞、の2種類の細胞を実験に用いたが、どちらの細胞においても良好に積層が可能であることが分かった。さらに、線維芽細胞の上に、別の種類の細胞(ストローマ細胞)を30分以内に積層することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、最終的にマウスの腸内の病変部に自在に細胞を配置することを目標としている。本年度は、その基盤となる物理吸着による短時間での細胞配置操作について、体外において検証を行い、病変部を模倣した正電荷ゲル表面への細胞配置や、細胞上への細胞の配置(細胞の積層)を短時間で行うことに成功し当初の目標を達成した。また、次年度に計画していた潰瘍性大腸炎モデルマウスを用いたex vivo実験に前倒しで着手することができた。以上のことより、現在までのところ、目標達成に向けて研究がおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、体外において、病変部を模倣したゲルを用いて細胞配置の検証を行った。今後は、本年度確立した細胞配置技術をもとに、潰瘍性大腸炎モデルマウスを用いて、実際の炎症が生じた腸への細胞配置の検証を進める予定である。基本的な細胞配置操作の流れは本年度と同様であるが、実際の腸の病変部にうまく細胞が配置できない場合は、荷電ペプチドを結合させた細胞膜挿入剤の細胞膜への導入量を調整し、細胞表面の電荷を制御することで改善を図ることを考えている。
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