研究課題/領域番号 |
23K25222
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補助金の研究課題番号 |
22H03968 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
姜 貞勲 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50423512)
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研究分担者 |
猪口 淳一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10403924)
村田 正治 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 教授 (30304744)
戸井田 力 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (40611554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / マクロファージ細胞 / ナノ医薬 / 炎症制御 / 組織修復 / ナノ分子 / 抗炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓組織の炎症と線維化が惹起されて重症化すると、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)に至り、最悪の場合は末期腎不全に陥る。腎損傷部位に浸潤する炎症性M1型マクロファージは腎炎と腎線維化においてキーとなる細胞であり、慢性腎臓病の進行に深く関わっている。もし、炎症性M1型マクロファージを抗炎症・組織修復性M2型マクロファージに機能変換ができる手段が存在すれば、腎線維化の抑制と腎損傷部位の修復の両方が期待できる。本研究では、M1型からM2型に機能変換を可能とする機能性ナノ分子による腎炎と腎線維化の抑制および腎損傷部位の修復を評価し、CKDの治療剤としての可能性を探る。
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研究実績の概要 |
脂肪酸側鎖R1とR2に同じ不飽和脂肪酸を持つ脂質と異なる脂肪酸を持つ脂質を用いてナノ分子本体を作製し、蛍光ラベル化した。腎臓ターゲティング能力を調べるために、蛍光ラベル化したナノ分子本体をマウスに血中投与すると、脂肪酸側鎖R1とR2に同じ不飽和脂肪酸を持つ脂質で作製したナノ分子本体のほうが、より高い腎臓ターゲティング能力を示した。また、超音波を用いて簡易に100 nm以下のサイズの機能性ナノ分子(抗炎症性タンパク質をナノ分子本体に修飾したもの)を作製することに成功した。機能性ナノ分子のサイズによる抗炎症効果の差を調べた実験では、300 nmのものに比べて100 nm以下のものがより高い抗炎症効果を示した。これらにより機能性ナノ分子のサイズは抗炎症効果に大きな影響を与える要因であることが明らかになった。機能性ナノ分子に対する毒性評価では、機能性ナノ分子を投与したマウスの肝臓、脾臓、腎臓、肺、および心臓における変化は確認できず、生化学検査でも異常は見られなかった。さらに、20週間高脂肪食給餌したマウスでは腎臓の重量と糸球体(glomerulus)のサイズが顕著に増加した。しかし、機能性ナノ分子を週2回腹内投与したマウスでは腎臓の重量と糸球体のサイズの減少が確認でき、重量の場合は、正常食を給餌したマウスの腎臓の重量と同等のレベルまで減少した。これらの結果から、機能性ナノ分子は肥満によって誘導される腎障害の予防・改善に有効であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能性ナノ分子の最適化、機能性ナノ分子の毒性および腎障害動物モデル対する機能性ナノ分子の予防・改善効果を検証し、腎臓ターゲティング能力を向上させた新規機能性ナノ分子の創製にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
新規機能性ナノ分子の物理化学的性質(サイズと表面電荷)の評価と抗炎症効果を調べる。また、長期高脂肪食給餌動物モデルと慢性腎臓病の動物モデルの腎障害に対する機能性ナノ分子の治療効果を検証する。
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