研究課題/領域番号 |
23K25231
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補助金の研究課題番号 |
22H03977 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
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研究分担者 |
衛藤 剛 大分大学, グローカル感染症研究センター, 教授 (00404369)
二宮 繁生 大分大学, 医学部, 講師 (10468019)
徳安 達士 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50435492)
白下 英史 大分大学, 医学部, 教授 (50596955)
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
山田 健太郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (70458280)
赤木 智徳 大分大学, 医学部, 講師 (80572007)
河野 洋平 大分大学, 医学部, 准教授 (90572008)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 内視鏡外科手術 / 癌 / ナビゲーション / 人工知能 / ウイルス / レオウイルス / 腹腔鏡手術 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,癌手術における主要なランドマークを客観的な観点から術中に教示するための技術開発を行う.癌に対する腹腔鏡手術を腫瘍学的・技術的に安全に遂行するためのCross AI navigation systemの実現に向け,(1)蛍光蛋白質を発現するレオウイルスを用いた癌進展範囲の術中診断,(2)人工知能を用いた手術操作における解剖学的ランドマークの術中教示の技術基盤をそれぞれ確立し,(3)それぞれの検証実験を行うことで,提案システムの臨床応用に向けたリスクアセスメントを行う.本研究の成果は,熟練外科医の暗黙知や膨大な病理標本のデータに基づく癌手術の情報支援システムを確立するものである.
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研究実績の概要 |
本研究では,癌手術における主要なランドマークを客観的な観点から術中に教示するための技術開発を行う.具体的には,癌に対する腹腔鏡手術を腫瘍学的・技術的に安全に遂行するためのCross AI navigation systemの実現に向け,(1)蛍光蛋白質を発現するレオウイルスを用いた癌進展範囲の術中診断,(2)人工知能を用いた手術操作における解剖学的ランドマークの術中教示の技術基盤をそれぞれ確立し,(3)検証実験を行い、臨床応用に向けたリスクアセスメントを行う.2023年度の研究実績を以下に示す。 研究項目(1)ヒト由来消化管癌細胞株を移植したヌードマウスを用いた遺伝子組換えレオウイルスの実現性に関する評価 レオウイルスを用いた動物実験では,ウイルスの構造を遺伝子レベルで調整し,消化器癌細胞の反応を制御する必要がある.これまでに,我々はヒト消化器癌細胞株に対して蛍光タンパク質遺伝子(BDFPまたはKiller Red)を導入した組換えレオウイルスを接種し,光照射による蛍光発色また殺細胞効果があることを示した(Shirasaka et al. Pharmaceuticals (Basel). 2024) . 研究項目(2)ランドマークおよび癌進展範囲術中教示のための人工知能ソフトウェアの構築と評価 直腸癌手術における技術的安全性を担保するために各手術工程において表示すべき重要な解剖学的ランドマークを設定し、腹腔鏡下手術10症例のビデオを利用して専門医が作成した教師データを作成した.教師データを、深層学習をベースとする画像認識アルゴリズムに学習させ、デモ機が完成した.さらに今後のデモ機の動作検討後に行う、膨大な教師データを学習しversion upに必要な手術動画50例も確保し準備を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目(1)ヒト由来消化癌細胞株を移植したヌードマウスを用いた遺伝子組換えレオウイルスの実現性に関する評価 これまでのin vitro実験を通じて,蛍光タンパク質遺伝子を導入した組み換えレオウイルスは増殖能が低下し,挿入した外来遺伝子が時間経過と共に欠落して野生株優位となることが判明し、組み換えレオウイルスの安定性がin vivo実験に向けた課題となっていた.これに対し新規の遺伝子組み換えを行うことで,挿入した蛍光蛋白遺伝子の安定化に成功し,動物実験に移行できる目処がついている. 研究項目(2)ランドマークおよび癌進展範囲術中教示のための人工知能ソフトウェアの構築 直腸癌手術における作成した教師データを、深層学習をベースとする画像認識アルゴリズムに学習させた人工知能ソフトウェアデモ機の作成に到達した.有用性評価については臨床外科医による直腸癌手術における人工知能教示システムデモ機動画のランドマーク教示形式の主観的評価まで進んだ状況であるが、関連する人工知能システム技術開発(腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるCritical view of safety達成基準評価、また手術工程についての深層学習を行った手術シーン認識)はさらに予定を越えて進んでおり、実機作成に向け、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目(1)in vivo消化器癌モデルにおける組み換えレオウイルスのイメージングおよび Immunocompetent modelを用いた生体内動態の検討・ヌードマウスの消化器癌モデル(皮下腫瘍、腹膜播種)に蛍光タンパク質遺伝子(BDFPまたはKiller Red)組換えレオウイルスを接種し,LEDやレーザー光を使用したin vivoイメージングによるシグナル解析を行う。 ・組換えレオウイルスに対する宿主免疫,生体内動態を確認するため,Immunocompetent modelを用い,BDFPまたはKillerRed導入レオウイルス局所および静脈投与後の腫瘍内,各臓器でのウイルス濃度測定,血清レオウイルス抗体の測定,宿主免疫に対する影響の評価(NK activityやTh1/Th2バランス),ウイルス投与動物への副作用の検討も行う。 研究項目(2)人工知能ソフトウェアのversion upによる精度向上・腹腔鏡下手術50症例のビデオを利用して作成された教師データを学習させ、ランドマーク教示精度を向上したデモ機のversion upを行う。 研究項目(3)人工知能ソフトウェアの検証実験による臨床応用に向けたリスクアセスメント・内視鏡システムの映像出力端子をコンピュータに接続し,人工知能の教示結果を補助モニタに表示することで,非医療機器に準ずる形で実験システムを構成する。・直腸癌手術において人工知能ソフトウェアが正常にランドマークを教示できるかについて評価する.直腸間膜への安全なアプローチに向けて,ランドマーク教示が術者にどのような気付きを与えるかに着目して評価する。・安全な直腸癌手術における直腸間膜全切除は世界の大腸外科医の国際的な共通認識であるため、米国の外科医も対象とし、本事業で開発したランドマーク教示に対する評価の日米の差異についても検討する。
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