研究課題/領域番号 |
23K25232
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補助金の研究課題番号 |
22H03978 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 葉子 (遠藤葉子) 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30453806)
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研究分担者 |
根岸 洋一 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50286978)
金沢 貴憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (60434015)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | ナノバブル / 経鼻投与 / 超音波 / 脳 / マイクロ流体技術 / 低周波超音波 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに微小気泡の一つとして開発してきた超音波診断造影と遺伝子導入を可能とするナノバブルの調製において、実用化を見据えマイクロ流体技術を利用するほか、経鼻投与に適した粒子設計とすることで、非侵襲的な投与形態であるNose-to-Brain経路への適用に特化した新規ナノバブルの開発を目指す。さらに併用する超音波として低周波数かつ脳組織深部へ集束可能なものを使用し、それを経頭蓋的に照射することで、脳内疾患部位へのピンポイントな核酸導入を試み、中枢神経系疾患の新規核酸治療システムの基盤構築に繋げる。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまで開発してきた遺伝子・核酸デリバリーおよび超音波造影ツールである超音波応答性ナノバブルの調製において、新たにマイクロ流体技術を活用することで、簡便で均一性の高い調製法の確立を目指している。さらに、核酸搭載かつ経鼻投与可能な粒子とし、Nose-to-Brain経路を利用した脳組織への流入量の増大を図り、経頭蓋的集束超音波を併用した効率的な核酸導入法の開発と中枢神経系疾患治療への応用展開を目的とする。 前年度までに、マイクロ流路を用いた検討において、従来の調製法によるナノバブルと同程度の粒子径、個数濃度を有するのバブル溶液を調製することに成功した。そこでその機能性評価を試みたところ、診断用超音波との併用により造影効果が認められた。さらに、条件の確立している治療用超音波を併用した筋組織への遺伝子導入を試みたところ、本ナノバブルの遺伝子導入ツールとしての有用性が示された。今後、他の調製条件も含めた更なる最適化を進めることで、経鼻投与に向け粒径制御可能な技術の確立を目指す。 またナノバブル表面への核酸搭載に関する検討として、その表面へのコーティング剤の評価を進めた。これまで、生体内で安定なアニオン性ナノバブルに結合しうるカチオン性多糖類を用いてきたが、当該年度は、より重合度が低く低分子量の糖、さらにカチオン性ペプチドを利用したナノバブル表面への遺伝子搭載と遺伝子導入を試みた。その結果、これら分子量の低いコーティング剤は搭載およびin vivo導入において多糖類よりも有用であることが示された。核酸搭載については現在検討中であるが、汎用性の高いDDSキャリアを創製すべく、最適化を進める予定である。 脳内深部への核酸デリバリーについては検討が進まなかったが、次年度は上記で得られたナノバブルと経頭蓋的な低周波超音波照射との併用し、そのデリバリー効果について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究遂行により、マイクロ流体技術を用いて調製したナノバブルが、超音波照射との併用により超音波造影効果および遺伝子導入効果を有することを明らかとした点は非常に大きいと考えている。現時点では血管内投与による検討であるが、従来と異なる方法で、かつこれまでと比較して極めて短時間で調製されたナノバブルが、同様に超音波に応答して機能し得ることは十分有益な情報といえる。更なる調製条件の検討により、サイズ制御についても進めていきたい。また、核酸搭載に向けたコーティング剤の評価も進めることもできたことから、サイズ制御技術と合わせて核酸搭載ナノバブルとすることができれば、本研究の目的の一つである簡便で均一性の高い新たな調製法の確立に繋がるものと考えられる。以上より、本研究は順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、マイクロ流体技術を用いたナノバブル調製における粒子径の制御が可能な条件検討を進めていく。脂質組成、脂質濃度、溶媒条件、マイクロ流路チップ条件などを変更しながら、物性評価に加え、遺伝子・核酸導入効果や超音波造影効果も指標に更なる調製法の最適化を進める。また、マイクロ流体技術を用いて調製したナノバブルの経鼻投与を試み、その到達可能領域について、脂質に施した蛍光標識の検出により解析する。また経鼻投与後の脳内動態のみならず、バブル製剤としての形態・機能が維持されているかも超音波造影により評価しながら、経鼻投与に適したバブル製剤開発を目指す。最適化されたナノバブルへの核酸搭載法の確立を図り、さらに低周波の集束超音波照射併用に伴う蛍光標識核酸のデリバリー効果の評価から、経頭蓋的超音波照射条件の更なる最適化を進め、核酸治療法としての応用に繋げていく。
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