研究課題/領域番号 |
23K25235
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補助金の研究課題番号 |
22H03981 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
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研究分担者 |
位高 啓史 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60292926)
貴田 浩志 福岡大学, 医学部, 准教授 (80529454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 超音波医科学 / 超音波 / ワクチン / ナノバブル / 遺伝子導入 / ウルトラファインバブル / mRNA / 超音波穿孔法 / 超音波治療装置 / ソノポレーション |
研究開始時の研究の概要 |
装置の超音波周波数と超音波強度を検討した結果、ナノバブルが応答する超音波周波数が40kHzから150kHzでも可能であることを突き止めた。同装置は持ち運びができ、乾電池(単3)で駆動でき、我々の目指す小型ワクチン投与装置の実用化へ一歩近づいた。研究成果は下記の学会・展示会で発表され、特許申請につながった。一方、細胞培養実験ではウルトラファインバブルとmRNAの実験では培養した癌細胞株に対するキャリアフリーmRNAソノポレーションを行い、24 時間後にレポーターアッセイ(ルシフェラーゼ)による遺伝子導入効率とMTTアッセイによる細胞 障害性を検討した。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はナノバブルの発生/安定化原理と超音波応答性を解明し、ソノポレーションで のキャリアフリーのmRNAの安全かつ高効率な経皮的導入を動物で確立することである。 上記の目的を得るためにはナノバブルの発生/安定化の原理・超音波応答性の解明、ソノポレーション効率向上 信号発生器、増幅器、超音波素子を組み合わせた独自の超音 波照射システムを新規に構築するする必要がある。装置の超音波周波数と超音波強度を検討した結果、ナノバブルが応答する超音波周波数が40kHzから150kHzでも可能であることを突き止めた。同周波数設定で小型の超音波装置のプロトタイプ1号を作成し、in vitroにおける培養細胞遺伝子導入を行ったところ、コントロール群に比べ、有意に高い遺伝子導入率が得られた。同装置は持ち運びができ、乾電池(単3)で駆動でき、我々の目指す小型ワクチン投与装置の実用化へ一歩近づいた。研究成果は下記の学会・展示会で発表され、特許申請につながった。一方、細胞培養実験ではウルトラファインバブルとmRNAの実験では培養した癌細胞株に対するキャリアフリーmRNAソノポレーションを行い、24 時間後にレポーターアッセイ(ルシフェラーゼ)による遺伝子導入効率とMTTアッセイによる細胞 障害性を検討した。その結果、本件研究の目的で予想された実験結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では超音波装置の超音波帯域幅、生成波形、アーキテクチャなど様々な特性を持った信号発生器 とそれに適した増幅器、さらに最適周波数の異なる様々な形状・材質の超音波素子を組み合 わせて実験装置のシステムを構築する予定であった。昨今の世界情勢で電子部品の調達が困難になり、部品の納品に大幅な遅れが生じ、当初の計画よりも遅れが生じた。また、プロタイプ第1号の作成費用も予定よりコストが増え、予定の予算よりもオーバーした。しかし、当初予想して超音波周波数帯域よりも低いことが、実験で分かったので超音波素子にエネルギーを供給する増幅器のコストを大幅に削減できた。よって、超音波治療装置の開発の進捗状況はおおむね予定に沿って進んだ。一方、ナノバブル(ウルトラファインバブル)とmRNAの実験では細胞培養の消耗品類の入手が2022年8月9月まで続き、予定よりも大幅に遅れる結果となった。プラスチックの細胞培養ウェルに培養した細胞株に対するキャリアフリーmRNAソノポレーションを行い、24 時間後にレポーターアッセイ(ルシフェラーゼ)による遺伝子導入効率とMTTアッセイによる細胞 障害性を検討した結果、プロトタイプ1号装置では細胞障害がほとんど認められなかった。一方、mRNAの実験ではコントロール群に比べて有意な遺伝子導入率を得ることができた。我々が試作したプロトタイプ1号の超音波装置で十分な実験結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の実験の計画として、ウルトラファインバブルの気泡殻、ガス種、溶媒種類の組成変更、さらには超音波振動条件などの変更による、ナノバブルの粒子濃度と粒子径の変化のメカニズム解明を目指す。混相流数値計算により推定し、実際にこれらの条件でナノバブルを発生させて解析できるかが次年度のポイントと考えられる。 さらに、ナノバブルの表面電荷(ゼータ電位)の測定、電子顕微鏡を用いたバブルの気液界面 構造解析の試み、ナノバブルの安定化機序のメカニズム解明に挑む。超音波照射条件との組み合 わせのため、より高濃度で粒子径の分布幅が狭小なナノバブルの発生条件を探索する必要がある。単一 の周波数の超音波に応答する粒子径のナノバブルのみを高濃度に発生させてソノポレーショ ンに用いることで、より効率的な遺伝子導入が期待できる。できれば、次年度の計画を前倒しにして第2の目標の:動物モデルにおけるmRNAソノポレーション技術の確立 構築した超音波照射システムとナノバブルで生体動物の皮膚にレポータ遺伝子mRNAを導入し、導入効率と組織内での発現分布、皮膚障害性や全身性の毒性を評価する。第1段階では皮内注射でのmRNA導入、第2段階では難易度の高い、注射を用いない経 皮的mRNA導入に挑む。
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