研究課題/領域番号 |
23K25241
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補助金の研究課題番号 |
22H03987 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
今井 博久 帝京大学, 医学部, 教授 (20316631)
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研究分担者 |
中尾 裕之 宮崎県立看護大学, 看護学部, 教授 (40336293)
小池 博文 横浜市立大学, 附属病院, 副薬剤部長 (60886365)
奥田 真弘 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
池田 俊也 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90193200)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 地域フォーミュラリ / 標準的薬物治療 / 医薬品 / 費用対効果 / テクノロジーアセスメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は医療制度(医薬品適正使用の支援システム)の有効性を検討するという医療テクノロジーアセスメント(Health Technology Assessment;HTA)の枠組みによる研究である。すなわち、本研究では地域フォーミュラリ制度の導入により「医療技術(システム)」が患者に恩恵をもたらすのか、についてHTAの観点から評価することを目指すものである。実際に、地域フォーミュラリ実施の地域から患者データを収集して、患者アウトカムを非劣性的に評価する。
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研究実績の概要 |
二年目は実際にデータ収集を実施し統計解析を行った。研究デザインは対照のない前後比較研究(後ろ向きコホート研究)とし、調査方法は地域フォーミュラリを実施している地域の医療施設におけるカルテ調査であり、データ入力は当該医師又は治験臨床研究センターの医療従事者が行った。対象は2019年2月から2023年4月の間にアジルバからオルメサルタン、テルミサルタン、カンデサルタンのいずれかに変更された山形県酒田地区の18 歳以上の外来患者とした。調査項目は、性別、年齢、BMI 、既往歴、期間中の新型コロナウイルス感染症の感染状況、薬剤変更前のアジルバの用法用量、内服年数、変更前後の他の種類の併用降圧薬の薬剤名と用法用量、薬剤変更3カ月間の有害事象、薬剤変更日、変更3カ月後の収縮期血圧(SBP) / 拡張期血圧(DBP) とした。 血圧の定義は、外来受診時の診察室血圧とし、ベースラインの血圧と変更3 カ月後の血圧を評価項目とした。ベースラインの血圧は、アジルバから他剤への変更時のSBP/DBP とし、変更後3カ月後の血圧は、アジルバから他剤へ変更し、3カ月以上継続された場合のSBP/DBP とした。今回の症例数は、地域フォーミュラリ導入によりARB が変更となった高血圧患者47 名となった。対象者の平均年齢は63.4 歳、男性28 名(60%)、BMI は25.1kg/m2、期間中に新型コロナウイルス感染症に感染していた患者はいなかった。アジルバから変更された薬でオルメサルタンが32 名(68%)と最も多かった。既往歴では脂質異常症が25 名(53%)と最も多かった。ベースラインと3 カ月後のSBP/DBP は、平均SBPにおけるベースラインでは133.53mmHg、3カ月後は131.70mmHg で1.83mmHg 低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内において地域フォーミュラリを実施している地域は多くなく限られ、また歴史的にも長い期間実施されているわけではなく、山形県酒田地区を対象地域に決定した。東京から山形県酒田地区に何度も出向いて打ち合わせを行った。統計解析に耐えられる十分な症例数を確保するために実施地域の関係者(医師会医師、薬剤師会薬剤師、病院責任者、治験部門責任者など)との打ち合わせなどを繰り返し行ったため、それだけでかなり時間を要した。その後、実施地域の関係者とデータ収集方法について手順を詰めて行く過程でもかなりの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた研究内容のフィージビリティを検討し、対象として高血圧治療系薬、脂質異常症治療薬、胃粘膜保護系薬などの使用による薬物治療から高血圧治療系薬(ARB)のみに絞り込み、フィージビリティを高める計画に変更した。高血圧は患者数も多く、また血圧値というデータは入手し易いからである。さらに、地域フォーミュラリの導入前後の患者アウトカムに関して非劣性試験を行う場合、対象患者数が100名以上でなければ予定した統計解析が実施できないため、地域フォーミュラリを実施している地域を増やす方向とした。日本フォーミュラリ学会の普及活動により本邦における地域フォーミュラリの導入地域が順調に増加しているため、今後は症例データ数の増加が期待できる。三か所~四か所の地域フォーミュラリ導入地域からのデータ収集を行えば、対象患者数が100名以上を収集でき精度の高い統計解析ができるため、次年度以降は山形県酒田地区以外の地域フォーミュラリ実施地域に出向き、関係者とデータ収集の交渉を試みたい。
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