研究課題/領域番号 |
23K25242
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補助金の研究課題番号 |
22H03988 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
山本 玲子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 上席研究員 (20343882)
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研究分担者 |
今井 啓道 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80323012)
清水 良央 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30302152)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 生体内分解性材料 / 生物学的安全性 / リスク評価 / レギュラトリーサイエンス / 生体吸収性金属材料 / 炎症反応 / 電気化学測定 / 疑似組織 / 物質拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内で分解・消失する金属材料としてMgやZn、Feの合金の医療応用が期待されている。これらの材料による治療の成否には、患者体内における分解速度が大きな影響を及ぼす。よって、臨床使用時のリスク低減には分解特性の適切な評価が重要であるが、動物を用いた評価法には限界がある。そこで、体内における分解速度に大きな影響を及ぼす因子として組織中血流量(拡散速度)と異物反応を想定し、これらを考慮したin vitro評価法を開発する。具体的には、1)疑似組織中の生体高分子濃度制御による血流量の模擬、2)免疫細胞の活性化状態制御による炎症反応の再現、により、腐食挙動に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体内で腐食により分解・消失する金属材料として、マグネシウムや亜鉛、鉄の合金の医療応用が期待されている。これら生体吸収性金属材料による治療の成否には、患者体内における腐食腐食速度が大きな影響を及ぼす。よって、臨床使用におけるリスク低減には、腐食特性の適切な評価が重要である。そこで、臨床使用における生体吸収性金属材料の腐食に影響する要因として血流量と異物反応を想定し、これらの因子を考慮したin vitro評価法を開発する。 本年度は、腐食影響因子として炎症反応を想定し、免疫系細胞を用いた炎症反応の再現を試みた。ヒトリンパ腫由来組織球類似細胞を用い、未分化状態ならびに活性化状態の細胞をマグネシウム合金上に播種し、経時的に電気化学インピーダンス測定を実施した。その結果、未分化状態の細胞でもマグネシウム合金の腐食を促進するが、活性化によりさらに腐食を促進することが確認された。一方、活性化状態の細胞に対し、活性酸素除去物質を添加したところ、腐食促進効果は低減した。一方、播種する細胞数により、腐食促進効果が異なることも確認した。以上から、免疫系細胞を用い、その細胞数や活性化状態の制御、さらに活性化マクロファージが放出する活性酸素の消去酵素を組み合わせることによりマグネシウム合金の腐食促進効果を調整できる、すなわち炎症反応強度の異なる環境が再現可能であることを明らかにした。 一方、マグネシウム試料を疑似組織に埋植し、腐食挙動ならびに表面に形成される不溶性塩を調べたところ、疑似組織内の拡散速度により不溶性塩組成が異なることが判明した。マグネシウム試料の生体内埋植により、試料表面にはリン酸カルシウムが形成されることはよく知られているが、試料表面周辺組織中の拡散速度が小さい場合には、埋植初期に水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムの形成が主となることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の疑似組織中インピーダンス測定手法の確立に加え、今年度はヒトマクロファージ培養下でマグネシウム合金試料のインピーダンス測定に成功した。これにより、疑似組織中と同様に免疫細胞培養下で、同一試料の経時的腐食挙動モニタリングが可能となった。 本手法を用いて、マクロファージの活性化によるマグネシウム合金の腐食促進を確認した。活性化マクロファージの腐食促進効果は播種したマクロファージ数により異なること、さらに活性酸素除去物質の添加により抑制されることを確認した。このことは、マグネシウム合金の腐食挙動評価において、炎症反応の強さを制御した環境の再現が可能であることを示すものであり、重要な知見である。 上記2つの手法の確立により、血流量の異なる組織への埋植時の腐食挙動の推定、ならびにワーストケースとしての炎症反応下での腐食挙動の推定が可能になると考えられる。以上から、研究はおおむね順調に進捗していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、体内環境を再現した生体吸収性金属材料のin vitro腐食挙動評価を、臨床使用における有効性・安全性リスク低減に資することを目指している。初年度に開発した、疑似組織中の腐食挙動評価法では、疑似組織中の拡散速度を制御することにより、生体組織中の血流量の違いを模擬している。今年度開発したマクロファージ培養下での腐食挙動評価法は、マクロファージの活性化により異物性炎症反応を模擬している。 血流量や異物性炎症反応の強さには患者ごとの個人差があり、生体内環境として一様な条件が定められるものではない。それゆえに、動物への埋植試験においても、臨床使用で生じる反応を再現性よく評価することは難しい。そのため、これらの因子を変化させ、それに対する材料の反応を調べることで、臨床使用時のリスクやそれに対する対処法、あるいは特定の医療デバイスに対する最適材料の選択に資することが期待される。そこで、モデル材料(一種類の試料)だけでなく、複数の試料について、開発手法を用いた評価を実施し、これら変動因子に対する材料側の感受性を明らかにする必要がある。得られたデータは、新規インプラントデバイスの開発における材料選択指針、あるいはデイバス設計指針の確立に貢献すると思われる。また、開発した試験の汎用化のための実施条件の明確化に取り組む予定である。
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