研究課題/領域番号 |
23K25243
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補助金の研究課題番号 |
22H03989 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 教授 (80404119)
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研究分担者 |
玉田 泰嗣 北海道大学, 大学病院, 助教 (50633145)
高橋 陽助 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (00909187)
小金丸 聡子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40579059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 摂食嚥下 / 多点表面筋電図 / 筋シナジー解析 |
研究開始時の研究の概要 |
嚥下は,食物を口腔から胃へと送り込む一連の動作であり,随意運動と不随意運動が共存する複雑な生理機構によって実現される.舌骨上筋群と舌骨下筋群は,嚥下の主要筋群であり,前頸部でその筋活動を観測できるが,随意運動と不随意運動を分けて評価できない技術的な課題がある.そこで,本研究では,前頸部多点表面筋電図から筋シナジーを抽出し,摂食嚥下機能を詳細に評価しうる新しい手法を開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,前頸部表面筋電位信号から,摂食嚥下の各フェーズにおける筋シナジーを抽出し,嚥下諸器官の機能評価と誤嚥リスク判定を行う新たな技術開発を目的としている. 今年度は,前年度構築した超音波診断画像と多点表面筋電位信号の同期計測システム,ならびに,嚥下造影画像と多点表面筋電位信号の同期計測システムを用いて,若年者,高齢者,摂食嚥下障害患者を対象としたデータ収集を実施した. 超音波診断画像では,食塊形成に関わる咀嚼時舌運動や,食塊の咽頭への送り込みに関わる嚥下時舌運動を観測し,画像処理によりそれらの運動を数値化した.そして,嚥下時の筋シナジーに加え,咀嚼時の筋シナジーを新たに抽出し,その妥当性を超音波診断画像と比較・検証することで,食塊形成時の舌運動と下顎運動の協調性,ならびに食品によって異なる食塊形成や嚥下の容易性を評価できる可能性を示した.舌運動については,左右運動,上下運動,円運動時の筋シナジー解析も行い,加齢や疾患に伴って低下する舌の巧緻性を,非侵襲かつ定量的に評価できることを明らかにした. 嚥下造影画像では,摂食嚥下障害患者と正常対照群の嚥下諸器官の運動を画像処理によって数値化し,表面筋電位信号から抽出した3つの筋シナジーとの対応関係について解析を行った.その結果,3つの筋シナジーは,前年度予想したように,①食塊の咽頭への送り込み,②嚥下反射前半(舌骨挙上),③嚥下反射後半(喉頭閉鎖)に対応していることが確認された.さらに,筋シナジー解析を嚥下反射開始のイベント検出器として用い,表面筋電位信号を随意運動と嚥下反射が主たる成分となる区間に分割し,各区間の筋活動をAIによって解析することで,加齢に伴って進行する筋疲労のしやすさを検出できる可能性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若年者,高齢者,摂食嚥下障害患者を対象としたデータ収集が進み,摂食嚥下機能ならびにその礎となる舌運動の巧緻性や筋疲労のしやすさなどを数値化しうる新たな技術開発を行った.これらの知見は,学術論文だけでなく,3件の発明として特許出願を済ませるなど,順調に研究を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
臨床的視点に基づいて数値化した誤嚥の有無やリスクを,筋シナジーの特徴から推定しうる評価技術を開発し,研究分担者とその有効性について考察を行う.さらに,咀嚼時筋シナジーと嚥下時筋シナジーを組み合わせることで,食物を口に入れてから飲み込むまでの総合的な摂食嚥下機能評価システムを実現する.
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