研究課題/領域番号 |
23K25246
|
補助金の研究課題番号 |
22H03992 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
|
研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
坂井 忠裕 筑波技術大学, 保健科学部, 客員研究員 (40925971)
|
研究分担者 |
松尾 政輝 筑波技術大学, 保健科学部, 助教 (00912271)
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
|
キーワード | 空間力覚誘導 / 3次元物体認知 / 空間移動軌道 / 空間位置認知・記憶 / 視覚障がい者 / 空間内動的移動軌道提示 / 空間力覚誘導提示システム / 離散型力覚誘導記録再生方式 / 空間位置認知・記憶評価 / 空間内動的移動軌跡伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、指を空間で誘導することで位置や運動を感ずる自己受容感覚を用いた力覚誘導により、従来の能動触と併せた立体触知の支援や球技のボール位置や空間内の移動軌道を伝達できる提示法の可能性を実証し、視覚障がい者が立体教材を用いた教育や学習、スポーツ競技の学習や観戦などに利用できるシステムの基盤を構築する。そのために、①自己受容感覚における空間位置の認知や記憶と空間イメージの形成、②能動触と力覚誘導を併用した提示における立体形状の認知理解、③力覚誘導による球技スポーツなどの動的空間移動軌道の伝達、に対する効果を明らかにすることで、空間認知を考慮した新たな提示法の開拓と情報バリアフリーに寄与する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、指を空間で誘導することによる受動的な自己受容感覚を用いた提示における空間位置認知特性と、立体物の認知・理解、空間的な移動軌跡の伝達に与える効果を評価し、視覚障がい者に立体教材を用いた教育・学習、スポーツ球技の学習や観戦などを支援するシステム基盤を構築することである。 そのために、①自己受容感覚における空間位置の認知や記憶、空間イメージの形成に対する効果の究明、②能動触と自己受容感覚を併用した提示における立体物の形状認知や理解に対する効果の評価、③自己受容感覚を用いた球技スポーツなどの動的な空間移動軌跡伝達に対する効果の実証、④評価実験および教育利用や自己学習が可能な形態を考慮した実験/応用システムの設計と試作開発、の4つの課題を設定した研究開発を実施する。 2022年度は、おもに、2023年度に予定している課題①と④の最終システムの形態を考慮した空間力覚誘導提示実験システムの設計・開発、および課題①の実験策定と実験環境の整備を実施した。具体的に、実験システムに関しては、立体物を両手で自由に触察できる機構を有する力覚誘導提示装置、および設定した誘導力や速度で空間内や立体模型の表面を誘導する機能と任意の誘導位置や軌道を記録し再生する機能を備えたソフトを開発した。動作検証の結果、空間内の力覚誘導が可能なことが確認された。評価実験については、実験試行の制御とデータ収集のためのソフト開発、空間位置の弁別や再生能力を明らかにするための実験設計を実施した。また、3Dプリンタを用い評価材料を作成できる環境を整え、必要な立体物や空間内の誘導軌道位置を規定する治具の作成などの準備を進めた。これに加え、視覚障がい者3名に本方式の効果やシステム開発への要望について聞き取り調査した結果、高い有効性が予測され、装置の利用を期待する回答が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2022年度は最終形態を考慮した空間力覚誘導提示実験システムを設計開発し、装置機構系と空間内の力覚誘導を可能とする制御ソフトで構成するシステムを具現化できた。動作検証の結果、一部改善が必要な部分も見出されたが、基本的な動作が実現できたことで、空間内の力覚誘導の可能性が得られたと考えている。評価については、2023年度実施予定の実験の策定と設計、および評価用ソフトの開発を行い、次年度以降の評価実験を遂行できる見通しが得られ一定の進捗が計れたと考えられる。さらに、視覚障がい当事者にシステムへの要望や有効性、応用分野に関する聞き取り調査を実施することで、開発内容に反映できたことや、本システムの幅広い応用範囲を認識できたことは貴重な成果であった。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の進捗を踏まえ、今後は以下の(1)~(4)の計画を推進することで、視覚障がい者の空間認知特性を基にした最良な提示条件の確立とシステム構築を進め、本研究の目標の実現を目指していく。(1)、(4)はおもに2023年度、(2)、(3)はおもに2024年度以降を予定している。 (1) 課題①の基礎的な評価については、視覚障がい者を対象に、受動的自己受容感覚を用いた触知における空間位置の弁別能力と力覚誘導条件が空間位置認知・記憶再生に与える影響を実験で明らかにする。また、空間イメージの形成に対する効果を評価する。 (2) 課題②の立体物の認知と理解の評価については、能動触と力覚誘導(自己受容感覚)のそれぞれの提示と両者を併用した提示の場合の差異の有無を主観・客観評価で求め、本提示方式の効果を検証する。力覚誘導の軌道については、教育者などが立体を触察する経験的な手順を調査し、それを基に誘導経路に実装する。 (3) 課題③の球技ボールなどの動的な空間移動軌跡伝達に対する効果の評価については、実際の球技ボールの移動軌道データを実装した場合のボールの実時間の動きの把握度を再生法で評価する。競技のルールやスポーツ競技状況の理解においては、音声実況のみの場合と力覚誘導を併用した場合の状況理解の差を質問紙法などで評価する。 (4) 課題④のシステム基盤の開発に関しては、2022年度に開発した離散的に空間位置を指定することで誘導軌道を作成する方式に加え、容易な操作UIで連続的な誘導軌道を作成する方式を開発する。また、立体物の自由触察時や誘導時に物体の重要な箇所の内容を音声で説明する機能を開発する。開発にあたっては、(1)~(3)の結果をフィードバックし、必要に応じて設計・改良を行う。
|