研究課題/領域番号 |
23K25264
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補助金の研究課題番号 |
23H00567 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
小区分01040:思想史関連
合同審査対象区分:小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連、小区分01030:宗教学関連、小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
藤井 雅子 日本女子大学, 文学部, 教授 (20440084)
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研究分担者 |
山岸 常人 京都府立大学, 文学部, 特任教授 (00142018)
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
武井 紀子 日本大学, 文理学部, 教授 (30736905)
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 研究員 (40107470)
西 弥生 種智院大学, 人文学部, 准教授(移行) (50459939)
小宮 俊海 大正大学, 総合学修支援機構, 非常勤講師 (50972189)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 聖教 / 真言密教 / 修験道 / 新義真言宗 / 事相 / 事相・教相 / 修学 / 日本海交易 / 宗教ネットワーク / 畿内本寺 / 醍醐寺 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世から明治期における日本海交易の幹線を通じて、港湾に生活し活動する人々と寺院や宗教との相互の関わりを解明することを課題とする。 まず現在も真言密教および修験道を伝持する陸奥国津軽の深浦湊の円覚寺、越後国三国湊の瀧谷寺等への仏法の伝播を追求する。日本海交易が畿内と不可分の関係にあり、畿内本寺と北陸・東北の寺院や僧侶との仏法相承の相互交流があったことはいうまでもない。そこで畿内本寺である京都醍醐寺・智積院等と地方寺院との交流を示す史料にも注目し、畿内から地方への仏法の地域的広がり、地方から畿内に求める仏法修学の実態など、日本海幹線を通じた宗教ネットワークについて明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究は、中世から明治期における日本海交易の幹線を通じて、港湾に生活し活動する人々と寺院や宗教との関わりを解明することを課題とし、これらを寺院史料の分析を通して明らかにしようとするものである。 本研究初年度の2023年度は、まず畿内寺院である京都智積院、大阪金剛寺の文書・聖教史料調査を各1回ずつ実施した。その他、日本海沿岸寺院である青森県深浦の円覚寺において聖教調査を行った。これら三寺院の調査の成果として、調書をもとに目録を作成した。また智積院の調査により、近世における畿内本寺智積院と地方寺院との本末関係の実態を表す文書が確認された。 加えて円覚寺においては境内の薬師堂厨子の墨書にも注目し、その内容からも日本海交易と宗教ネットワークが明らかになる可能性について現地において検討会を実施した。その結果、2024年度に墨書の解読を目指すこととなった。 福井県三国湊の瀧谷寺については、現地において史料内容と残存状況、福井県作成の史料目録や史料の撮影状況等の確認を実施し、24年度に向けての調査計画を立てるなど調査準備を行った。その結果、瀧谷寺においては聖教の悉皆調査を実施することにした。醍醐寺については、史料目録および撮影データを参考に、研究を行った。なおこれらの調査・研究や史料の分析を通して、研究代表者藤井雅子が論文「室町前期における地方住僧の修学活動―醍醐寺報恩院隆源と越前国三国湊瀧谷寺睿憲との関わりを通して―」において、畿内本寺醍醐寺から瀧谷寺への仏法伝播の一端を解明し、公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は本科研1年目ということで、以下の通り調査および調査準備を進めた。 日本海沿岸における寺院の調査として、23年9月に青森県深浦の円覚寺における聖教悉皆調査を実施し、真言密教の教相や事相聖教の調書・目録作成を行った。調査では畿内本寺醍醐寺との関わりを示す聖教が確認できた。23年5月に福井県三国湊における瀧谷寺の聖教の予備調査を現地で実施した。同寺の聖教写真を架蔵していた福井県文書館・東京の真福寺等においてもその状況を確認したが、これらは一部のデータのみであり、悉皆調査および撮影が必要ということが判明したため、24年度以降、それらを本研究において実施することにした。 畿内寺院の調査としては、23年5月に大阪河内長野の金剛寺、24年1月に京都府智積院において文書・聖教調査を実施し、調書の作成および目録作成を行った。金剛寺の聖教からは主に教相修学の実態、智積院においては近世における畿内本寺と地方寺院との関係を示す史料が散見された。併せて『醍醐寺文書聖教』の中から、中世から近世における畿内本寺の醍醐寺僧と瀧谷寺僧との関わりを示す具体的な史料の博捜を行った。 以上の通り、初年度の調査研究はおおむね計画通りに進んでおり、研究課題として掲げている、畿内寺院から真言密教の教えが日本海沿岸の寺院や僧侶に伝法された実態や、畿内寺院と地方寺院との具体的な関係の一部が明らかとなった。 これらに加えて、当初、研究計画にはなかった円覚寺薬師堂厨子墨書(落書)を解明することで、本研究の課題を明らかにする可能性がでてきたため、研究対象とすることにした。よって当初の計画以上に、研究が進展する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度から26年度にかけて京都智積院・醍醐寺、大阪金剛寺、青森県円覚寺、福井県瀧谷寺の文書・聖教の寺院史料調査を定期的に実施し、史料の分析および目録作成を行う。 それらの成果として、第一に研究代表者・分担者が各自で研究論文や研究発表を積極的に行い、成果を公開する。第二に、25年秋に福井県瀧谷寺周辺において、本研究課題に関するシンポジウムを行い、研究者および地域住民らに対して研究成果を還元することにしたい。このシンポジウムでは、主に研究代表者・分担者らが登壇し、畿内と瀧谷寺との関係や、瀧谷寺史料の紹介や価値に関する研究報告とパネルディスカッションを行う予定である。なおこのシンポジウムの内容については26年度に報告書としてまとめることにしたい。第三に、26年秋に青森県深浦円覚寺周辺において、円覚寺調査の成果について研究発表の場を設けることにしたい。第四に、本研究によって収集した史料の翻刻やその目録についても公開する。 これらの計画を実行することにより、本研究課題を十分に推進できると考える。
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