研究課題/領域番号 |
23K25275
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補助金の研究課題番号 |
23H00578 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 信之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30225528)
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研究分担者 |
本郷 均 東京電機大学, 工学部, 教授 (00229246)
森 一郎 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00230061)
安部 浩 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (20324668)
古荘 真敬 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20346571)
上原 麻有子 京都大学, 文学研究科, 教授 (40465373)
加藤 隆文 大阪成蹊大学, 芸術学部, 講師 (60799980)
秋富 克哉 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (80263169)
杉山 卓史 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90644972)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2027年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ポイエーシス / プラクシス / 詩作 / 構想力 / 西田哲学 / 行為的直観 / 芸術制作 / 偶然性 / 民藝 |
研究開始時の研究の概要 |
ポイエーシスとプラクシスは、古代ギリシア由来の概念であり、広義において制作(産出、創造活動)と行為(実践、倫理的・政治的活動)を意味している。明治期以降の日本近代思想を俯瞰的に概観しようとするとき、これらふたつの包括的概念を補助線とすることで、思想全体の輪郭が鮮明にうかびあがってくると考えられる。本研究はこの点に着目し、総合的視点から、新たな日本近代思想の解釈をくわだてることを目的とする。つまりこれまであまり関係づけられることのなかったポイエーシスとプラクシス、テクネー(技術および芸術)と政治、美学と倫理といった対立項をむすびつけ、その緊張関係に焦点をあわせることが本研究の課題である。
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研究実績の概要 |
本年度は四回の研究会を開催し、近代日本思想におけるポイエシスとプラクシスの問題を、個々の思想家、詩人、哲学者に焦点をあてることによって探求した。 まず第一回の研究会(5/1)では、本研究テーマ全体の目的や役割分担等について話しあわれ、ポイエシスやプラクシスといった基礎概念にかんする共通理解を醸成することが図られた。(研究代表者・小林による提題と議論) 第二回の研究会(8/25)では、西田哲学における「ポイエーシスとピュシス」にかんする研究(愛媛大学の太田裕信による発表と議論)、柳宗悦の民藝思想における「見ることと作ること」の問題(京都大学の足立恵理子による研究発表)、寺山修司の思索と現実の社会状況とのかかわり(京都工芸繊維大学名誉教授・伊藤徹による発表)等の諸テーマがとりあげられた。 第三回の研究会(12/23)では、九鬼周造の偶然性論と詩作をめぐる諸テーマがとりあげられ、とくに近代史における押韻の問題などに焦点があわせられた(早稲田大学・藤貫裕の研究)。また、関西学院大学名誉教授・嶺秀樹による研究発表「ポイエシス再考」を聞く機会も得られた。とくに西田哲学における「行為的直観」の概念を中心に、西欧の芸術理論やクレー、セザンヌの制作理論などとも連関させることで、本研究課題全体にとって有益な知見が得られた。 第四回の研究会(3/29)では、ひとりの思想家としての柳宗悦研究が大沢啓徳によって発表され、活発な議論と質疑がなされた。そして民藝をめぐる柳宗悦の言説と思想が有する今日的意義の検討がなされた。最後に、和辻哲郎の「人間学」と芸術論を論じた研究発表がなされた(安部浩)。そして和辻の哲学を、Praktike Poiesisという概念に収斂させる形で、新たな読解が試みられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究者のスケジュールを調整して、研究会を開催することは、かなり困難であったが、原則対面での研究会を維持しつつ、ズーム等オンラインをも活用することで、柔軟な運用をはかることができた。参加している研究分担者は、東北、東京、関西と、相互に離れて居住しているため、今後も本年度のやり方を継続しつつ、より密度の高い研究会の開催を構想していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も四回の研究会を開催する予定である。7月の研究会では、とくに三木清の思想をめぐって、その倫理的、政治的立場と、かれの制作理論との連関が問われることになろう。そのあとは、9月、12月、来年3月の研究会が予定されており、すでに発表者の人選も進んでいる。 このように研究発表の場を設けて、そこでディスカッションをかさねていくという基本方針はかわらず堅持していく。また、来年度中に予定している中間報告書の準備もそろそろ始める予定である。
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