研究課題/領域番号 |
23K25281
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補助金の研究課題番号 |
23H00584 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
深谷 訓子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (30433379)
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研究分担者 |
岡田 裕成 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00243741)
平川 佳世 京都大学, 文学研究科, 教授 (10340762)
中田 明日佳 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (10614878)
今井 澄子 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (20636302)
加来 奈奈 摂南大学, 国際学部, 准教授 (20708341)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2027年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ネーデルラント総督 / 美術コレクション / 文化政策 / 宮廷芸術家 / 美術と移動・交通 / ネーデルラント美術 |
研究開始時の研究の概要 |
16、17世紀のネーデルラント総督の美術コレクションや文化政策を考察対象とし、本国スペインと地元貴族や領民との間に立って統治を行った彼らが、美術という表象機能を如何に活用したのかを、基礎資料の整理の上で考察するのが本研究の概要である。そのため、まずは①基礎資料の整備を進める。研究期間の前半は分担制を取り、各自がこの基礎研究を進める。そのうえで、②先行研究では為されてこなかった通時的な視座からその特徴の変化を浮き彫りにするとともに、情報共有と意見交換を重ねつつ、ネーデルラント総督の美術コレクションを場として浮上する美術の表象機能の政治的活用について考察を行い、研究成果として取りまとめる。
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研究実績の概要 |
研究初年度にあたり、まずは各人が基礎的な資料収集と調査を進めた。チームとしては、8月29日(オンライン)と3月26日(対面@京都市立芸術大学)にて研究会を開催し、研究の重点項目を確認(8月)するとともに、進捗と問題の所在を年度末の研究会で報告しあって、研究状況を共有した。 研究代表者の深谷は、2023年10-11月ならびに2024年3月に在外調査を行った。秋季の調査では、主に文献資料収集と関連作品の実見を行い、3月にはメヘレンのホフ・ファン・ビュスレイデン美術館で開催されていた金羊毛騎士団関連の展覧会にて貴重な作品や知見に触れることができた。また同市の聖ロンバウツ大聖堂でネーデルラント総督に仕えたミヒール・コクシーの手になる作品を実見したほか、スヘルペンヒューヘル(ジヘム)の聖母マリア教会に所蔵されるテオドール・ファン・ローンの祭壇画の数々、ベルギー王立美術館(ブリュッセル)所蔵のパルマのマルガレータと推定される肖像画(アロンソ・サンチェス・コエーリョ作)など、ネーデルラント総督関連の作品を検討することができた。 3月の研究会で明らかになったように、各自の調査は順調に進展しており、それぞれ、先行研究状況の把握、とりわけ参照可能な財産目録の現存状況などについて把握を進め、基本情報の集約は一定以上進められている。比較的先行研究の手厚いマルグリット・ドートリッシュ、イサベラとアルブレヒト、あるいはカール5世の文化政策に関する研究がよく進展しており、今後の作業がより多く残る部分としては、ハンガリーのマリア、パルマのマルガレータ、レオポルト・ヴィルヘルムらが挙げられるが、これらについても特段大きな問題や行き詰まりには直面しておらず、このまま進行させられる見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究代表者の所属機関で全面的なキャンパス移転があり、引越しの物理的な準備のほか2か月間完全に大学に入れない時期があったため、当初の滑り出しはやや遅めであったが、後期の在外調査によって、かなり今後の研究の見通しを得ることができた。また上述のように、分担者の各々が担当部分の課題について調査を進め、一定以上の進捗を見ている。 移転に伴って大学全体の物品発注量が急増したことから、研究費の執行に関しても例年以上に厳しい状況があり、来年度以降に発注して入手しなくてはならない基礎資料もいまだ積み残されてはいるが、リカバリーが可能な範囲内にある。 初年度の今年に、先行研究で掘り起こされている利用可能な一次資料の量と所在がある程度明らかになったこと、また、目録等の文書記録以外に適用・採用が可能なアプローチに関して一定のアイディアを得ることができたことは、来年度以降の研究の推進に極めて有益だと考えており、全体的におおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2024年度は、引き続き各自が担当部分の基礎調査ととりまとめを行う時期に当たり、こうした予定は分担者にも共有されている(年度の後半に、進捗報告の研究会を開催予定)。具体的な作業としては、二次文献の渉猟と未入手の目録の収集を続けるとともに、書簡などの読解も進め、各担当総督のコレクションや文化政策について全体像を取りまとめる。一方で、政治的な装置としての美術コレクション、あるいは文化政策ということについて、より広い視野からシンポジウムもしくは研究会を開催することも検討中である。 3年目以降は、基礎研究を踏まえたうえで、基礎研究の過程で浮上してきた発展テーマ(例えばタペストリー等特定の品目について、肖像画を通した表象行為について、あるいは宮廷内もしくはその周辺での贈与行為についてなど)を各自が発展させ、シンポジウム等での発表ののちに、最終的には基礎研究部分と総合して、書籍として研究成果を取りまとめる予定である。
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