研究課題/領域番号 |
23K25286
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補助金の研究課題番号 |
23H00589 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 真理 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40257176)
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研究分担者 |
土屋 正臣 城西大学, 現代政策学部, 准教授 (00825896)
友岡 邦之 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (10363780)
阪本 崇 京都橘大学, 経済学部, 教授 (20340458)
横堀 応彦 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 講師 (40732483)
李 知映 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 講師 (70812618)
中村 美帆 青山学院大学, 総合文化政策学部, 准教授 (80736041)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2027年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 文化政策 / 文化行政 / 政策評価 / 日本 / 平成 / 公共政策 |
研究開始時の研究の概要 |
(a)制度化された文化政策の下で実施されてきた文化政策関連事業の全体像から導きだされるこの時期の特性は何か。そして、これに関わる研究領域はどのように展開していたか。 (b)日本の文化政策の任務の中核に文化財任務にあわせて芸術(振興)が置かれるようになった経緯と、それによって両者の任務がどのよう な展開を遂げているのか。 (c)国や地方自治体の文化政策を記述・記録していく上で重要となる概念、事件や事象はどのようなものであったか。 以上のことを、鳥瞰図的にそして詳細に記録することを通じて、研究や研究者との関連や関係性を明らかにしながら、分析枠組みを構築し、日本の文化政策の実態と特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、研究のための資料の存在確認を含めて、課題に取り組むための準備作業を行うために、研究会2回開催した。その上で、問題状況を確認して、各自の担当分野についての研究を行った。その上で、以下の点が明らかになった。(1)今回の研究課題は平成期を対象とした研究であるが、行政文書のウェブサイト公開などに移行していった時期と重なり、資料それ自体の収集活動を行う必要があり、一部進んだ。それらの資料を元に、文化庁の事業変遷を可視化する作業を行った。また、事業推進にあたって、補助事業の内容(費目)に変化も生じており、それらを検証していくためにも資料が必要となっていることが確認できた。(それらは手作業で探索をする必要があることもわかった)。 (2)平成期における文化財保護政策が、文化政策の任務に芸術(振興)が置かれる中で、どのように展開したのか、また文化庁を中心に他省庁間でどのような広がりを見せたのかという、政策的な流れを鳥瞰図的に見通すことに主眼を置いた。具体的には、エクセルの表に時系列として、法改正の内容や事業を書き込んだ。(3)文化芸術振興の主たる役割を担うべき地方自治体と国が、適切な役割分担の下、一層密接な連携を図ることにより相乗効果を期することが求められている。平成期においてはどのような関係性であったのか、各地域の文化行政の状況と文化芸術を取り巻く諸状況を文化庁の資料及び文献等から概観している作業をし、これに関しては継続課題としている。(5)現行文化政策の決定過程を観察していると、ロビイング活動がそれなりに有効に機能しているようにみえるが、平成期にはどのような活動が行われていたのかという点に問題関心が向けられた。(6)文化予算に関わる補助事業が展開されていく中で、それらを利用するにあたって、芸術団体に備わっていなければならない体力のようなものの存在が認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの研究者も含めて2023年度の課題を実直に進めてきている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成期の文化振興分野の制度設計および研究領域の展開に貢献した人物へのオーラルヒストリーを試みる。(2)文化芸術の振興に関する基本的な方針から文化芸術推進基本計画(第一期)に基づき各時期に設計された公的助成制度は、日本の公立劇場の事業計画にどのような影響を与えたのか。平成の文化政策は令和六年現在の劇場政策にどのような影響をもたらしているのか。(3)地方自治体における文化財保護行政の文化政策上の位置づけについて確認することに主眼を置く。具体的には、①文化財保護政策における都道府県と市町村の新たな関係モデル(奈良モデルなど)、②ふるさと納税の活用や文化観光基金などの持続的な文化財保護などの具体的な事業レベルの調査を通して、平成期における地方自治体における文化財保護政策の改革プロセスを抽出する。(4)平成期の文化行政の「計画」「条例」等の内容をみると、「文化の鑑賞・創造・発表機会の推進や地域資源の観光への活用、郷土愛の醸成等」といったテーマが多いが、平成終期に至っては「文化観光、教育プログラムとしての文化芸術、メディア芸術の振興、移住促進等」といった比較的新しいテーマへと移り変わっていて、幅広い内容になっている。また、21世紀初頭から芸術文化の振興がまちづくりに欠かせない要素であるとする考え方が定着し始め、自治体の計画(観光、教育、福祉など)には文化政策関連事業が多数掲載されてきている。さらに、2000 年代の法整備を通じて新たな可能性をもちはじめていると同時に、困難やリスクをかかえていることも見落とすことができない。そのため、今年度は地域の文化的発展を支える自治体文化行政領域の整理と分析を試みる。(5)地方都市における文化支援体制におけるスロースリップ現象と流動化への対応の検証を試みる。(6)国の補助事業を活用するための、芸術業界の機能強化のあり方についての考察を深める。
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