研究課題/領域番号 |
23K25301
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補助金の研究課題番号 |
23H00604 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
小区分02020:中国文学関連
合同審査対象区分:小区分02010:日本文学関連、小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
澤山 茂 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (00078213)
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研究分担者 |
大和 あすか 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (30823752)
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 教授 (50178729)
大道 公秀 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (50632444)
大橋 直義 実践女子大学, 文学部, 教授 (50636420)
上野 英子 実践女子大学, 文学部, 教授 (60205573)
松原 哲子 国文学研究資料館, 研究部, 特任准教授 (70796391)
舟見 一哉 実践女子大学, 文学部, 准教授 (80549808)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | 古典籍 / 紙料 / 再生紙 / リサイクル / コンフォーカル顕微鏡 / 和紙 / ガンピ / コウゾ / ミツマタ / 高精細デジタル顕微鏡 / 米粉 / 料紙 / 印刷と出版 |
研究開始時の研究の概要 |
紙資源は、文化のバロメーターといわれるほど、貴重なマテリアルである。奈良時代からすでに紙資源のリサイクル率は高かったといわれている。本研究は、和紙の中でも再生紙(漉き返し紙)に着目し、再生紙に筆写されたもの、印刷されたものの特性を考察しようとするものである。本研究の基本的ポリシーは、試料の非破壊計測によるデータ収集であり、試料にダメージを与えず、再生紙の和紙繊維、夾雑物の観察、表面構造の詳細な観察、微分干渉顕微鏡機能を用いて再生紙を構成する種々の要因を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS HYBRID十:レーザーテック(株)社製および高精細デジタル顕微鏡 VHX-8000:(株)キーエンス社製)を用いて、各種古典籍の料紙を観察した。和紙の靭皮繊維源流の形状(繊維幅、繊維長、繊維密度等)の計測を行い、外観から原料特定が確認できる基礎資料を得た。古典籍の観察結果から、古典籍や近世の大量に出版された文学作品の多くが再生紙(漉き返し紙)から構成されていることが明らかになった。「紙のレンズがひらく古典籍・絵画の世界」、2023年11月10日、(株)勉誠社において「手漉き和紙、とくにコウゾの製造から紙へ-デジタル顕微鏡でここまで分かる-」、及び「為家本源氏物語幻の巻の研究-高精細デジタル顕微鏡・高解像度スキャナ・蛍光X線分析器に紙質調査を通して-」では、3種類の和紙原料の形態的特徴を明らかにした。実践女子大学文芸資料研究所年報第43号の「和紙素材の新しい判別方法について」では、和紙の光学的特徴を同軸落射法による偏光観察を行い、複屈折の観察によりガンピ、コウゾ、ミツマタの同定が可能であることを示した。又、「為家本源氏物語の紙(1)」では、和紙原料がガンピとコウゾの混ぜ漉きで構成されていること、和紙の加工法として丁寧な「打紙」加工がなされていること、さらに、填材として「米粉」の存在を初めて明らかにした。これらは、先行研究がほとんどないことから、新知見として評価することができた。又、リサイクル和紙の原料混合割合を示唆する基礎データになり得ることが示された。古典籍の観察結果から、古典籍や近世の大量に出版された文学作品の多くが再生紙(漉き返し紙)から構成されており国文学における仮説の一分を証明することができた。和紙は文化の重要な資源であり、リサイクルによって社会を支えていることの一部を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題に掲げた試料が広範囲に分布している関係で、測定に要する回数が膨大である。 購入機材の性能が高機能であることから、得られた画像の解釈や評価について先行研究が乏しく、試行錯誤をくり返す必要がある。高精細顕微鏡の観察範囲が狭いので、連続撮影による広範囲の試料観察が必要である。得られた計測結果は、統計処理を行い、客観性のあるデータとして処理する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、コンフォーカル顕微鏡(OPTELICS HYBRID十:レーザーテック(株)社製および高精細デジタル顕微鏡 VHX-8000:(株)キーエンス社製)を用いて、各種古典籍、紙資源のリサイクルを利用した出版物の用紙を観察する。コンフォーカル顕微鏡による和紙の観察データが先行研究として皆無であるため、観察事例を充実させる。機械学習による画像認識システムの導入の可能性について検討を進める。機械学習による料紙の同定、料紙の加工の有無、填材の影響などについて応用範囲を拡大する。
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