研究課題/領域番号 |
23K25304
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補助金の研究課題番号 |
23H00607 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
小区分02020:中国文学関連
合同審査対象区分:小区分02010:日本文学関連、小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2024) 金城学院大学 (2023) |
研究代表者 |
小松 史生子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60350948)
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研究分担者 |
山口 直孝 二松學舍大學, 文学部, 教授 (30297741)
志賀 賢子 (川崎賢子) 日本大学, 芸術学部, 研究員 (40628046)
石川 巧 立教大学, 文学部, 教授 (60253176)
金子 明雄 立教大学, 文学部, 教授 (70233872)
浜田 雄介 成蹊大学, 文学部, 教授 (80238071)
柿原 和宏 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (80907907)
井川 理 熊本学園大学, 経済学部, 講師 (90909227)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 探偵小説 / 日本文学 / メディア / 大衆文化 / 日本近代文学 / 江戸川乱歩 / 小栗虫太郎 / 岩田準一 / 横溝正史 / 新青年 / 宝石 / 挿絵 / 夢野久作 |
研究開始時の研究の概要 |
早稲田大学、二松学舎大学、成蹊大学、立教大学、および各地の文学館・図書館に収蔵されている探偵作家・作品関連資料のリストアップをデジタル化作業、翻刻作業を行い、それぞれの資料の半永久的な保存に貢献する。 そのようにしてデジタル化された各資料の横断検索が可能になるような基盤データベース作りの基礎を作り、これからの探偵小説研究に資する。 こうした調査研究作業を、学会発表や国際シンポジウム、講演等で公開し、国内外の各所に散逸しているであろう探偵小説関連資料の情報収 集に役立てる。 研究協力者に若手や各地域の専門家を動員することで、探偵小説研究を志す者を育成し、今後の研究発展に携わる人材の層を厚くする。
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研究実績の概要 |
1920~40年代における探偵小説関連の一次資料についてのデジタル化・翻字翻刻・復刊を行った。 作家関連としては、江戸川乱歩・岩田準一・夢野久作・渡辺啓助といった『新青年』に関わる作家たちの日記のデジタル撮影と、その翻字翻刻の作業を進めた。また、その成果の幾つかを単行本として刊行する見通しをつけている。高木彬光については、貴重な1950年代の児童雑誌である『探偵王』を収集し、同時期児童文学のなかでの彬光作品の特徴・作家性などについて情報を多く得た。メディア関連としては、戦前に海外探偵小説の紹介において重要な役割を担った雑誌『新青年』を中心に、掲載された海外探偵作家および海外探偵小説の調査・分析とリスト化に着手。また、二松学舎大学が所蔵する横溝正史旧蔵資料、特に草稿や原稿などの自筆資料の整理調査も進めた。『犬神家の一族』草稿全157枚の翻刻を行い、また、『死仮面』の加筆修正作業についての調査も行った。さらに、復刻版『宝石』『関西探偵作家クラブ会報』の解題を研究代表者および研究分担者で担当した。加えて、『新青年』に掲載された海外探偵小説の挿絵の撮影を開始。『少年』と『少年少女譚海』を中心に、1950年代の児童雑誌に掲載された探偵小説について調査し、資料の収集とリスト化にも取り掛かった。理論関連では、探偵小説を含む大衆文学ジャンルを近代文学史と接続するいくつかの観点についての検討ならびに文学史的記述そのもののあり方についての研究を進めた。 シンポジウムも多々開催し、江戸川乱歩『貼雑年譜』復刻版についての公開シンポジウム「江戸川乱歩自筆資料の魅力と可能性」(立教大学、2023年11月12日、講演・戸川安宣、インタビュー・平井憲太郎/聞き手・後藤隆基、研究発表・後藤隆基、石川巧、尾崎名津子、金子明雄、ディスカッション)では、本科研による一次資料のデジタル化の一つの成果を主張し得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が終息を見せ、資料の収集がしやすくなって作業がスムースに行われたことと、若手研究者が資料のデジタル撮影や翻字翻刻の方法を習得したことが、効果を上げた主な理由と考えられる。 また、埋もれていた資料の所在が、寄託や寄贈などを通してはっきりし始めたことも、作業の効率化に影響した。 ただし、非常な円安状況のため、海外文献の取り寄せや海外出張での調査には困難をきたした。海外の研究者を招いてのワークショップも、難しい状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は江戸川乱歩生誕100年に当たるなど、探偵小説関連にとって重要な節目の年であることに鑑み、作家関連の資料のデジタル公開や、それを基盤とした各方面での調査結果の公開を通して、よりいっそう資料の情報を得る。また、そうした企画を介した研究者間のコミュニケーションを盛んにし、学際的な交流の場を設け、資料保存・活用についてのシンクタンクのありかたについて議論を進める。 挿絵関連の資料追跡が遅れている状況なので、こちらをより重点的に推進する。加えて、ジェンダー面から再解釈する探偵小説研究を推進させるため、女性探偵作家の業績の再検討、およびその一次資料の収集とデータ化を開始する。 戦中・戦後における東アジアと日本の政治史的過程を、探偵小説研究の観点から捉え直すため、中国・台湾・韓国の探偵小説研究者と研究成果を突き合わせる機会を設け、探偵小説の東アジア方面の研究を深化させる。
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