研究課題/領域番号 |
23K25317
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補助金の研究課題番号 |
23H00620 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鵜戸 聡 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (70713981)
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研究分担者 |
宮下 遼 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (00736069)
富田 広樹 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (00757495)
小久保 真理江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (00815277)
中村 菜穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 講師 (40964995)
三枝 大修 成城大学, 経済学部, 教授 (80707662)
細田 和江 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80779570)
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90513169)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 地中海文学 / 地中海地域研究 / 比較文学 / 古典古代 / セム系一神教 / ジュール・ヴェルヌ / ウグレシッチ / ユーゴスラビア / アルジェリア文学 / 航路体験 / 地中海詩学 / 地中海文化史 |
研究開始時の研究の概要 |
2024年度は,「地中海文学」研究の中核をなすギリシャを主たる研究テーマに据え,さまざまな言語で文学作品や旅行記を検分しつつ,とりわけ地中海系ユダヤ人の最大拠点であったテッサロニキでフィールド調査をおこない,地中海地域の歴史的多層性が,どのようなかたちで露呈もしくは展示されるのか,場所の記憶の操作性を検証する。同時に,古代後期から近現代にかけて,アレキサンドリアやレヴァント,オスマン帝国などで作られたさまざまなギリシャ・イメージを,近現代のスペインやイタリア,あるいはクロアチアなど,ヨーロッパ側の視点と比較検討していく。
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研究実績の概要 |
本年度は、研究メンバーが刊行した研究業績(論文・翻訳)の書評会の形で全体研究会を3回開催した。対象となった書籍は、伊藤信宏編『東欧演歌の地政学:ポップフォークが〈国民〉を創る』(奥彩子が分担執筆、アルテスパブリッシング)、ジュール・ヴェルヌ『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険 』〈上・下〉(三枝大修訳、ルリユール叢書、幻戯書房)、ドゥブラヴカ・ウグレシッチ『きつね』(奥彩子訳、白水社)である。とりわけヴェルヌの作品は、地中海全域を舞台にした冒険ドラマであり、本共同研究のテーマである「地中海文学」という概念の一つのモデルを体現するものとして活発な議論が行われた。また、同時代の旅行記や地理書を活用して膨大な固有名詞を書き込んであるため、翻訳段階で本共同研究のメンバーたちがそれぞれの専門言語の転写法や訳注すべき情報に関して協力を行っており、共同研究としてもアウトリーチ活動としても大きな成果となった。 研究代表者の鵜戸は、7月にベトナム・ホーチミン市のヴァンラン大学で開催された国際シンポジウムに参加してベトナム・日本・アルジェリアを繋ぐ研究報告を行い、3月にはハノイ国家大学社会科学大学で国際シンポジウムを共催して、フランス郵船など地中海からサイゴン港を経由して日本に至る航路やメコン川を遡する体験の文学表象を論じた。2月にも国立民族学博物館で開催された「グローバル地中海地域研究」のワークショップで、分担者の細田和江とともに、「地中海文学」という概念構想について発表・議論を行なった。 その他の研究成果は業績一覧に譲るが、アウトリーチとして、三枝大修「『幻滅』のパリ:若き芸術家たちによる栄光へのアプローチ」(映画『幻滅』パンフレット)や中村菜穂「魚たちの伝言:カーシャーン、マシュハデ・アルダハール訪問記」『窓/パンジェレ』第1号といった一般向けの読み物がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要で述べたように、前々から準備してきた研究や翻訳が折よく刊行され、それらを足掛かりにして、理論的な議論やさらなる個別研究へと進むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも、個別の文献研究と研究会の開催、国際シンポジウムへの参加、海外調査を並行して進めていくが、円安・インフレのため海外調査が予定よりも難しくなっており、派遣人数や期間を削減して予算を調整しつつ、現地調査と文献研究のバランスをとっていく所存である。また、現地情勢の悪化により、イスラエルへの渡航予定はさしあたって取りやめることにした。
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