研究課題/領域番号 |
23K25321
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補助金の研究課題番号 |
23H00624 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
小区分02080:英語学関連
合同審査対象区分:小区分02060:言語学関連、小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
神原 利宗 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90724120)
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研究分担者 |
柳本 大地 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (20826359)
小池 真由 東京工業大学, 工学院, 助教 (40911590)
笠井 千勢 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (90352450)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 言語 / 感覚 / 運動 / 感情 / 学習 / 連合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,文字や音声などの言語情報によって,感覚・運動・感情などの非言語情報を制御できるのか,について調査や実験により検証する。本研究は,ヒトや動物を研究対象とする。具体的には,1)特定の文字や音声が感覚・運動・感情を生起させるのか,2)絵を用いた単語学習は他の感覚情報を用いた学習より効果的であるのか,3)感覚・運動・感情を意味する単語は,その意味を他の単語に移行することができるのか,などについて検証する調査や実験を行なう。
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研究実績の概要 |
本研究は,言語によって,感覚・運動・感情を制御できるのか,について調査や実験により検証することを目的としている。具体的には,特定の文字や音声が感覚・運動・感情を生起させるのか,絵を用いた単語学習は他の感覚情報を用いた学習より効果的であるのか,感覚・運動・感情を意味する単語は,その意味を他の単語に移行することができるのか,などについて検証する調査や実験を行なう。 本研究の目的を達成するために,本年度はヒトを対象とする調査や実験を進めた。調査や実験は,これまで研究室で用いてきた方法を応用しながら進めた。参加者が行なう調査もしくは実験の内容や注意点を記載した説明文を参加者に読ませた後,参加者が内容に同意できる場合にのみ調査もしくは実験を行なうこととした。調査や実験では,参加者に刺激を視覚もしくは聴覚で提示することによって課題を行なわせた。調査や実験で得られたデータについては,参加者をIDで管理しながら解析を行なった。 得られた成果は,査読のある国際誌論文や国内外の学会,ワークショップなどで発表した。学会やワークショップで発表した際には,国内外の研究者との共同研究を今後できるようにネットワークを確立するように努めた。 具体的な成果として,特定の意味を表す単語の評価を,その単語と近いタイミングで提示する無意味語に結びつける検証を行なった結果を発表した。本成果は,単語に対する感情評価が,他の刺激の評価にも結びつけられることから,ヒトが不快に感じる刺激に対する評価の調整に応用できる可能性を示した。また,新しく学ぶ単語を一つの絵に結びつけて一緒に学ぶ時と,新しく学ぶ単語を二つの絵に結びつけて一緒に学ぶ時の学習のしやすさの違いに関する研究についても発表を行なった。1日の学習においては,新しく学ぶ単語を二つの絵に結びつけるよりも,一つの絵に結びつける方が学習しやすいことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,次に示す実施内容から,おおむね順調に進展していると考えられる。 本年度は,研究代表者と研究分担者が協力することによって,本研究におけるいくつかの研究を進めることができた。具体的には,音声による運動の促進,絵を用いた言語習得の効果,言語習得と認知やモチベーション(感情)の関係,言語を用いて刺激に対する反応を変化させること,言語習得と作業記憶の関係など,本研究に関わる多くの研究テーマについて進めることができた。各研究テーマの進行状況は,計画中,実施中,結果の整理中,論文投稿中,成果発表終了など違いはあるが,着実に進んでいると考えられる。着実に進めることができた理由は,本研究の研究代表者と研究分担者の連携と共に,研究代表者と研究分担者の周りの人々(e.g., 学生,共同研究者)からの多くの協力や支援があったからである。今後も,研究代表者と研究分担者の連携や,周りの人々との協力関係を大切にしながら研究を進め,研究の発展,社会への応用を目指した研究,研究を通じた次世代研究者の育成を進めていく所存である。 本年度は,研究代表者や研究分担者の成果を,査読のある国際誌論文や国内と海外の学会及びワークショップで発表することができた。また,国内外の学会やワークショップにおいて,研究代表者と研究分担者ともに,他の研究機関の研究者とのコミュニケーションを行ない,交流を深めることができた。特に,研究代表者と研究分担者が,他の研究機関に所属する異なる研究分野の研究者と交流できたことで,本研究に関わる新たな研究テーマを開拓することが期待される。 以上のような実施状況から,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,本年度と同様に,言語による感覚,運動,感情の制御について調査と実験による検討を行ない,研究成果を国内外の学術誌や学会,ワークショップにおいて,持続的かつ積極的に発表できるように,研究を推進する予定である。 本研究は,言語によって感覚,運動,感情を制御する方法について検討してきたが,主にヒトを対象としてきた。一方で,同じようなことが動物でも検証されてきた歴史があることから,今後の研究では,ヒトだけでなく,言語による動物の感覚,運動,感情の制御についても検討する。動物を対象とする検討は,他の機関に所属する共同研究者と連携して行なっていく。ヒトと動物をどちらも対象とする研究の推進により,ヒトの特徴,動物の特徴を明らかにしながら,種の固有性と種間の共通性について,言語による感覚・運動・感情の制御という観点から,明らかにすることが期待できる。 また今後の研究では,研究成果を社会へ応用できるようにすることを目指しながら研究を推進していきたい。例えば,単語に対する評価を,近いタイミングで提示した他の刺激に結びつけることを明らかにした研究成果は,人々の様々な刺激に対する反応(評価)を制御する方法の開発につながる。よって,今後さらなる検証を積み重ねることによって,近い将来社会において使用できる方法を,異分野の人々と連携・協力しながら確立したいと考えている。同じように,本研究で現在検証を実施している,もしくは今後実施する多くの研究テーマも,一般社会において応用可能な側面があることから,多くの人々と協力しながら,今後検証を積み重ねて,社会で実際に使用できるような方法を確立していきたい。多くの人々と協力しながら,言語による感覚・運動・感情の制御方法を確立することで,人々や動物の暮らしの改善に役立てられることを目指す。
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