研究課題/領域番号 |
23K25343
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補助金の研究課題番号 |
23H00646 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
市之瀬 敦 上智大学, 外国語学部, 教授 (20276512)
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研究分担者 |
水沼 修 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (10795438)
高阪 香津美 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20512271)
鳥越 慎太郎 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 助教 (20743511)
吉野 朋子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (30384176)
江口 佳子 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (40766507)
林田 雅至 大阪大学, COデザインセンター, 名誉教授 (50189677)
野中 モニカ 天理大学, 国際学部, 教授 (50759694)
上田 寿美 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (50773272)
ロッシャデソウザ ルシオマヌエル 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (70735836)
黒沢 直俊 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (80195586)
彌永 史郎 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80231166)
Aires Pedro 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (80535451)
岐部 雅之 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (80997859)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2027年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ポルトガル語教育 / 理想的な言語教育シラバス / 科学的な言語教育基盤 / 言語規範 / 言語変種 / 大学における ポルトガル語教育 / ポルトガル語能力評価の実態 / ポルトガル語の文法教育 / 辞書と初級入門書 / 外国語教育 / 理想的なシラバス / 能力評価 |
研究開始時の研究の概要 |
第1に、日本人学習者に特化した大学レベルや中上級学習者に対し効率的なポルトガル語教育の実現を目指す、理想的な言語教育シラバスを策定し、第2に、近年のポルトガル語学研究の目覚しい成果を教育に取り入れ、科学的な言語教育基盤を形成、確立すること。さらに、第3の課題として、能力検定試験やヨーロッパ言語共通参照枠を参考に日本人学習者対象のポルトガル語能力評価システムを創成し、科学的教育実践と能力評価による検証サイクルを作り出す。
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研究実績の概要 |
本科研の初年度である2023年度では研究会を6回開催し、情報収集や意見交換を行った。この研究プロジェクトは日本でのポルトガル語教育に関し、1)効率的なポルトガル語教育を目指した理想的な言語教育シラバスの策定、2)近年の言語学研究の成果を反映した科学的な言語教育基盤の形成、3)日本人学習者対象のポルトガル語能力評価システムの確立、の3点を中心に展開することを目指しているが、出発点的な事前調査の意味も含めて、日本国内の大学で専門課程を設置しているところでのポルトガル語教育の実態調査も行っている。特に、京都外国語大学で行われている学年ごとの可視化された到達目標に基づく能力試験や、愛知県立大学での教養レベルでのポルトガル語教育の現状などについて、相当程度踏み込んだ報告が行われた。このプロジェクトでは、ポルトガル語の専門課程を置く国内の大学すべてから分担者としての参加があるので、情報共有の意義は大きい。他に、近年のブラジルにおける言語研究の成果に踏まえた内容の紹介や、モザンビークのポルトガル語についての報告も行われた。近年の世界のポルトガル語をめぐる情勢として、アフリカ地域での母語話者の増加が指摘されている。ポルトガルとブラジルの2国が規範となるという状況は、すでに神話として崩壊しつつあるのであり、教育現場においても認識を新たにする必要がある。また、科学的教育基盤形成という意味では、近年の言語研究の成果を積極的に取り込んでいく必要があり、この方向での研究会は年度を通して継続されることになる。最後に、能力検定試験については、2年目以降、人権や研究倫理への配慮を強化しながら、実験的な試みを行う所存であるが、本年度は研究会での報告のみにとどめたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はこの科研の初年度であり、また、以前の小規模の科研と異なり、分担者の数を大幅に拡張したことで研究の進め方にやや未知数の部分があり、手探りで始めたといった感があった。しかし、ZOOM形式で行われた打ち合わせや研究会には十分な参加が得られ、かなり活発に情報や意見の交換を行うことが出来たので、滑り出しは良好と言える。研究会としては6回開催し、関係のテーマについて十分な意見交換を行った。ただし、この科研の骨子と言える、1)効率的なポルトガル語教育を目指した理想的な言語教育シラバスの策定、2)近年の言語学研究の成果を反映した科学的な言語教育基盤の形成、3)日本人学習者対象のポルトガル語能力評価システムの確立、の3点のうち、2)と3)について比較的十分に取り扱うことが出来たと言える。1)は次年度以降の研究課題である。ただし、能力検定試験については、審査過程でコメントがついていることもあるので、人権や研究倫理への配慮を強化しながら、実験的な試みを行う所存である。以上を勘案し、自己評価をおおむね予定通りの進捗とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施課題は、1)理想的な言語教育シラバスの策定、2)科学的な言語教育基盤の形成、3)日本人学習者に特化したポルトガル語能力検定システムの創設、の3点で、具体的な計画はこの3点を中心に展開されるが、特に申請時において人権保護の観点から注意喚起の意見が付いたことを重視し、3)の項目に関し、能力評価検定など個人のプライバシーにかかわる内容の取扱いには注意を払う。各大学には研究倫理の審査機関が設置されているので、計画内容を精査したうえ、最大限の措置を講じる。 研究グループ内での意見交換や活動は、月1回程度、開催されるZOOMによる研究会で行われるため経費を伴わないが、学会などがすでに対面形式での開催がすすんでいるので、旅費は拡大傾向にある。また、プロジェクトはメンバーを広く集めることに重点を置いているので、分担者への予算配分自体はそれほど大きくなく、恒常的ともいえる基盤形成的な物品や消耗品の購入は比較的小さい。4年目の段階で欧州から研究者を招聘し、研究会等を対面で行うので旅費の増加が見込まれる。現在、より効果的な開催を目指し人選を行っているところである。 この間、課題1)と3)の関連で研究会を行ってきたが、これは継続するとともに、特に課題2)との関係でポルトガル語に関する言語学研究の先行研究などの精査を続け、地域変種との関連で教育実践に有効な情報の収集整理に努める。さらに、教育の素材となるような資料や研究などの精査も行う。シラバス案の作成では、第2言語習得研究の成果なども取り入れながら行う。能力検定評価のシステム構築は、研究倫理との関係で難しい領域ではあるが、人権保護の観点での手続きを怠ることなく、進めていきたいと考えている。この方向で2年目に分担者の拡充を行っている。さらに今後、海外の動向を把握することにも努め、全世界的なポルトガル語教育の在り方についても考察する。
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