研究課題/領域番号 |
23K25372
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補助金の研究課題番号 |
23H00675 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 禎浩 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10222978)
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研究分担者 |
谷川 真一 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (40410568)
小野寺 史郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (40511689)
周 俊 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 助教 (40894811)
村上 衛 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50346053)
丸田 孝志 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70299288)
都留 俊太郎 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (00871401)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2026年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 中国共産党 / 中国現代史 / 共産主義 / 資料 |
研究開始時の研究の概要 |
中国共産党は、その存在意義を歴史決議によって顕彰しながらも、現実には近年歴史資料の公開を極度に制限し、研究著作の出版や内外の学術交流に厳しい枠を設けるなど、学術や言論活動への統制を強めている。このような状況が当面続くことを前提とした場合、これまで中国共産党史、現代史研究を成り立たせてきた研究活動の枠組自体を見直して、新たな資料基盤の構築を進める必要がある。本研究は、従来の中国共産党史研究の対中依存を脱却し、自立的かつ国際的な歴史研究を行うための方途を提示する試みである。
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研究実績の概要 |
研究代表者の石川をはじめ、本研究プロジェクトの構成員たちは4年ほど前から、共同の研究グループを独自に組織し、資料の収集と編纂にかんする研究会を定期的に開催し、この研究プロジェクトを助走活動としてきたが、本年度それがある程度のまとまりを持ち、本研究プロジェクト自体へのステップアップのための一定の素材・試行モデルを提供できる水準になったと判断し、中国共産党における資料生成を分析する論考などを含む、第一段階の報告書(集団的、集中的討論のためのたたき台)を作成すべく集中的に議論を重ねた。これと並行して本研究プロジェクトのメンバーをコアとする、より広範な関心を持つ大学内外の若手研究者を集め、隔週平日開催の学術会合を定期開催した。その開催回数は年間で16回を数え、歴代の中国の政治指導者がどのような理念と圧力・暴力によってその政治的な地位を高めてきたのかといった極めて露骨な問いをたて、中国共産党における「歴史」との関わりに目を向ける視点を確立することに努めた。 この間、懸念した中国本土での情報統制は厳しさをまし、中国由来の資料が我々の予想を遙かに超えて秘匿されるようになった。このため、若干はあてにした中国やそれをとりまく地域での原資料の収集という構想は再検討を余儀なくされ、これに代わる資料源の開拓は不可避となった。資料源の開拓というミッションは研究資金の関係から今年度には具体的に進展をみるまでには至らなかったが、先に掲げた研究報告・資料素材集である「20世紀中国史の資料的復元」のとりまとめを通じて、中国共産党における「秘書」「書記」「ブレーン」の存在に注意を向けなければならないことが一致して認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究プロジェクトを企画するより以前から構想・実施してきた予備的とりくみが、「20世紀中国史の資料的復元」をはじめとして予想外に多くの成果を生み出して終了したこと、それが本プロジェクトの立ち上げと初期の研究活動の日常化にプラスの役割をはたした。また、このプロジェクトにかかわっている数名の研究者が関わった企画、海外調査計画が最大の効果をもたらしたといえる。この2年間に予定した中国、台湾、香港での資料調査は、新型コロナウィルスの感染拡大の余波を受け、台湾以外はまったく実施できなかったものの、目下のところ、研究組織構成員それぞれの担当分野にかんして、オンライン調査への切り替え可能な資料ソースが多数準備されており、それらを元にした種本的なテキストががあるかどうかを洗い直し、オンラインデータベースを駆使しつつ、関連情報を集め、それらがどのような政治体制、研究環境のもとで編纂されてきたのかを、部分的ながらあきらかにできたことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
中国共産党に代わって党史資料を編纂するという挑戦的な試みの基礎研究を遂行するため、本研究プロジェクトは、従来以上に強い参与意識と高度な専門知識をもったメンバーを研究分担者に据え、昨年度に中国現代史の史資料復元を課題とする定期ミーティングを行い、当面解決せねばならない課題を洗い出す中間成果をとりまとめた(「20世紀中国史の資料的復元」)。本年度はこれを早々に印刷に付して研究の現状確認の具体的素材とし、同時並行的に4月より石川、村上、小野寺といったメンバーを核とする研究班を正式に発足させ、復元に向けて各メンバーがなし得るとりくみについて報告し合う定例研究会を向こう3年間、年間14-15回開催する。そのさい、中国共産党史に関する先端的研究で知られる海外在住中国人研究者や欧米の研究者をアドバイザリー・ボードのメンバーとし、海外の一次資料の来歴の確定とその信頼性についてのサーベイを進める。 そのサーベイを踏まえ、中国共産党の政党文化などに関し、アントニオ・グラムシ協会などユーロ・コミュニズムの流れを汲む諸団体と意見・情報を交換する。一方、在米文書館に所蔵される中国語系資料に詳しい周と谷川は、スタンフォード大学(フーバー・インスティテュート)関連の資料情況を精査し、2025年度の現地調査に備える村上と小野寺は、劣化が懸念される人文科学研究所所蔵の紅衛兵関連出版物のデジタル撮影とそのデータ化を担当し、それに向けたデータベース化とタグ付け、解説執筆に取り組む。
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