研究課題/領域番号 |
23K25391
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補助金の研究課題番号 |
23H00694 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河江 肖剰 名古屋大学, 高等研究院, 准教授 (00726987)
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研究分担者 |
金谷 一朗 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (50314555)
安室 喜弘 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (50335478)
川西 康友 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, チームリーダー (50755147)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | エジプト考古学 / ピラミッド / 3D計測 / AI / 3Dデータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではエジプトの古王国時代の遺構から得られた断片的ながらも横断的な痕跡から、その背後にある巨石建造物の建設方法を明らかにする。AIによるギザのピラミッドの石組み構造の類型解析、周辺地形のDTMと合成開口レーダによる地勢解析を導入し、膨大な3D形状や2D画像データからの網羅的なデータマイニングを遂行する。さらにピラミッド建造に関わった人々が住んでいた近隣の住居址の物質文化資料や同時代のパピルスやグラフィートの文字資料などとの関連付けにより、4500年前のギザ台地におけるピラミッド建設プロジェクトを包括的視点から解明する。
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研究実績の概要 |
初年度は、古王国時代に建造された7基の巨大ピラミッド/巨石建造物の3D計測データの集約的アーカイブ化と再解析を開始した。それらの3D計測データは、異なるステークホルダーが保持していたため、名古屋大学高等研究院(担当:河江)に集約を試み、それぞれのデータの動作確認を行った(ただし、ギザのピラミッド群のデータは、内部の画像データの多様性と量から、現在、共同研究を別途行っているWorld Scan Projectが準備中である)。アブシールの2基のピラミッドは関西大学(担当:安室)が保持しているが、現在名古屋大学にそのコピーデータを移しつつある。サッカラの階段ピラミッドは大阪大学が収蔵していたものを長崎大学(担当:金谷)に移行し、古いデータ形式(Topconの3Dデータ形式)を新しく汎用性のあるもの(obj)に変更し、名古屋大学に移行した。それらのデータの工学的な分析として、メンカウラー王のピラミッドの3Dデータを使用し、先行研究の測量データとの整合性を確かめつつ、格段毎のデータ解析を試みた(担当:安室、金谷)。加えて、とAIを用いた分析は、理研(担当:川西)で、同じくメンカウラー王のピラミッドの石材のセグメンテーションを2次元データである平面図ならびに立面図、そして3Dデータならではの斜面から試みた。この結果は、口頭発表として、2024年5月にアメリカの学会(American Research Center in Egypt)で発表し、さらに論文としても年度内に刊行を予定している。加えて、新しい調査地として、エジプト観光・考古省に申請に申請を行い、許可を得て、エジプト中部のアビドス遺跡近郊のシンキのピラミッドの予備調査を踏査ならびにドローンを用いて行った。これらのデータから3D生成を行い、先行研究との比較も行い始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれのピラミッドの3Dデータ量が膨大であることから、データの確認作業や変換作業に思いのほか時間が掛かっている。しかし、データの集約化は進んでおり、それを用いたAIのセグメンテーションも順調に行えている。加えて、新しい調査地の申請もエジプト観光・考古省より認められ、本年度から本格的な調査を開始することもできる。こういったデータは現地のエジプト考古学者にとっても有用なものであり、その一部を、元考古大臣であるザヒ・ハワス博士からの要望でデータ共有も行うことができた。さらに成果物の社会的還元として、ギザのピラミッド群のデータを角川武蔵野ミュージアムの展覧会でプロジェクションマッピングを用いて公開することで、プロジェクトのプレゼンスを高めることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調ではあるが、昨年度実施予定だった、DTMとSARによる地形データの生成が、エジプト当局との調査申請とその予算の関係上、行えなかったために、本年度に実施する。これは一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC) ならびにドローン技術と3Dデータ化技術を用いて世界遺産のデジタル・アーカイ ブを行う株 式会社World Scan Projectと共同で、デジタル3D地図サービス「AW3D」の衛星画像から行う。遺跡の地形のDTMとSARのX, L, Cバン ドと組み合わせ、地表面と地面のデータを取得し、遺跡の3Dデータと組み合わせ、地形学的なデータを取得を行う。
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